12;00~17;00
PM0:50
「あー美味しかった!」
いや流石だわ藍様!狐に稲荷、河童にキュウリを作らせると大したものだ。九尾の御狐様が作ったんだ、御利益ありそうでテンションが上がる。
佐賀の祐徳稲荷神社に来てくれんかなあ。休日ならいつでも行くのだが。
「しっかし…あとどれだけ居るんだろか?紫が発起人なら霊夢、萃香、幽々子は堅いし、霊夢つながりで魔理沙…強敵ぞろいだな」
指おり数えるたびにテンションが下がる。みんな強いやつばかりだ…萃香なんて一度も勝ってない…いやあれはダブルスポイラーの話か。
東方の格ゲー系は全くやったことがない。格ゲーはロクにやらないからなあ…。スーファミのストⅡが最初で最後だっけ。技使わずベガ倒したなあ…。
どうせだったら今すぐに射命丸のカメラが欲しい。弾幕を撮って消すカメラなんて誰が作ったんだろう?
『独り言激しいわねえ』
「一人暮らししてると自然にこうなるんだよ」
『あんたは一人暮らしする前からでしょ?その妄想癖は』
「バラさんでいいわ!」
ブッシュウウウ!!
「ん?げえええ!!勇儀姐さん!!」
昼飯後にいきなり鬼かよ!昼食に炒った豆でも出してもらえばよかった!あ、でも勇儀姐さんって手加減してくれるんだよな?
だったらいっそ琵琶湖の水と同じぐらいの焼酎を呑んでから来い!こっちはただの一般人なんだから!
「“四天王奥義”三歩必殺!!」
「全然手加減していねえええ!!この鬼―!!」
勇儀から逃げていたが、すぐに振り返って全速力で勇儀に近づく。なんせこれは…
ドン!ドン!ドン!
三歩踏みしめる音と共に、勇儀から離れるほど密な弾幕が張られる。だから近寄ったのだがこれは恐い!
弾幕が密に集まっていることもあるが、目の前に鬼がいるというのは恐い!鈍感な俺でもオーラがひしひしと伝わってくる。
後ろに下がりつつ避けていく。そしてまた近づいていく。これを繰り返すだけだが、昼飯後で全速力ダッシュはキツイ…
高校時代バトミントンで鍛えた持久力は一体どこに行っちまったんだろう。
3…2…1…Time Up!!Get Spell!!
「ハーッ、ハーッ…。でもまあ、大江之山嵐よりましだったかもな。勇儀姐さんのスペカじゃあれが一番嫌だった」
確かあれはにとりのオプティカルカモフラージュで攻略してたな…。右上から来る高速大玉の嵐は精神的にも危なそうだ。
ガパアッ!
『ご褒美よ』
「…お、エアーサ●ンパスとアク●リアスか。なんか少しご褒美のランク落ちてないか?嬉しいけどさあ」
といいつつもきっちり筋肉に吹き付け、水分と電解質を補給する。
『だって勇儀がすごく手加減してたから』
「手加減ってどんな?」
『本来の弾幕の1/10の速度に抑えられていたのよ。言うなればSuperLight Easyってとこかしら?』
「なん…だと…」
『元ネタ知らないのに使うのは止めた方がいいわよ?』
「幻想の登場人物は化け物か!?」
『大半は化け物でしょ!!ガンダムネタ乙』
「そりゃそーだ…美人な化け物だがな。あ、紫…トイレ行きたいんだけど」
『ああ、だったらそこのスキマに行って』
ガパアッ!
スキマが開き、その先に和風のトイレが見える。
「どこのトイレ?」
『私の家のよ。言っとくけど逃げるなんて不可能だからね』
「逃げる気もないよ…スキマ妖怪とかつらすぎる」
30分後
昼飯後の心地よさでまどろんでいた…ああ、この気分いいけど今は危険だ!耐えろ俺!目を覚ませ!
ブッシュゥウウ!!
「今度はこいし!?」
冗談じゃねえええ!Extraなんてボスにすら会えん!友達がクリアした東方地霊殿のExtraをプレイして3分もたずゲームオーバーしたよ俺!?
「“本能”イドの解放!!」
あたり全体にばらまいたハート型の弾が、ランダムに飛び散っていく!見た目は女の子っぽいが至近距離だと怖い!
ハートのとがった部分が怖くて大型ナイフに見えてくる。それに何より…手加減がない!!
こいしの奴め、気分に任せて全力でぶっ放している!!そして俺はこのスペカを見たことが無い!それが一番まずい!
「うおあああ!」
言葉にならん叫びがこぼれる。さっきからグレイズしまくりだ。もちろん狙っていない。気合い避けというやつだ。
むしろ気合い避けというより奇跡避けといったほうが正しいかもしれない。ハートの弾がどう飛ぶかなど、到底見当もつきやしない。
そうこうしているうち30秒後…
「あぁぁーっ!!」
ベシイッ!ピチュゥゥーン!
巨大ハートが顔面を直撃した!
