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98. 鉄道を造ろう

 ビルの要望で、訓練が終わった後に寮のラウンジで落ち合うことに決めて別れ、ひとまずボウナスの討伐に集中、したいけど皆に鉄道の事を話さないといけないよね。


『斯く斯く然々コンコンコン!』

『エルフンフン!』

『女騎士は電気羊の夢を見た』

『あんた達飽きてきてるでしょ』


 グループモードで通信を繋げたらスラミに核心を突かれた。だってボウナス、一撃で消えてくれるからちょっと単調になっちゃうんだよね。その分色んな武器を使えば良いんだろうけどさ。もっとご褒美が欲しいかな。


『ちょっとこの防具気に入ったかも』

『フィギュアスケートの衣装風なところがまた良いですわよね』


 何で知ってるんだろう? 近くにサクラは居ないはずなのに。


 このままのんびり喋ってたいけど、当然だけどビルの方が早く終わっちゃうんだよね。あんまり待たせても申し訳ないし、さっさと説明してボウナスの討伐に集中しないと。


 鉄道を造る事は皆意外に好意的だった。それはきっと大陸縦断ってのがポイントだったのかも。寝台列車ってのは、鉄道関係に興味なくても憧れちゃうからね。


『距離的にシベリア鉄道に近いんだろうけどさ、景観ってどうなんだ? あそこってほぼ荒野だろ?』

『動物なら一杯居ますわよ』

『襲われないかしら?』


 ライオンカイザーが厄介かもね。あれは動くものなら何でも襲いそうだし、コンドリオンの出現範囲に入ってるのかどうかも気になるかな。


『造る前にちゃんと聞いときなよ?』

『はーい、でもイザナミと造れば何か凄いの出来そうな気がする』

『変形か、燃えるな』


 蒸気機関車と新幹線が必要かもしれない。


 結局、戦闘訓練が終わったのは二時間後。だらだら喋りながらやっていたのもあるけど、討伐数が増えるのに比例してボウナスの動きも変化していった所為だね。

 体の棒がゴムみたいに伸び縮みするのは駄目だと思う。顔面に茄子をぶつけられたら私に謝って欲しいよ。


「訓練お疲れさまです。さぁ、これをどうぞ」


 体育館を出たところでセリンから手渡されたのは一本の茄子。受け取ってみるとアナウンスと共に称号取得のウィンドウが現れた。

 手に入れたのは【ボウナスの祝福】なんだけど、この渡された茄子に祝福が込められているのかな?


「食べちゃっていいの?」

「ええ。素揚げにしても美味しいですよ」


 まぁ、私は茄子が嫌いなんだけどさ。後で天ぷらにして師匠にあげよう。ついでにキスの天ぷらも作ろうかな、けして茄子に顔面ぶつけられたらからではないんだけどね。美味しいからだもん。


 寮に向かうために廊下を進んでいる中、やっぱりおかしいと思うことがある。廊下に精霊が一人も居ないんだよね。大抵学園に来て廊下を歩けば凄い視線が飛んでくるのに。


「ねぇ、セリン。精霊達って何処に行ったの?」

「屋上ですよ。今日はバーゲンセールが開催中ですからね、学園からお小遣いを貰った精霊達で賑わってますよ」


 何か楽しそう。行ってみたいけど、約束もあるから諦めるしかないかぁ。そう心の中で諦めていると、凄い勢いで駆け出したスラミとトヤマさんが前を歩く私達を追い越していった。


