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グランドフィナーレ

>午後3時24分付

誤植修正:これらの講義→これらの抗議

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 彼はゴール後に倒れるようなことはなかったが、そのまま囲み取材などを受ける様子もなく、会場を後にしたと言う。

その際のARガジェットは装甲部分がボロボロであり、今にも大きな亀裂から連鎖的に割れると考えられていた。

しかし、ARアーマーもAR映像で構成されており、CGの消滅演出と共に亀裂の激しいアーマーを含めて消滅する。

アーマー以外で残った物はメットであるARバイザーとインナースーツ。バックパックはアンテナショップへ返却し、修理要請をしたと言うが――。


 4月1日午後1時40分、第7レースの開始時刻になってもレースが始まらない事に対し、一部のギャラリーから抗議があったという。

しかし、これらの抗議は一連のARゲームでの賭博行為に関与していた人物である事が判明し、警察に逮捕される事となった。


 同日午後3時、一連のレース等を見学して帰路に――という私服姿の蒼空そうくうナズナを呼び止めたのは、提督服姿の花江はなえ提督だった。

「あの番組、最近になってからは超有名アイドルの宣伝番組という色が強くて――募金活動等をするのであれば、もっと違う手段もあるはずでしょう?」

 半分疲労気味な蒼空は呼びとめた花江提督の方を向く事はない。彼の言う事は一理あり、半分は線論だったと思う。

しかし、それでも若干強引とも呼べる手段に出たのは間違っているだろう――そう蒼空は考えていた。

――実際は、下手に不満をつぶやけば、それをまとめサイトで改変し、超有名アイドルを神コンテンツにしようと言うアイドル投資家に利用されると思っている。

花江提督も深く追求しようとして呼びとめた訳ではないのは、蒼空も分かって入るのだが。彼としては、レースに水を差した事ではなく別の用件で何かを言おうとしていた。

――しかし、それもタイミングを逃していた。最終的に言えるような状況になったのは、この時になってしまったのだが。

「蒼空ナズナ――君の名字を見て、気づくべきだった部分がある。それが、今のタイミングになったのは――」

 彼は気づいていた。彼の名字である蒼空の読み方に――。厳密には、そうとも読める的な要素だけだったので、迂闊に同一人物説や兄弟説等を虚偽情報でも拡散されたくないという意図もあった。

「自分も別の読み方をする人物がいたのは知っています。だから、あえて読み方を変えていた」

 ビンゴだった。蒼空は苗字が同じ人物がいる事を把握しており――それを百も承知で、今の名前を名乗っていたのだ。

「それを認めると言う事は、それが本名ではないと」

「そう言う事です。自分でも、被るとは予想外でしたが――あくまでハンドルネーム的扱いでも」

 花江提督は蒼空の発言を聞き、別の意味で驚いていた。ハンドルネームと言う事は、蒼空ナズナは本名ではないという事か?

「本名と言っても、ここで名乗る程の物じゃないので――」

 そう言い残し、呼びとめた花江提督も呆気に取られるまま、蒼空は姿を消してしまった。

彼が本名出ない以上、どうやってエントリー出来たのか。遊戯都市奏歌ゆうぎとし・そうかの場合にはハンドルネームでも登録は認められているのか。

考えていても仕方がないので、花江提督は別の提督に連絡を取ろうとしていた。しかし、ノイズが激しくて連絡が出来ない。


 午後3時30分、そのノイズを特定して対処していたのは意外な事に大和やまとアスナだった。

彼女は花江提督がノイズを対処した一件を目撃しており、それを踏まえて別のテレビ局も同じようなドキュメント番組を組もうと考えている事を察していたのである。

「コンテンツ産業を超有名アイドルをデビューさせる為だけの存在と考えているようでは――ファンを振り向かせる事は不可能――」

 大和は右腕のアガートラームを見つめつつ、改めてコンテンツ業界に潜む闇を一掃しようと改めて決意表明をする。


 4月2日、一連の超有名アイドルやアイドル投資家による事件、それはシティフィールド事件として処理される事になった。

表向きには買収工作が失敗し、その報復で起こした事件と言う事でニュースには報道されている。

実際には報道以上に表に出来ないような事が次々と明らかになってしまった為、大分詳細を簡略化した物を情報公開して報道しているのが現状だろう。

さすがに芸能事務所が放火された、関係者が暗殺された、芸能事務所がジャパニーズマフィアだった――と言う様なデマも拡散されたが、こうしたデマを信用しないのも遊戯都市奏歌ならでは。

