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パルクール・オブ・シティフィールド  作者: 桜崎あかり
ステージ1
7/95

チートガジェットの実態


 少し時間を巻き戻し、午後1時30分。ARゲームニュースでは、ある話題が触れられていた。


『最近、不正改造されたARガジェットによるランキング荒らし等が目撃されています』


『その目的は不特定多数であり、特定出来ていませんが――』


『少なくとも超有名アイドルによるCDの宣伝行為、もしくは芸能事務所によるARゲームの私物化が指摘されているようです』


『ARゲームでは、チートと判断される不正行為は固く禁止されています。最悪のケースではチート使用者の逮捕されるケースも確認されており――』


『皆さんは、くれぐれも不正行為や違法改造ガジェットに手を出さず、ルールを守って正しいARゲームを楽しんでください』


 ニュースキャスターであるリディアの方も真剣な表情でニュースを読み上げ、改めてルールを厳守してプレイして欲しいと訴えた。



 午後1時45分、つぶやきサイト上では不正ガジェットの目撃例が後を絶たなかったが、その半数は巧みに偽装されたブラフだった。


 しかし、ARガジェットには不正ガジェットを見破る為のデジタルすかしに該当する物が存在し、それがない物はARゲームにエントリー出来ない。


 その為にまとめサイト等を悪用したブラフは使用できないはず。それなのに、今回の偽装は素人が見ると見破れないという事例が後を絶たなかった。


「原因は、これか……余計な事をしてくれる」


 別のエリアへ向かう途中の榛名はるな・ヴァルキリーは移動中に一連のニュースを知った。


 移動中と言っても、ARガジェットをそのまま着用しての移動ではない。ARアーマーは解除した状態、インナースーツにバイザーメットと言う外見だ。


 この外見でコンビニに入れば、強盗と間違われそうな気配もするが、この辺りはARガジェットに登録されたデジタルすかし等の事もあって、問題はないようである。


 ちなみに、彼女が移動手段に使っているのはホバーボード型のARガジェット、このガジェット自体は別のARゲームでも使用されているが、一般的な移動手段としても利用されていた。


「どちらにしても、一部の芸能事務所がARゲームを一事業として取り込もうとしている話もある。これが連中のやり方だと言う事を――」


 この会話に関しては、周囲には全く聞こえていない。ノイズカット機能で外部に声が漏れるのを防いでいる為だ。



 同時刻、蒼空そうくうナズナは気分転換に別のARガジェットを扱ったアンテナショップへ向かう。


 その場所は竹ノ塚駅の近く、丁度パチンコ店や小規模のゲーセンがある商店街である。場所的にARゲームを扱っているとは到底思えないと蒼空は思うが――。


「ここか。規模的にはスーパー程の広さには見えないが」


 店内に入ると、先ほどの大規模アンテナショップとは若干異なる雰囲気だった。大型ガジェットは置いておらず、そのほとんどが小型のARゲーム専門のガジェットやアクセサリーである。


 店の外にも大型ガジェットを示す取り扱いマークがなかったので、それなりの規模とは覚悟していた。


「いらっしゃいませ!」


 声は大きいが心がこもっていない――という訳でもない、テンプレ的な挨拶。その店員を特に確認する事無く、蒼空はあるスペースへと向かった。


「ここはARゲームのガジェット修理を扱っている」


 30代には見えないような男性が特殊な修理道具を使用する事無く、ARガジェットを修理している。この光景は、まるで錬金術師と言われそうな気配さえするのだが――修理光景は一部を除いて非公開で行っているようだ。


「このガジェットを見て欲しい。別の店で購入したのだが……」


 蒼空が見せたのは、一見すると市販品のガジェットに見える端末だった。蒼空の方もメインのガジェット以外にサブガジェットを持っても良いのではないか、と考えて購入したの物だ。


 しかし、ガジェットの電源を入れ、メインガジェットと連動させようとした時にはエラーが発生して動かなくなったのだ。


 返金をしようにも、基本的にARガジェットは転売を禁止している事もあり、店頭で書類を揃えて欲しいと言われて門前払いである。



 5分後、ガジェットを受け取ってから別の部屋でチェックをしていたスタッフが戻ってきた。あまりにも早すぎて、修理不可なのでは……と蒼空が不安になる。


「これは――修理しても結果は同じだろう」


 まさかの切り出しに、蒼空は無言で驚く。修理しても……と言う事は、これが不正ガジェットだろうか。


「おそらく、これは不正ガジェットで間違いないだろう」


「不正ガジェットですか」


「この手のガジェットは、既にかなりの数が出回っている。素人に見破るのも難しい程の細工がされている」


「どのような細工ですか?」


「それに関しては、悪用される関係で具体的には言えない。しかし、このガジェットは別の正規品に変えることは可能だ」


「では、その方向で」


 詳細を説明できないのであれば、特に虎chリアが首を突っ込むのも無粋だろうと蒼空は判断し、正式品ガジェットに交換してもらう事にした。



 チートガジェットに関しては、アカシックレコードでも嫌になるほど言及されており、不正ガジェットが日本経済にとっても大打撃になると記事に書かれている事もある。


 不正ガジェットが流行すれば正規品よりも割安な偽ブランドが横行、更にはアイドル投資家がARゲームを推しアイドルの宣伝に利用する為にフィールドを荒らす事も容易だろう。


 過去に似たような類似案件は無数確認されており、その時の事例はアカシックレコードから取り出す事も可能だ。


 チートと言えばWeb小説上では異世界転生等とセットで扱われるが、世界線においては超有名アイドルファンや投資家が推しアイドルをゴリ押しする為に利用している。


 果たして、チート勢力を含めて全てを根絶できるのか。若干不安になるが……。

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