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パルクール・オブ・シティフィールド  作者: 桜崎あかり
ステージ1
6/95

その名はヴァルキリー(その2)


 午後1時15分、ARゲームの情報を発信する為に各地のゲーセンやARゲーム施設にい置かれたセンターモニター。


 そこでは各地のARゲーム状況をニュースとして伝える番組が放送されていた。


『ハローピープル! 今週もARゲームの最新情報を伝えていくわよ。司会進行は、リディアでお送りするわね』


 モニターに映し出されたのは、銀髪のメガネをかけた博識タイプの女性キャラである。ちなみに、実写ではなくCGモデルのアバターだ。


 声に関しても、フリーのアナウンサーは起用せず、音声合成ソフトも使用している形跡はない。どうやら、声優を起用しているようだ。


 ただし、予算の関係上で新人声優を起用しているようだが……。


 過去にこのARゲームニュースからデビューした声優もいる位なので、特撮作品における主役起用からの俳優デビューと似たような物だろうか。


『最初のニュースは、ARブラスターの話題よ。今月末には賞金総額2000万円のトップランカー大会予選も開催されるみたい――』


 ARブラスターの予選会映像と思われる映像でハイスコアを叩き出していた人物、それはある人物にとっては衝撃的な人物だった。


「ビスマルク――まさか、ARパルクールへ鞍替えしたと言うのか」


 服装は普段着+リュックサックと言う女性、黒髪のセミロングにブルーライト対策の眼鏡をしている。


『――既にビスマルクは予選会を免除、それ以外にもトップランカーが数人程免除されているみたいだけど……目立ったプレイヤーがいない事で、混戦の予感がするわね』


「混戦しないというのは違うな。ビスマルクの実力を、低く見積もり過ぎている」


 モニターを見ていたメガネの女性、大和やまとアスナはニュースを見てビスマルクに関して過小評価している事に疑問を持つ。


『速報です! 埼玉県の一部で展開中のARパルクールで決勝辞退者が現れたようです。辞退したのはシティフィールドの榛名・ヴァルキリー……』


 リディアの表情は慌てているような気配だが、文章を読む声は慌てている様子がない。おそらく、こちらは運営側の演出ミスだろうか。


 しかし、榛名のレース辞退に関しては話題が拡散されたのは事実だろう。



 午後1時20分、お昼を食べ終わった蒼空そうくうナズナはタブレット端末でARパルクールに関して改めて調べていた。


 アンテナショップでは一定の話は聞いたのだが、それでも完璧とは言えない。説明書を読んだだけでは、情報量としては不足している可能性が高い。


 基本的にARゲームではレビュー等と言った物はあてにならない事がつぶやきサイト上でも言及されており、それを踏まえて全く別の観点から情報を調べる事にする。


「アタックモード?」


 そこでARパルクール、それもサバイバーとシティフィールドを丁寧に比較したサイトがあった。まとめサイトの類にあるアフィリエイトの類は確認されていない。


 内容に関しては単純な比較だけであり、特に批評が書かれている訳ではなかったが。


 その中で蒼空が見つけた記述、それはレースとアタックの存在だった。レースは単純にコースを2周するだけの物、アタックに関しては基本はレースと同じ一方で……。


「アタックモードでは、相手を攻撃する事が可能であり、設定された耐久度ゲージがゼロになるとリタイヤ――になる!?」


 最後の一文を見て、思わず驚いてしまったのだが……アタックモードにはリタイヤと言う概念があるらしい。


「パルクールにも怪我は付き物だが――これが認められているのか?」


 しかし、公式の方でもルールが設定されている以上は認めているらしい。さすがに殺傷行為はARゲーム全体でも禁止されており、相手を再起不能にする等の様な目的の妨害は失格対象となる。


 それに加えて、アタックモードはARガジェットでの攻撃に限定され、本物の刀剣類や拳銃を持ち込む事は出来ない。この辺りは当然と言えば当然か。


 こうしたアタックモードは観客が盛り上がる一方で、本当に必要な物なのか――と議論されている最中だ。


 実際、ARゲームには対戦格闘などのカテゴリーが存在するが、予想以上に盛り上がっていない箇所が指摘されている。


 ARゲームはアーケードゲーム等とは必要とされているジャンルが違うと言う事なのかもしれない。



 午後2時、草加市内の別エリアではシティフィールドの別レースに参加する榛名の姿が目撃された。


 実は、こちらのレースが榛名にとっての本命だったのである。決勝を辞退したレースは時間稼ぎだった説も高い。


「あの勢力は――いないか」


 榛名は周囲を確認し、ターゲットを捜索する。しかし、それっぽい人影は一切ないようだ。


 一方で、その様子を見ていたマスコミが警戒しているようだが、近寄る様子は一切見せていない。


 マスコミが近寄らない理由は、榛名がアキバガーディアンという組織に所属しているからだろう。


 その証拠として、榛名のガジェット――肩アーマーの辺りにアキバガーディアンのエンブレムがプリントされている。


「どちらにしても、このレースにはあの人物も来るらしい。そちらを狙うべきか」


 榛名のターゲットは、ある勢力だけではなかった。その人物とは――。



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