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開始!8;00~12;00

それはいつもの朝7時のことだった。真冬の寒さに身を凍えつつ、俺は支度を整えていた。長崎の佐世保とはいえ冬の寒さは厳しい。

いつもの服に袖を通し、いつものように大学へ行く。今日は何の講義だったけな?そんなこと考えながら安アパートのドアノブを回す。

大学までは原付で通っている。慣れてはいるが辛いなあと思いつつ、ちらつく雪が視界に入った時だった。


ガチャリ

「はーい?元気?」


…思考が止まった。何この女!?腰まで伸びた金髪、私よりも背の高くフリルいっぱいのドレスを着ている。

これで街中歩こうものなら「今日って何かのイベントか!?ハウステンボスのキャンペーンガールか!?」と思われるだろう。


バタン!


迷うことなく私はドアを閉めようとした。だがすぐに止められた。華奢(きゃしゃ)な腕なのに、ドアノブ掴んでる力がすごい。

こっちは両腕で歯を喰いしばってドア閉めようとしているのに、向こうは片腕で涼しい顔をしている。

その胡散臭い顔どうも見たことがあるような…そこで思考がフリーズした。


「あ…あなたはもしや」


「一名様ごあんなーい!」


ガパアッ!


「うわああああ!」

いきなり足もとに開いたスキマに飲み込まれ、底の見えない空間に落とされていった…



「痛っ!うわあ!これって!」

何十秒間もの落下の後、俺はようやく底に着いた。そこで周りの空間にたじろぐ。

紫の空間に浮かんだ目に、正直な話持ち主のセンスを疑う。目が合うたんびに寒気がする。この目は誰の目玉なんだよ…


「あれ!?この空間ってもしや…」


「ごきげんいかが?」


「あんたか紫!スキマババアが俺に何の…いやそもそも何いきなりスキマに落っことしてくれてんだ!」

軽く気が動転しかけて言葉が荒くなる。ここに鏡がなくてよかった、あったら俺はひどい顔をしていることだろう。


「これはあなたへの企画よ、そう、あなた…ああ、月見草といったほうがいいかしら?」


「え…」


「なんで知っている?かしら。多少なりとも外の世界は知っていてよ?久しぶりに外の世界に出てきて、ネットで偶然あなたの小説を見つけたわけ」


「紫がネットなんて出来るのか!?」


「式の藍を作り上げたこの私なら、ネットを使うくらい朝飯前よ。笑っていいとものテレフォンショッキング、見させていただいたわ」


返す言葉がない。実際にやりかねん。三途の川幅が計算できる藍の生みの親なら可能だろう。年食ってる割に頭いいからなこいつは…


「なんか失礼なこと考えなかった!?」


「いいや全然!それで、なんでいきなりスキマにたたき落とされたんだ!?」


「いやねえ…あなたずいぶん幻想郷の住人たちで喜劇小説を書いてるようじゃない?」


「まあ確かに。ネタにされたこと恨んでるのか?」

自分の小説を読んでくれたのは凄く嬉しい。しかも幻想郷の紫に読まれたのは作者冥利に尽きるが、色々とイジったから逆鱗に触れそうで怖い。


「いいえ。喜劇のネタにされるのは構やしないわ。そうじゃなくて…」


「そうじゃなくて?」


「いつも小説で私たちがイジられてるけど、あなたには何の被害もないわけじゃない?」


「まあ確かに」


「だからここは一つ、今回は作者に体張ってもらおうと思って」


「俺は芸人か!?」


「ふふ、いいツッコミを期待しているわ。それで、私も面白い企画を考えたの。昔見たやつの幻想郷バージョン!」


「一体なんです?」


「題して!チキチキ!八雲紫プレゼンツ!24時間耐久弾幕ごっこの刑!!はい拍手~!パチパチパチパチ!」


「ちょっと待てえええ!なんだそりゃ紫!なんでガキの使いを知ってるんだ!!」


「ひねりのないツッコミねえ。ああそれと、一応ガキの使いの鬼ごっこ知らない人の為ルール確認よ」

1.月見草は24時間リアル弾幕ごっこをやらなければならない

2.東方キャラが出てきたら、問答無用で即弾幕ごっこスタート

3.一定時間逃げ切ったら月見草の勝ち。紫からボーナスがもらえる

4.月見草は紫のスキマ空間から外には逃げられない(ちなみにスキマ空間はバスケコート2面分くらい)


