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仕組まれたレース(その5)

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 3月12日午前11時40分、気が付くとスタンバイをしているプレイヤーは10人と少なくなっていた。


 これに関しては、フライングで失格になった5人以外にもガジェットに不具合が発生し、復帰不能になったプレイヤーも辞退をしている。


 ここまで人数が減った事に関し、フルバーニアンの人物は何もコメントする事はなかったという。


 蒼空そうくうナズナもレースに集中したい為か、プレイヤーの辞退に関しては何も考えない。



 その一方で、辞退したプレイヤーはARゲームの記者に対して――。


「ARゲーム自体がビジネスチャンスと考えている企業が、一部のプレイヤーに投資をしているような気配がする」


 その男性は、記者にこう答えた。その表情は深刻そうな物であり、あまり力のこもった発言には思えない。


 その後も彼の話は続き、一部の動画配信サイトでの有名人、元アイドル等をスカウトしては、ARゲームプレイヤーとしてデビュー……という噂もあるらしい。


「あまり大きな声で言える事ではないが、超有名アイドルの芸能事務所が何処からかチートツールを手に入れ、それをネット上に拡散しているらしい」


 その一言を聞いた記者の方が逆に驚いていた。それ程、チートツールのルートに関してはスクープとも言える物なのだろう。


 彼が姿を消した後は別の人物のインタビューを続けていたのだが、今回のインタビューが使用される事はなかった。


 その理由は芸能事務所の圧力的な意味ではなく、シティフィールド運営が無用な混乱を招く信用に欠けた発言は発信できないと言う物がある。


「結局、今回の取材も不発か。しかし、東京の方へ投稿すれば――」


 記者の方は悔しそうな表情を見せるのだが、これを東京の方へ発信すれば――と考え、つぶやきサイトへ投稿しようと準備をする。


『単純すぎる手だ。結局、お前達は芸能事務所の投資家という事か』


 記者の背後から姿を見せたのは、ARガジェットも装着した状態のエクスシアである。このタイミングでエクスシアが現れた事に、周囲は驚いているのだが……。


 そして、このなりすまし記者がどうなったかというのは――想像に難くない。アキバガーディアンに突き出されたのは確実だろう。


 実際、エクスシアを倒す為に伏兵を差し向けた結果、エクスシアの怒りを買ってしまったのである。


 その後、エクスシアの無双タイムになったのは間違いないだろう。



 午前11時45分、今度はフライングもなく無事にレースは始まった。


 トップは周囲が本命と思っていたランナーだが、2位と言う順位にいたのはフルバーニアンだったのである。


『あのスピードは――人間のスピードではない。まるで、バイクを思わせる』


 レース開始直後、スタートのシーンを見る事は出来なかったが。エクスシアはレースの様子を確認していた。


 そして、何かを見極めた後に姿を消してしまった。別の目的がなければレース観戦にもう少し余裕もあっただろう。



 同時刻、レースが始まった辺りで実況の方も盛り上がっていた。


 実況と言ってもスポーツ中継の様な物ではなく、つぶやきサイトを利用した実況である。


 このような実況でも、人が集まる事もあり、多い時には100人単位が該当するタイムラインを確認する程だ。


 しかし、このような手法が違法と判断しているARゲームも存在する。


 特にアドベンチャー要素が高い物、脱出が目的となっている物はネタバレの観点から実況をNGとしている。


 対戦格闘であればプロレス実況の様な物が付く場合もあり、こちらは運営側が歓迎しているようだ。


 パルクールに関しては、条件なしの許可を出している所もあれば、条件を付けている場合もある。


 シティフィールドは条件なしの方に該当するようだ。


【フルバーニアンが2位とは意外だ】


【あのシステムは人間が扱える物じゃない。何故、ああいうシステムを解禁したのか】


【解禁はしていないはずだが――フルバーニアンの技術は】


【もしかして、アレも偽物?】


【偽物と言う訳ではないと思うが――】 


 実況でもフルバーニアンの話題が浮上するのだが、詳細を話せるような人物はタイムラインを見ていない可能性が高い。

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