表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/95

榛名対ビスマルク(その3.5)

###


 4月1日午前11時40分、先頭グループで接触を起こしてリタイヤしたARガジェットの回収が行われている現場、そこには予想外の人物も顔を見せていた。


「下手をすればギャラリーにも怪我人は出ているかもしれない。超有名アイドルを唯一神にする為には、他人の命さえも――」


 アキバガーディアンの一人がつぶやく。しかし、滅多な事を言うべきではないと他の遊戯都市奏歌ゆうぎとし・そうかのスタッフに制止される場面もあった。


「なるほど。あのガジェットは単純に接触事故を起こした訳ではない――と言う事か」


 巻物型のタブレット端末を兼ねたARガジェットをチェックしていたのは、特殊なデザインをした着物を着ている柏原隼鷹かしはら・じゅんようである。


 アキバガーディアンからサーバールームへの侵入者が確認されたという連絡を途中で受けていたのだが、それでも瞬間移動をしてサーバールームへ行けるような技術は存在しない。


「何処の誰がアカシックレコードを独占使用しているのか――アレはパブリックドメインとも言うべき存在、この世界に生きる者にとっての共通財産のはず」


 柏原はあのアカシックレコードを厳重封印していた事に関して、別の目的を持っての封印をしていたようだ。


 そして、あれを共通財産にする為にも超有名アイドル勢力や悪質なクレーマー、悪目立ちをするネット住民などを駆逐する必要性がある、と。


「ガジェットには大きな損傷は確認されませんでした!」


「どういう事だ? この損傷は激突だけで起きたとするには謎すぎる」


「しかし、監視カメラの映像でもそれらしい物は――」


「まさか、カメラの映像も書き換えたと言うのか!?」


「監視カメラの映像が改ざんされたのであれば、それらしい痕跡もあるはず。それがないという事は――」


「一体、何がどうなっているのか?」


 スタッフの2人が監視カメラの映像を確認するのだが、接触する様子は映し出されている一方、激突の瞬間は映っていない。


 カメラの故障や映像の改ざんではなく、別の何かが影響している事は間違いないのだが――。



 この様子を遠目で見ていた柏原はガジェット自体に損傷がある訳ではなく、外部のARフレームに原因があると考える。


「これは、CGを表示するARフレームのプレートに原因があるようです。プレート自体に傷が付いていないので、もしかすると初期不良かもしれません」


 2人のスタッフに割り込む形で姿を見せたのは、身長189センチの長身と言う女性。その身長を見て、スタッフの方は驚いている。


 彼女の名は桜崎未央さくらざき・みお、レースを観戦していて気になる箇所があったのでそれをスタッフに尋ねようとしていたらしい。


「プレート? これの何処に?」


「あのアーマーは実際に装備されているのではないのか?」


 スタッフの方は、どうやらARゲームの知識は最低限のみしか覚えていないようだ。


 それで、よくスタッフとして機能しているな――と突っ込みたい桜崎だったが、それをやっているとエンドレスになるので止めている。


「ARゲームで使用するARガジェット、それを武器や楽器、その他諸々のデザインに変えるシステム――そこは採用試験でも出ているはずですよね?」


「ARガジェットはタブレット端末やノートパソコンの形態から武器や楽器に変形するガジェットと思われがちですが、実際に武器へ変形したら銃刀法違反で捕まるのは――って、そこから解説いりますか?」


「まさか、ARガジェットのクリスタルがどのような役割を持っているか――って、クイズ番組やクイズゲームでも雑学として取り上げられる所も言う必要がありますか?」


「Web小説にあるようなVRMMO物、それに使用されている方が仮想現実であるVR。ARは拡張現実――ARガジェットのアーマー等に使われている技術――」


「別のカードゲームアニメで言う様なビジョン等も、拡大解釈でARとしている場合もありますが――それと同じような技術を使っているのが、ARガジェットなのです。分かりましたか?」


 ここまで来ると桜崎のワンマンショーである。他にも色々と言及しているようだが、スタッフの処理能力では追いついていないようだ。


 スタッフ2人の方は慌てている一方で、周囲のギャラリーは訓練されているらしくツッコミをするような気配はない。


 それに加えて、一部の超有名アイドルファンや悪目立ちの勢力が風評被害を広めるために携帯で写真を取ろうとしている姿も――。


「そこまでにしたらどうだ?」


 桜崎に声をかける人物、それは遠方から様子を見ていた柏原である。そして、柏原は隠し撮りをしているであろう人物の方を振り向く。


「申し訳ないが、こちらとしても超有名アイドルを唯一神にするという野望をアンチ勢力の被害妄想等で片づけるほど――」


 次の瞬間、柏原の巻物型タブレット端末から現れたのは戦闘機のCGである。しかし、この戦闘機はただのCGではない。


「馬鹿な! 携帯の電源が――!?」


 男性の手に持っていた携帯電話の電源が突如として切れたのである。戦闘機のビーム攻撃と思われる攻撃が携帯電話に命中した次の瞬間だった。


 どうやら、柏原の放った戦闘機は非常事態に対応する為のAR技術を応用して生み出した特殊プログラムらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