『なんで顔面なのよ…真正面でしょ?』
「あんなん見たら誰でもパニくるだろ!?ハートに囲まれる生活はしばらく無くていいな」
『女の子から愛を貰ったこと一度もないでしょ?』
「送ろうとして送れなかったことはあるけどな…」
昔の痛い思い出に苦笑しつつ、水分を補給する。あ、何かダブルで痛い。心と体が痛いぞ…
PM2:56
「あー、なんか甘いもん欲しいなあ」
体力と精神力を使っていたせいか、甘いもんが無性に欲しくなる。久しぶりにチョコレートでも欲しい気分だ。
ポクポクポク
ビクウッ!
「あーびっくりした!あれ橙?」
「ど~も!藍様に代わって3時のおやつ持ってきました!」
「おお!悪いねえ…何だい?」
「大福です」
「おー!ありがたいねえ!」
「あともう一つ…“天符”天仙鳴山!」
「それも込みかよ!?わあああ!」
丸くなった橙が眼前を横切っていくと同時に弾が飛んでくる!目の前で超スピードに飛んでこられたら恐いぞこれ!?
2回飛び回った後、橙が場の中心に立ち止まる。その直後!
「うぉっと!?」
弾が極小の粒に変化した!!そうだ、こんなスペカだったっけ…。何とか必死で逃げまくり…
Time Up!!Get Spell!!
「あーびっくりした…不意打ちは無しだろよ」
『ガキの使いでも不意打ちやっていたでしょ?』
「東方に不意打ち無いやん!!」
『まあまあ…これがバラエティーよ』
「先言っとくけど、急にパイ投げつけるスペカとか無しだかんな!この企画に合わせて作ったりするなよ!」
『面白そうねそれ』
「止めとけよ!フリじゃないからな!絶対やめとけよ!!」
「あの…月見草さん、大福…」
「ああ橙、ありがと~いい子だねえ」
「では失礼します」
スキマに帰っていく橙見て思うんだけど、橙の教育上これはあまり良くないんじゃないか?
大人になって橙が紫っぽくなったら、ストレスで藍様一気に老け込むぞオイ…
『あ、あとご褒美ね』
ガパアッ!
「お、早苗の“蛙符”手管の蝦蟇か!確か星蓮船のときの…」
『全体に広がる青い閃光ね』
「なんかかっこいい言い方だな…?まあいいや。ではいただきます。お、美味い!」
しっとりしたこしあんの大福を食べる。現在3時25分。同時に出されたお茶を飲みつつまったりと過ごす。
ああ、この時間いいわ…。もう弾幕ごっこ止めて“田舎に泊まろう”の幻想郷ロケとかそんなのやりたい。
『そんなヌルイ企画あなたに向いていないわよ』
「お前俺をどう見てるんだよ!!」
『まあやってもいいけどねえ』
「お、そうか?」
『行き先は妖怪の山ね』
「田舎すぎるだろ!!泊めてくれる人探す前に殺されるわ!!」
ブッシュゥウウウ!
「誰…うわっわぁぁ!?」
あまりの恐怖でろれつが回らない!こいつはあまりにやばすぎるだろ!?紫は俺を殺す気か!?
「なんで…なんで…お前がくるんだ風見幽香ぁぁ!!」
「いくわよ…元祖マスタースパーク!!」
「わぁひゃ嫌やあ!?」
声にならない叫びで逃げる!元祖マスパなんてレアだけど怖い!手加減して課映塚の時のスペカとかにしてくれればいいのに!!
場の中央に一本の細いレーザーが出たその直後!超極太のマスタースパークが放たれた!端に避けていないと直撃する!!
と同時に速い弾がばら撒かれる!レーザーかわしつつこれは恐い!もうすでに恐怖心で心完全に折られている!
「あ、あ、あ、あー!」
叫びつつなんとか耐える。そして…
Time Up!!Get Spell!!
「ハァーハァーハァー…ゲホッゲホッ!!幽香は止めとけって紫…」
『本人は加減してくれたようよ?中央にしかマスパ撃たない旧作“東方幻想郷”のスペカだったし』
「スペカの問題じゃねー!幽香が来ること自体怖いんだよ!そりゃ自機狙いで撃つ永夜抄魔理沙のマスタースパークよりマシだけど!」
『でもなんだかんだ言いつつスペカ使わず避けれたでしょ?』
「使わなかったんじゃない使えなかったんだよ!あまりの恐怖とインパクトで!」
『まあ何にせよご褒美よ』
「…お、魔理沙のノンディレクショナルレーザーか!」
ありがたい!2枚もあると心強いな~
「…というかさ、紫?よく幽香が協力したなあ?確かサディストだけどこういうバラエティ系の話に首突っ込まないはずだろ?」
『数年ぶりに元祖マスパを撃ちたかったらしいわ』
「そんな理由!?」
『旧作を持ってる人は少ないからね~。久しぶりに見せたかったんじゃない?』
「その犠牲に一般人巻き込むなよ!」
『オイシイ役回りでしょ?』
「だから俺は芸人じゃねぇぇー!!」
現在PM4;48
残り15時間12分