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チートプレイヤーとの遭遇

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 3月4日午前12時10分、蒼空そうくうナズナは軽い昼食をしている。


 目の前にモニターが設置されており、そこでエントリーしたレースの時間等をチェックする事が出来るようだ。


「予定時間は午前12時45分頃のレースか――」


 コーヒーを一口、その後にたこ焼きに似た食べ物に手を付けると、何かたことは違った物が入っている事に気付く。


 決してまずい訳ではないのだが、味の方は悪くない。逆に、こうした理由の方を聞きたい位だ。


「たこ焼きと思っていたが、まさかのチョコレート入りのホットケーキか……」


 厳密にはプチシュークリームのたこ焼き版と言うべき物だが、ギャップ的な部分もあっての人気メニューである。


【黒い疑惑浮上か? 危険薬物所持で逮捕】


【炎上商法を行っていたタレント、炎上商法防止法違反で逮捕】


【ARゲームイベントにデジタルチケット検討か?】


【まとめサイトの一部を閉鎖。芸能事務所との親密関係か?】


【行き過ぎた特典商法。規制の手段なし?】


【ARゲーム、イースポーツ化進まない理由】


【ARゲームは安全なスポーツか?】


 目の前の端末では、インターネットも普通に見る事が出来るので、ニュースサイトを調べると――色々な話題が出ていた。


「パルクールに関しては言及がない?」


 蒼空は疑問に思う。たまたまサイトにパルクール絡みの話題がないという事もあり得るが、更新時間を考えると――。


「どちらにしても、今は考えるのをやめよう。レースに集中できなければ、同じ事だ」


 早めにお昼を食べ終わった蒼空はARガジェットを右腕に固定し、受付の方へと向かった。



 午前12時30分、蒼空も受付とは別の場所でガジェットのチェックを行う。こちらに関しては、特に問題はなかったようだ。


「慌ただしいように見えるのは……」


 周囲を見回すと、何かが壊れたような形跡がある訳ではないのだが、スタッフが慌ただしく動いているのは分かる。


 それに対し、蒼空は自分のガジェットが問題あったのでは……と思い始める。一部のチェックを受けている人物も心配そうな表情をしていた。


「アレは――先ほどのレースで怪我人が出たと連絡を受けたので、救護チームが出動したのです」


 目の前の男性スタッフがさらりと言う。こういう事を簡単に言っていいのだろうか?


「救護チームって、レスキューチームが出たという判断でいいんですよね――」、


 スピードレースで言う所のセーフティーカーみたいな物とスタッフも言うのだが、そこまでの事があってレースに影響がないのだろうか?


「セーフティーは出動しましたが、コースの変更を行うので問題はありません。怪我人の方も、重症と言う話ではないので――運営が問題ないと判断すれば、こちらからは何も言う事はないですね」


 向こうが問題ないと言及する以上、蒼空もヤブヘビだと考え、これ以上の発言は避けた。



 ARパルクールではサバイバー及びシティフィールドを含めた全ての競技で、怪我人の対処方法を含めてガイドラインが定められている。


 これはスポーツと認識されそうなARゲーム全般に言える事であり、ARアーマーやスーツ等で安全性が保たれていても……と言う事を意味していた。


 スポーツとは認識されていないARリズムゲーム等には、セーフティーカーを含めたガイドラインは存在しない。


 これに関しては、禁止している行動をすれば怪我をすると言う事を警告している部分も関係しているが――。


「スポーツの場合は、プレイヤーの体調に左右される可能性もある。怪我人が生まれる可能性は……スポーツ系の方が上と言う事か」


 体調的な部分はゲームのジャンルによっても左右される場合があるのだが、ARゲームの場合はジャンルによって大きく左右される可能性が高いという事らしい。



 同日午前12時35分、レースの準備が完了し、該当プレイヤーに対してコースへ集まるようにと言う放送が流れ始めた。


『該当するプレイヤーは、3番フィールドへ移動をお願いします。繰り返します――』


 集まったプレイヤー数は15人、自分を含めての人数である事を補足する。


「次々と選手も集まっているが――」


 ガジェットの画面に10と言う数字が浮かび上がるが、これはマラソンで言うゼッケンと同じ物らしい。


 このシステムに関しては蒼空も関心する一方で、大規模マラソンの際にどういう風な対応をするのか……という疑問も浮上する。


「お前も参加者のようだな」


 背後から気配を消さずに姿を見せたのは、黄金の鎧を装備したかのようなプレイヤーだ。


「あなたは、あの時の――」


 顔は見なくても、黄金の鎧を見て判断が容易にできた。あの時にクレームを付けた黄金のガジェットの使い手である。


「こちらとしても世紀のルートで手に入れたガジェットを使っている。まとめサイト等で例えられている違法ガジェットと一緒にしないで欲しい物だ」


 彼の方はスタッフの対応に関して不満を持っていた。あれから更にチェックを入れた後、出場を許可された。


 遅れた原因が彼と言う訳ではないのだが、そう思っているのは蒼空以外にもいた。


「あんなチート勢、簡単にひねりつぶすのよ!」


 どう考えても応援に聞こえないような声が、観戦専用のレーンで聞こえたような気がする。


「この力はチートじゃない! このガジェット程度でチートと言われるのであれば、榛名・ヴァルキリーや島風のガジェットはどう説明する?」


 黄金のガジェットがどの位の能力なのかは、分からないが――榛名はるなヴァルキリーのガジェットが通常の3倍とも言えるスピードが出る事を例えに出した。


「確かに榛名のガジェットは常識では信じられない速度を出せる。しかし、アレはガジェットのカスタマイズで可能になった物であり、あなたの様な外部ツールを使った訳ではない」


 観戦エリアにいたと思われる、一人の女性が姿を見せた。彼女はARガジェットを腕に装備しており、それを見た蒼空は――。


「参加者なのか?」


 蒼空の発言を聞き、彼女は腕に固定したARガジェットで何かのコマンドを入れたような――。


「私は参加者とは違うわ。あくまでもARパルクールは観戦が――」


 下手に発言しては、他の勢力に発言を悪用されると考え、途中でごまかす事にする。


 黄金のガジェット使いは、その女性に向けて殴りかかろうとした。しかし、それを済んでんで停めた人物は――。


『貴様たちはARパルクールと言うゲームを炎上させたいのか? そうでないというのであれば、レースで証明して見せろ!』


 その声は男性の様だが何か不自然なノイズも存在する為、あの声は作り物と考えるが……。


「確かに、レースでチートではないと証明すれば話が早い。エクスシア、お前の案に乗るのは不本意だが――」


 どうやら、黄金のガジェット使いはエクスシアと呼ばれた人物の提案を受けるらしい。


 そのデザインは榛名がSF系の等身大パワードスーツがモチーフデザインと言う事に対し、エクスシアは巨大ロボット物のロボデザインに似ている気配だ。



 午前12時40分、メンバーの方も揃った事で、遂にレースの方も始まろうとしていた。


「勝つ事は優先すべき事だが、まずは完走を目指す……」


 蒼空は別のエリアでARアーマーを装着、それからフィールドに引かれている白線の前に立つ。


 アーマーに関しては転送と言うパターンと直接の装着型が存在する。


 さすがに某魔法少女や変身ヒロインみたいに全裸状態から装着、特撮ヒーローみたいに瞬時変身みたいなことは不可能のようだ。


 しかし、将来的には関係する法案等を踏まえて実現したいと言う趣旨の発表は行っている。ある意味で公式が病気かもしれない。


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