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榛名対ビスマルク(その6.6)

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 4月1日午前11時59分、アキバガーディアンが通報のあったピットに駆けつけた頃にはアイドル投資家のプレイヤー以外はいなかった。


 この場には北条ほうじょう提督と言う人物はいなかった――と言う位。ここにいたという気配さえ感じさせない状況だ。


「一体、どういう事だ――」


 ガーディアンの一人は、周囲を調査したのだが――。


「残念ながら、北条提督は姿を消したようです」


 別のガーディアンが上官の白い提督服の女性に報告する。しかし、彼女の怒りが収まる事はない。


「姿を消す事の出来るガジェットは、まだ実用化されていないで! ステルス迷彩だったとしても、それは疑似的な物や――」


 無名の女性提督は、周囲に方位網を展開して北条提督を確保するように指示した。


 若干の関西弁と言うには疑わしいような語尾が特徴的だが、新人提督と言う訳ではないようである。


 そして、彼女はある人物の着用している物に類似した着物を用意し、それを上に羽織る。


「こちらとしても切り札を使えば、まとめサイトが嗅ぎつけるだろうが――仕方あらへんな」


 彼女が更に取り出したのは、巻物型のタブレット端末――柏原隼鷹かしはら・じゅんようが使っている物と同型だ。


 展開したのは、零戦型のARウェポン――と言うよりはドローンに近い。俗にいう偵察機都は用途が異なるが、周囲の偵察程度には役に立つ。


 時々、語尾が標準語になったりと疑わしいのは――仕様らしい。上司に対しては別の日本語を使っているのだろうか?


 しばらくして、彼女の放った零戦が戻ってくる。翼にはRJというイニシャルらしきものも確認出来るが、本名なのかコードネームなのかは不明だ。


「既に別のメンバーが発見した以上、こちらが手を出す必要はないという訳か」


 彼女は左の人差し指で自分の頬をかく。下手に連中を刺激させてまとめサイトの資金源にされるのも本望ではないと感じたらしい。



 午前12時、草加駅近くのゴールエリアには人が集まり始めていた。まもなく、先頭ランナーがゴールをするという情報が耳に入ったからである。


『あれは――別のARパルクールのプレイヤーの様です。何かの手違いがあったのでしょうか?』


 実況の太田さんも目を疑う様な光景が、そこにはあった。シティフィールドのゴール地点に姿を見せたのは、背中にバーニアを装備した別のARゲーム参加者だったのである。


 これには周囲の観客もテンションが下がると思われたが、そんな事はなかった。何と、温かい拍手で歓迎したのである。


『これは、どういう事でしょうか? ゴール地点を間違えたと思われる選手に対し、温かい拍手で歓迎をしております!』


 太田さんも困惑しつつも、今の状況を実況する。それが自分にとっての仕事だからだ。



 同刻、太田さんの実況を聞いて驚いていたのはシティフィールドの運営だけではなかった。


「あのプレイヤーは――コース誘導を間違えたのか?」


「違います。どうやら、何かのシステムトラブルの様です」


「下手をすれば他のプレイヤーと接触事故を起こすような事もあっただけに、これは大事には至らなくて済んだと言うべきか」


 バーニア装備のプレイヤーが本来参加していたARレースの運営も、今回の剣に関して疑問に思う個所があった。


 その原因があるとすれば、違法に流通していたチートプログラム及び該当アプリだろうか。


 下手に騒げばまとめサイトに掲載され、超有名アイドルの宣伝活動に利用されるのは目に見えている。ARゲームは超有名アイドルコンテンツを神化させる為のかませ犬ではない――と一部の運営は思っていた。


 この考え方をしていない運営は、パルクール・サバイバーとシティフィールド、アカシックレコードに記された一部ARゲームの運営位だろう。

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