しかし、一部のネット情報弱者やチェーンメールをあっさりと転送するような人物は、こうしたデマにもあっさりと乗りやすく、彼らの思惑に乗せられてしまう。

「それにしても、アイドル投資家が絡んでいる部分は報道出来て、あちらは出来ないとは――」

 テレビのニュースを事務所のテレビで見ていたのは、一連の作戦から帰還した柏原隼鷹かしはら・じゅんようである。


 彼以外にも一部のアキバガーディアン所属のメンバーがテレビを見ているのだが、彼らも柏原と同じように何かに関して察していた。

「政治家やジャパニーズマフィア等のような単語は、一般市民にとっては無暗に不安をあおるだけです」

「それ以外にも、超有名アイドルが海外進出するのに余計な話を拡散されて欲しくないという意図があるとも――」

「某テレビ番組で芸能事務所の社長が口利きをしている疑惑もあった。そう言った噂を一掃する為か?」

 テレビを見ていたガーディアンのメンバーからは、そんな発言が飛び出した。

「海外進出させないように、海外が例の条約を作ったのとちゃうん? それが事実上の超有名アイドル輸出禁止法案やから、そこから周囲の目をそらす為に――」

 柏原達がテレビを見ている場に姿を見せたのは、着物姿のRJである。ちなみに、女性提督なのだが――。

「海外でも超有名アイドルに対しては、危険視をしているが――それでも無差別破壊行為や歴史改変勢力等と同類にするのは問題があると思う」

 RJに対して意見したのは、モブのガーディアンの一人だ。しかし、そんな事でRJが自分の発言を変えるようなことはなかった。

「どちらにしても、海外にとっては超有名アイドルが輸出されるのは大量破壊兵器の輸出等と同類か近い所で見ている可能性もあるか」

 別のガーディアンメンバーも、RJの意見を踏まえて意見する。

どちらにしても、海外に超有名アイドル商法のノウハウが広まれば、それこそ超有名アイドルによる炎の7日間が展開されるのは容易に想像できるだろうか。

他にも様々な意見が飛び交うのだが、どれも決め手に欠ける物であり、アキバガーディアンとしてもこれからのコンテンツ業界にとっても――。

「この話題は今すぐ決める物ではない。慌てて決めれば、それこそ余計な混乱を招く。今は、政治的な部分も含めて様子を見させてもらおうか」

 柏原は別のガーディアンメンバーが読んでいた新聞を手に取り、そこに載っていた三面記事に興味を示す。

その記事には超有名アイドル商法に対する規制法案、転売屋規制法案と言った物が議論されている事が書かれていたと言う。



 同日午後1時、遊戯都市奏歌のコースに姿を見せたのは、蒼色のARアーマーに軽装甲、クリスタルを思わせるようなラインが特徴のブレードにバックパック――。

その装備を見れば、誰でも即座に名前が分かる状態になっていた。その人物とは、前日の一件で話題となった榛名はるな・ヴァルキリーである。

『光ある所には――必ず闇がある。悪目立ちするような邪悪とも言える闇を一掃し――トータルバランスを保たなくては』

 榛名は覚悟を決めていた。自分が目的としていたコンテンツ業界の革命、それは悪徳業者を一掃したとしても終わりではない。

悪目立ちするファン、モラルを知らないファン、フーリガンの様な勢力、ネット炎上、様々な事案が決着していない状態となっており、彼女の戦いは終わりではなかった。


『アカシックレコード――それを影で操り、タダ乗り同然で莫大な利益を得ようと言う存在がいる限り――アカシックレコードを巡る戦いは終わらない』

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