「ひねれるかこんな状況で!24時間弾幕ごっこってお前!スペカどころかショットも無い俺に弾幕ごっこは成立しないだろ!」


「スペカが消えるまで逃げ続ければいいじゃない。書いてあるでしょ?逃げ続ければあなたの勝ち。ご褒美もらえるわよ」


「あっさり言うな!日曜イージーシューターの俺にそんな真似軽く出来ねえぞ!まず飛べないし!」


「走って逃げればいいわ」


「雑だな!!弾幕ごっこでも当たるとやばいだろ!」


「あー、そこは大丈夫。生と死の境界いじったからマスタースパーク直撃しても死なないわ」


「またサラッと言うなあ…人間にしてみればすさまじい話だろ」

あんな魔砲直撃したら高層ビルでも粉砕できるだろ…弾幕ごっこだから有りなのか?でも恐怖感は相当あるんだが。

世界は違うが、友達に似たような極太桃色レーザー撃つ気がしれない。あんなのまさに魔王だろ!


「でも大丈夫だから安心して。ほら…」

そういうと紫は手の平に光弾を作ると、俺めがけて発射した。


ドォン!


「んぎゃっ!…っってめえ、いきなり何しやがる…」

至近距離で避けることもできず、腹に一発直撃した!


「ね、死なないでしょ?」


「十分痛いぞこのやろう…」


「さて、もうすぐ8時ね。明日の午前8時まで次々やってくる幻想郷メンバーと弾幕ごっこすることになるわ。スキマ空間ならどこでも逃げていいわよ」


「…できれば動きやすい服に着替えたいのだが」


「あら、それじゃ不満?」


「へ?んなあっ!いつの間にジャージに着替えてんだ俺!!」

いつの間にか普段着は高校の時のジャージに着替えされられていた。これもスキマババアのなせる業か!すげえなおい…


「ここに落ちてきて数分気を失っている間に藍が着替えさせたわ」


「自分の式に何させてんだお前!!仮にも男の着替えを女にやらせるなよ!」


「私も女でしょう!!」


「それは…まあそうか。紫も一応女か」


「何でそこに悩むの!?一応って何よ!」


「うっかり忘れてた」


「見てわかるでしょ!……まあいいわ、何か欲しいものある?」


「ロキソニンが欲しい」


「薬に頼るものじゃないわよ」


「あんたが原因だろうが!!鈍い痛みが腹に走ってるぞ…」


「それじゃあ始めるわよ…24時間弾幕ごっこの刑!3,2,1、スタート!」


ブッシュゥウウ!!

突然スキマが開いたと思うと、どこで準備したのか炭酸ガスの噴射と共に誰かが一人出てきた!


「あいつは…げ!パルスィ!?」


「げ!って何よ!もう少し美形が良かったってこと!私じゃ不満!?妬ましい妬ましい…“妬符”グリーンアイドモンスター!!」

眉間にシワがよりつつ、パルスィがスペカを発動した!


「うぉおおおお!」

やばいと一瞬で判断し、まわれ右して走り出す!いきなり現れた緑色の弾の塊が俺にめがけて追ってくる!

大学生になってからろくに走らないもんだから、足が相当衰えている。もうすでに距離が30cm以下に縮められている。


(あ、そういえば…)

急に思い出して、左に方向転換する。ジグザグに走ったりしてれば避けられるはず…。1発目、2発目を避けたのだが…


「たしか3発目は…やっぱり速い!」

全速力で走るも、かかとが既に弾にかすっている。左右に振るもかわせない。というかもう、息が持たない…


「もういいだろ!?もういいだろ!?やめろ!うおおおお!」

もうなりふり構っていられない。頭から飛び込んだ!ようやくここで…


Time Up! Get Spell!!