「バーゲン行ってくる!」

「開拓団の人達に迷惑掛けちゃ駄目よ!」


 それはあんた達だよ、とは言わないでおく。私は空気が読める女なのです。ここは戦場に向かう二人に敬礼を送っておこう。


「お土産期待しても良いんかな?」


 変なもの買って来なきゃ良いんだけどね。


 ログハウスに戻ると言うセリンと寮の前で別れ、プレイヤー用の寮へ入ると探すまでもなくビルを見つけることが出来た。

 これから探索に向かう相談をしているプレイヤー達が居る中、ラウンジのカウンター席に一人で座るカウボーイスタイルのマッチョなんて、早々見逃すはずないもんね。


「お待たせ」

「おう、お疲れさん」


 ビルの隣に私、サクラ、ヨーナの順で座り、まず聞きたいのは何で寮のラウンジを待ち合わせ場所に指定したか。

 第二大陸に鉄道を造るんだから、スベガで待ち合わせすれば良いのにって思うんだけど、ビルにはそうしたくない理由があるみたい。


「うちのギルドにはな、お前、というかお前のモンスターが大好きな奴が居るんだよ」


 頼みを聞いて貰う以上、迷惑を掛けたくない。その為、遭遇する可能性がある街中は避けたいらしい。ギルドマスターをするだけあって男前な人だ。


 その人はログハウスの方にもよく足を運んでいるそうで、中でもクロがお気に入りなんだそう。


「テイムすればいいのに」

「そもそも黒猫との遭遇報告なんて稀ですのよ?」


 もしかして称号を持ってないと出てこないのかな? 不運なのに幸運なんて、此は如何にってやつだね。

 そんな理由もあって第二大陸とは別の場所で話し合ってから、一気に造ってしまおうって魂胆みたい。それなら何時もの喫茶店が良いかもね、聞きたいこともあるし。


 善は急げと皆を立たせ、スールガの喫茶店前まで転移。アオイタクシーは初乗り無料なのです。


「そんな訳で、教えて社長!」

「三度目はないぞ?」


 つうかあどころか、社長はこのノリが好きじゃないみたい。違うね、お茶漬けを出す辺りきっとノリノリだ。


 指定席みたいになっているカウンター席に座ってお茶漬けに手を着けると、早くもビルの質問が飛ぶ。ビルも詳しく聞いたことはなかったみたいで、先ずは造るメリットが知りたいみたい。確かにしつこく造るように言われたなら、何かあるって思っちゃうよね。


「メリットか、鉄道旅行って良いよな?」


 疑問で返さないでほしい。でも確かに旅行は楽しそうなんだけどさ、そんな気持ちが表情に出ていたのか、社長が不穏な言葉を呟いた。


「そして付き物なのがハプニング」


 なんかワクワクしてきた! 社長が言うハプニングがどんな物か分からないけど、造った鉄道に乗れば良いんだよね。


「ハイジャックってオチか?」

「モンスターが怪しいんじゃなくて?」

「安全な旅は出来ないっつーことか?」


 私達はハプニングの方に夢中になりかけているけど、安全面を考えるビルは流石、ギルドマスターだね。上に立つ人って感じがする。

 見習えとばかりに向けられる視線に耐えかね、慌てて皆の分のコーヒーを注文。ここは私の奢り、懐の深さを見せるのです!


「蒸気機関車ならモンスターに襲われることはないな、あの大陸のモンスターは煙を嫌がるようにしたはずだ」


 それならハプニングはハイジャックが濃厚かな。モフモフな獣人達が襲ってきたりするのかな? 尻尾を掴まねば。


 コーヒーを受け取り、今度は造る物の話し。安全を脅かすのはハプニングだけとしても、鉄道が出来れば第二大陸ももっと賑わうはず。そう考えるビルの熱意は凄いようで、大陸縦断という距離もあって寝台列車のようにしたいみたい。


 行き来の為には転車台も必要かと思ったけど、社長が言うには列車も所有者ならアイテムボックスに入れられるから必要ないそう。転車台って面白いのにな。


「客室は空間を拡張して、好きな間取りやデザインに変更出来るようにすれば良いよね?」

「出来るのか?」


 信じられないって言うようなビルだけど、多分イザナミならできる気がする。こんな時精霊みたいに会話出来たら良いんだけどなぁ。


「社長、神様にも【精霊馴染み】みたいな称号ってないの?」

「あるぞ、条件は同じだ」


 それなら、この件が終わったら高天原にでも行こうかな。皆が良ければあそこに家を貰って合宿だ。


「大陸縦断って言うけどさ、真ん中に山脈あるだろ。トンネルでも掘るのか?」

「アプト式って手もありますわね」


 アプト式って、確かレールに付けた歯車を噛み合わせて進むやつだっけ? テレビで見た気がするけど、あれってゆっくり進むよね。旅には良いかも。


「一部だけ渓谷になってる場所があるからな、心配すんな」


 楽って夢がないよね。


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