バウンティハンター・シヅキ(その1)
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・午後11時47分付
誤植修正:引き金を飛行とする→引き金を引こうとする
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3月11日午後1時、蒼空ナズナはある勢力に囲まれていた。
その勢力とは、超有名アイドル投資家と言われる勢力である。どうやら、彼らにとって蒼空が邪魔な存在と判断したらしい。
「貴様が例のゲームに楽曲提供をしたのは割れている――」
ビームライフルを蒼空に突きつけている投資家の男性、彼の言う事には覚えがない。おそらく、誰かの芸名と勘違いしている可能性もあるかもしれないのだが。
蒼空は何かのタイミングを見極めて撒こうとも考えたのだが、それが出来なくなった理由は瀬川菜月と遭遇したからである。
「瀬川は音楽ゲームでは有名な人物――その彼女が目を付けたという事は、貴様も例の音楽ゲームに関係があると言う事だ」
完全に勘違いをしているとしか思えない、と蒼空は思っていた。
【あの勢力は、アイドル投資家か?】
【違うな。あれはアフィリエイトで荒稼ぎしているネット炎上勢力――その可能性が高い】
【どうやら、彼らは自分達が地球上の全財産を独占しようとしているのかもしれない】
【地球上は言い過ぎだろう。それこそ、Web小説のテンプレ小説の見過ぎと言われる】
【そう言われてもおかしくないだろう? あの茶番は】
【あのままでは抗争に発展する可能性が――!】
つぶやきサイトで実況をしている人物達も、このままでは流血を伴う抗争に発展すると懸念していた。
ARガジェットのガイドラインでも最初のページに書かれている文章――。
「ARゲームは戦争でもなければ、虐殺やテロに悪用されるべきではない」
白衣姿の女性が、唐突に姿を見せる。まるで、光学迷彩を解除して姿を見せたかのような出現方法だ。
しかも、ビームライフルを突きつけているアイドル投資家と思われる人物の目の前。無謀もここまで来ると――。
そして、次の瞬間にはCQCを駆使してアイドル投資家を――瞬間的に姿を見せたと思ったら、無力化に関しても一瞬。
「こいつ――バケモノ!?」
投資家の男性がビームライフルを撃とうと引き金を引こうとするのだが、それよりも彼女がライフルを持った腕を極める方が早かった。
「いつまでも、コンテンツ産業がタダ乗り勢力やネット炎上を遊び半分で行う様な勢力――お前達の好き勝手に動くと思うな!」
その後、投資家の男性は彼女の顔を見て、相手にするべきではない人物に目を付けられたと感じたのである。
3分後、無力化した投資家はアキバガーディアンへ突き出し、そこから彼らの素性も明らかになると彼女は思う事にした。
「あなたは――!?」
蒼空も彼女の顔には見覚えがあった。リアルでは遠目で見た程度だが、確か名前は――。
「シヅキ=嶺華=ウィンディーネ――人は、バウンティハンターとも呼ぶ」
シヅキ=嶺華=ウィンディーネ、過去にいくつかの事件を解決させた傭兵とネット上では言われている。
しかし、彼女の様な実力者であればネット上でも情報が多く転がっていてもおかしくはない。
そのはずなのだが、彼女の情報はアカシックレコードでもごくわずかしかないのである。まるで、彼女の存在が機密事項であるかのように。