「おお痛え…鼻すりむいた」

やったこともないヘッドスライディングで鼻を打ちつけた。ちくしょう、帰ったら少しは運動するかなあ…


『やったわね月見草』

突然、くぐもった声がどこからともなく聞こえた。どこからかマイクで指示を出しているらしい。


「ハァハァ…紫、か。初っ端から…パルスィは無いんじゃないか?」


『オープニングには十分でしょ?それと、私がいわゆる“天の声”を担当するわよ。ここから指示を出すの。時間切れでスペルブレイクしたわよ』


「マイク誰が設置したんだ?…ああ、俺はショット打てないから時間切れ=勝ちってわけか」


『そうそう。というわけでご褒美よ』


ガパアッ!


「……酸素スプレーか。ありがたい」

スキマから落とされた酸素スプレーにありつく。酸素ってこんな美味かったっけ。


『でもピチュらないと面白くないわね』


「ピチュるの前提かい!怖すぎるよ全く…」


ブッシュゥウウウ!

「早いな!ってあれ?」

炭酸ガスは出たのだが誰もいない。


「おーい?紫?何してんだ?スキマ開いてないぞー」

そういいつつガスが出ていたところに近づいた瞬間!


「“河童”お化けキューカンバー!」

いきなり緑のレーザーが伸びてくる!


「にとりかこのヤロォォー!!ぷげらっっ!」


ピチューン!!


避ける間もなく1秒で撃たれた。光学迷彩の事完全に忘れてた…至近距離で4本も撃たれたぞオイ!

これが弾幕“ごっこ”でなかったら、にとりは間違いなくドSだな。幽香とかは女王?女帝の方が正しいか?


『あーははは!私がそんなミスすると思った?』


「ウェッホエッホ…。こ…これが弾幕ごっこか。ルナティックシューターはよく近づけるよなあ…」


『いや実際に弾幕したら近づけないと思うわよ』


「おー痛い。何てこった…幻想郷に来たってのに、嫁の顔1秒も見られんとは」


『にとり好きなの?』


「まあな」


『残念ねえ…』


「今あんた絶対含み笑いしてるだろ!」

口調からしてざまあみろと思っている感じがひしひしと伝わってくる。


『ううん。にやけてるわ』


「この企画四季映姫にチクったろか…」


現在AM8:45


「しっかし、弾幕が無いと暇だな」

このスキマ空間なんもありゃしない。リアルに弾を避けること以外何もない。


ポクポクポク


ビクウッ!!

突然の音にビビりまくる俺。ちょっとした音にトラウマなりかけている。いきなり響いた木魚の音にすらビビるとは…


「んん?あ、藍様!?」

現れたのは最強の式神八雲藍。いや美人だなあ…なにより弾を恐れることなく顔を見られるというのがありがたい。


「あ、あの、ち…」


「ち?」

何故かもじもじする藍様。


「ち…」


「ち?」

顔がもう真赤になっている。藍様もしや…


「乳、寄せまっせー…」


「…何してんの」

藍様は腕を下に伸ばすと、二の腕で胸を寄せた。うん…何だろう。男にしてみれば嬉しいのかもしれんが、やらされた感バリバリの口調が空しくて笑える。


「そう言うなよ月見草!何故だか私にもよくわからんのだが、紫様にやれと命令されたんだ!」


「でしょうね~。まさかそこも本家ガキの使いと同じにするとは」


「大体これは幻想郷キャラが普通の人間をイジる企画だろ!なんで私がイジられねばならんのだ!」


「だって俺だけじゃ間が持たないでしょ」


「メタ発言をするなよ!それに月見草だけこれを見るなんて全国の八雲藍ファン敵に回すぞ」


「自分で言うなよ!とはいえ紫の“乳寄せまっせー”は引くしなあ」

まずこんなことやる訳がない。もし見たら心臓がストライキ起こして10秒ほど有給休暇をとりそうだ。


「おいおい…失礼極まりないぞ」


「うーん、紫と藍様がダメなら橙に…」


「私がやります!橙にはガキの使いはまだ早い!」


(藍様わかりやすいなあ…)

