表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/929

105. もふもふ量産計画

 よっぽど動物が好きらしいモフラブさんは、ポコを抱いて満面の笑みを浮かべている。さっきは撫でる事も出来なかったタツノも、背中を撫でてご満悦みたいだ。


 そんなモフラブから告げられた雇って欲しいと言う言葉、これは別に本当に雇って欲しい訳ではなく、言葉の綾みたいなものなんだとか。


「私がこの子達の世話を手伝うから、変わりに私の目的の手伝いもして欲しいってわけ」

「それは、開拓団の人達に頼めば良いのではなくて?」


 サクラの言うとおりだよね。モフラブさんも開拓団の一員なんだし、私達より身内を頼れば良いのに。でもその事を言われたモフラブさんは、どこか微妙な表情を浮かべている。


「頼りになりすぎて、頼れないのよ」


 そう呟いたモフラブさんは少しうんざりした様な表情で、その理由を語ってくれた。


 なんでも、モフラブさんは開拓団唯一の女性なんだそう。そもそも開拓団に入ったのも、従兄であるビルに誘われての事。ビルがモフラブさんの行動を知ってたのも、その関係あっての事なのかな?

 そんな環境もあって周りの反応は甘々で、そんな彼らに頼ろうとすれば、開拓そっちのけで取り掛かろうとするほどに頑張ってくれるみたい。

 それならまだマシな事らしく、酷いときは他のプレイヤーに頼まれた建築関係もほっぽりだす事もあるそう。性格悪い人なら、調子に乗りそうな環境だよね。


「それで、その目的って何ですの?」

「モンスターを造り出す事よ」


 もしかして、イザナミみたいなことが他の人にも出来るって事なのかな? でもモフラブさんが続ける説明によると、それとは少し違うみたい。


 事の始まりは図書館でモンスター関連の本を読み漁っていた時の事。何故かモンスター関連の棚に紛れ込んでいた錬金術の本の中に、モンスターを造る方法を探ると言う記述があったんだそう。


「失われた技術として紹介されてたのよ。その本では見つけられなかったみたいだけどね」

「社長には聞いてみたんですか?」

「敬語はいらないわ、あと呼び捨てでも構わないから。はぁ、そうね。社長、ね」


 社長ならなんでも答えてくれるだろうけど、モフラブの反応はどこか歯切れが悪い。少しの間目をキョロキョロと動かした後、意を決したようにその理由を告げた。


「こうして間に動物を挟まないと、まともに他人と話せないのよ。か、勘違いしないでよね、別に人見知りって訳じゃないんだから! 普段は無口なだけなんだから!」


 そんな風に、恥ずかしそうに声を張り上げるモフラブは、ちょっとフィナと似てるのかも。あ、そうだ。フィナと言えば、通信だとフィナはどんな反応を見せるのかな? 通信アンテナを設置したら試してみよう。


「テイムしたモンスターを出せば良いんじゃなくて?」

「いきなりそんな事したら変な人みたいじゃないの!」

「どっかの電気ネズミみたいに、出しっぱなしにしとけば良いじゃん」

「嫌よ、モンスターしか友達が居ないみたいじゃない!」


 何気に失礼な事言ってるけど、あの人のコミュ力はモフラブより高いと思うよ。モフラブなんて名前を付けてる割に、結構繊細なのかも。


「まぁ、いいや。タツノは知ってる?」

「うむ、知っておるよ」


 クロとタマの撫で比べに夢中だったタツノに聞いてみると、あっさりと答えが出そうだ。でも、これ以上こんな所で長々話すのも、モフラブに少し申し訳ないし、ツリーハウスでのんびり聞こうかな。


 ツリーハウスに移動し、タツノはキボリをソファー代わりに、私達三人はウォーセを背もたれにして話しを聞く体勢をとる。お茶とお茶請けに饅頭は欠かせない。


「造ると言っても、そう難しい物ではないのじゃ」


 キボリを撫でながら始まるタツノの話し。聞く限りでは、確かに難しい物ではなく、ただ素材を集めてクラフトモードで造るだけだった。


 肝心の素材は三つ。一つは造りたいモンスターに関係する素材。ウサギのモンスターを造りたいなら、角ウサギの毛皮は欠かせないって事だね。


 二つ目は蓬莱の薬。これは前に話が出た、月ウサギが作ることが出来る素材。蓬莱の薬って聞くと永遠の命って感じがするけど、このゲームだと効力を高めるって感じの働きを持つみたい。


 三つ目は原初の欠片。これは原初の澱みのレアドロップで、私はまだ持っていなかったと思う。この欠片がコアのような役割を持っていて、祭り村の景品であるハイパー合成君を利用すると、より強力なモンスターを造れるようになる素材を生み出せるみたい。


「原初の欠片は、フィナを連れてけば確定ドロップじゃ」

「寧ろ、フィナだけでも十分倒せるんじゃないですの?」


 サクラの言葉に、確かにの! なんて笑っているタツノだけど、その目は期待の色が見て取れる。それは私にも造れって言ってるのかな?


「ねぇ、相談なんだけど。私が造れたら、此処にそのモンスターを置いて貰っても良い?」

「良いけど、広い土地持ってないの?」


 モフラブの相談はタツノ達が喜ぶから良いんだけど、開拓団だってギルドなんだし、ハウス用の家とか持ってると思うんだけど。


「開拓団って、基本テント生活なのよね。ハウスはあるけど、サーポロの小さい一軒家とスベガのマンションだけだし。基本集会所ってところね」


 開拓で色んな所に行く分、特定の住居は持たない。って言うのは建て前で、基本的に慈善事業みたいになってるお陰で、広い土地付きの家を買うお金がないみたい。


「もし良かったら、此処にモフラブの家でも建てようか?」

「良いの!? ぜ、是非お願いしたいわ!」


 ログハウスはギルドメンバーだけって決めてるから、この土地の中って事になっちゃうけどね。モンスターの世話も手伝ってくれるみたいだし、何よりもふもふが増えそうだもん。私も出来るだけサポートしないと。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 育てる環境も作れないのに動物は飼うべきじゃないよね まして、人口生物を作るなら 作ってポイ捨てするのと同じになっちゃうじゃん 本人がいくら愛してると言ってもさ~ 嫉妬に狂…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