歯車を見つけよう
ロボットとの生活はすんなり順調に進んだとはいかなかった。母親にロボットを匿っていることがすぐにばれたのだ。
まあ、いつも学校から帰ってきては飼っている猫を必要以上にかわいがり借りてきたアニメを見て一日が終わるクズ娘が、いきなりだだっ広い裏庭のもう誰も使っていない倉庫に行くのだから誰でも疑うのは当たり前だった。
私がロボットに質問という尋問をしていた時に蔵の扉が開いたのだ。「誰だ!」とホラー映画さなからのリアクションを取る私とポカンとする母親。これが10分前の出来事だった。
「あのロボットさんはどこから来たのですか?」
「ここから数万光年彼方先の〜」 とロボットに質問すること数分。
「これがロボットさんの〜」とまだ質問攻めをする母親。
まて、母よ。私もまだロボットに聞きたいことがある。それを私より母親がするなんて…と思いながらも母親とロボットの会話を聞いていた。ロボットに驚かないところなどこの母あって私だなあ。とは思いたくもないがそうだろうな。と無駄に関心をしてしまう。
「ところでこんなロボットを匿っているけど誰の了承を取ったのかな?私の娘は」
母親が私の方を向いて聞いたきた。
「えっと…ダイちゃんかな…?」
目を泳がせながら私は母親の問いに答える。
「ダイちゃんは猫でしょう」
「ハイ。トラ猫です」 無理か。だが私はきちんとトラ猫に了承はとっているのだ。
「でも、母さん!私ダイちゃんにきちんと裏庭の蔵にロボット匿っているから気をつけてね。って言ったらニャーって鳴いたよ」
「それは餌くれ下僕としての意味で鳴いたのでしょう?」
「うっ…」
それもそうだ。我が家のトラ猫は太っていて餌が大好きなのだ。餌くれとしか鳴かない。くそう。
「でもね、ロボットとか猫を匿う時はお母さんに言いなさいって言ったよね?」
「は?ロボットを匿う時?」
「今じゃない?」
だめだこれは。母さん。ロボットを匿う時って猫とロボットを一緒にしているところやロボットを匿うって選択肢が入っている時点でおかしいよ我が家の母は。
「ロボットさん匿ってもいいよ」
「へ?」
な、なんだってー!?母上それは真か!?と言いたくなるのをぐっと堪えて母を見つめる。
「その代わりに面倒は見ること。勉強はすること。特に英語」
勉強を消費税みたいに付けてきたな我が母上は。
「わかった。勉強も面倒もみる。猫も可愛がる」
「これ以上猫を可愛がると前みたいに引っ掻かれるわよ」
ふーと母がため息をついた。前に可愛がりすぎて猫にスリスリして引っ掻かれたのを母に見られたのだ。
引っ掻かれたところが顔でキズになったのを「乙女の可愛らしい顔になんてキズを!許さん」と言っていたのを私の兄がチラリと見て
「良かったじゃねえかヘンテコなお前の顔に似合うキズができて」と笑ってきたのが記憶に新しい。
ムキーと過去の記憶を思い出して怒っていた私の後ろで母とロボットが「あんな変な娘ですがよろしくお願いいたします」「いきなり匿っていただいてすまない。こちらもよろしく」と挨拶をしていたのはまったく知らない私だった。
その後母になぜロボットにあまりビックリしなかったのか、と聞くと
「あんたのアニメを見たらビックリしないわよ。それとお母さんも昔おじさんと好きなロボットアニメを観ていたからね」
と笑いながら答えてくれた。やっぱりロボット好きなのは血筋からみたいだ。