決戦の地、遊戯都市奏歌(その6.5)
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4月1日午前11時20分、第3レースの開始時刻が遅れる事が告知された。その時間は10分遅れの11時30分。
『コースの変更に伴う、交通整理で時間がかかる事が判明し、該当する部署に連絡中です。作業完了まで――』
放送が流れると同時に観客が別のARゲーム観戦に移動すると思ったが、そうではないようだ。
この辺り、ARパルクールでは訓練されていると言えるのかもしれない。
「11時30分か」
「道路舗装ならば仕方がない」
「シティフィールドを含め、ARパルクールのプレイ料金等で道路舗装を含めた整備も行われていると考えれば――」
ギャラリーの方も遅れている事情を知っている以上、急がせる事はしない。下手に急がせて事故につながったら大参事だと言う事を知っているからだ。
時間は若干巻き戻り、2018年1月中旬。
草加駅より若干はばれたエリアの道路、そこでは道路を貸し切り状態で行われている物があった。
それがARパルクールの一つ、シティフィールドのゲリラロケテストだと言う事を周囲の通行人は知らない。
今回のロケテストは警察に道路の使用許可を取った上で行われており、警察が許可を出さなかったらシティフィールドの運営が逮捕され、ニュースになっている所だ。
順調にロケテスト及びガジェットの試験運用が行われている中、一つの事件が起こった。
詳細はニュース記事にもなっていない為に不明だが、ある過激派勢力がガジェットに細工を行い、意図的な暴走を引き起こしたのだと言う。
これによって大事故が起こる一歩手前だった。しかし、これを何とかして阻止したのが――ネット上によるとビスマルクに酷似した外見の人物だと言うのだ。
しかし、それが事実だとすると――矛盾が生じる可能性がある。
午前11時25分、ARガジェットの準備を行っていたビスマルクはふと事件を思い出していた。
「嫌な事件だった。あの影響で、私はチート勢の行うランキング荒らしに対して――」
シティフィールドで発生したARガジェットの暴走、この原因はネット上でチート使用による物と発表された。
ARガジェットにはチートシステムが感知される事で誤動作を行い、ガジェットを起動しないようにするシステムが実装されている。
しかし、シティフィールドで発生したガジェットの暴走は、ビスマルクが当時プレイしていたARサバイバルゲームのエリアにまで及んだ。
その時のチートプレイヤーが取った行動、それが何だったのかは分からない。
ただ、それを見たビスマルクは激怒を通り越して開き直ったとしか思えないような行動をとり――気が付くと周囲はチートガジェットの残骸の山となっていたと言う。
「あの時は何をしたのか分からなかった。バウンティハンターとしての力なのか、それとも別の何かなのか――」
その際にビスマルクのARガジェットから発生した蒼い光、それはアカシックレコードのフルアクセスに類似した物と目撃者は語るが、真相は不明のまま。
果たして、ビスマルクは本当に当時の出来事を忘れているのか? 全ては、このレースが鍵を握っている。