まず橙は乳寄せられんだろう、というツッコミは控えることにする。藍様敵に回すと怖い。なんせ俺はEasyの幽々子も倒せなかったんだから…


「ところで藍様は何しに来たんだ?」


「ああ、朝ごはん持ってきたよ。橙、手伝って」


「はーい!」


「あ、本当ですか!?ありがとうございます!」


橙がちゃぶ台を用意し、藍様がおひつと器を持ってくる。これなんかいいな!二十歳そこらにして家庭を持った気分がする。

この企画唯一の楽しみ、藍様の手料理を味わう。これは役得だなあ…藍様作った味噌汁って最高!出しがいい感じに効いている。だけど…


「…なんでこんなドキドキしながら飯食わなきゃならねーんだ」

いつでも逃げる準備万端で飯食うなんて人生初だな。気持ち噛むスピード上がってるし。美味さ半減してるな。


「どうも、ごちそうさまでした」


ガパアッ!


「お粗末さまでした」

藍様と橙がおひつと器を片づけていくのを、“置いてかないで~”という気持ち前面に出した顔で見つめていた。


ブッシュゥウウ!

「今度は…中国か!?」

もう見てから逃げたりはしない。後ろを振り向きつつ走る!


「中国じゃない美鈴だ!」


「字数的に合わねえから無理にパクるなよ!あんたせいぜい真撰組の山崎だろ!」


「余計なお世話だ!“華符”芳華絢爛!」

美鈴の周りに花びらをかたどった様に弾が並び飛んでくる!


「おっとっといとい!!…危ねえ!」

だがきっちり避けてみせた。紅魔郷でも倒せたスペカだしなあ…。たしかノーマルでレザマリ使って、レミリアのラストスペカでやられたっけ。


Time Up!!Get Spell!!


「おー良かった。久々に見たなあ」

それに実際見ると弾の隙間がよくわかりやすい。弾が遅いスペカなら、多少難しくてもかわせるかもなあ。


ガパアッ!


「お、これは!」


『ふっふっふ。正真正銘、霊夢のスペカ“夢想封印”よ!』


スキマから出てきたのは夢想封印のスペカだった。何やら難しい字で夢想封印と書かれている。霊夢が書いたのか?意外と達筆だなあ…


「でも、俺に使えるのか?」


『大丈夫、1回なら使えるわ。夢想封印と唱えればいいのよ』


「大学生で呪文を唱えるってのもキッツい話だなあ」


『あら、高校生で唱えてる子いるわよ?』


「常識というブレーキ失った現人神と一緒にしないでくれ…それに、スペカ使うとご褒美は無しなんだろ?」


『そういうこと』


ブッシュゥウウウ!

「今度は…うわ!妖夢!」

これはまたずいぶんな奴がやってきた!実はこの俺、月見草は妖夢のスペカが大嫌いなのである。前後からくるスペカは苦手だ。

それに妖夢はかなり動き回るのでショットが当たらず苦戦するのである。魔理沙で全く歯が立たないから咲夜で辛勝したっけ。


(でも、夢想封印ならなんとかなるかもしれない!後で誰が来るのか知らないが、ガンガン使うのが俺のやり方だ!)


「行きますよ!」

一気に間合いを詰めてくる妖夢!


「守りより攻めだ!夢想封印!」


本当はただピチュるのが嫌なだけだが、そんなことは関係ない。七色の光弾が妖夢めがけて飛んでいく!


(妖夢にこれを防げるスペカは無いはずだ!いける!)

この至近距離で光弾を防げるはずなど無いと確信していた!


「甘いですよ…“桜花剣”悶々散華!」

妖夢が剣を抜いた瞬間、真正面にいた妖夢が消えた!


ピチューン!!


「あ゛あ゛ーっっっ…」

ありのままに今起こったことを話すぜ!夢想封印で吹っ飛ばしたと思ったら妖夢はなぜか後ろにいて、俺はみね打ちにされていた…

マジックとか!催眠術とか!そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ!もっと恐ろしい片鱗を味わったぜ…


「またつまらぬ物を斬ってしまった…」

楼観剣を鞘に収めると、魂魄妖夢はクールに去って行った。


『ジョジョかルパンか統一しなさいよねえ』


「というか紫!?格ゲーの時のスペカも使えるのかよ!」

冗談じゃないぜ紫!?弾幕ごっことはいえ、みね打ちとはいえこれは恐いぞ!目の前で真剣抜かれてみろ!もう妖夢=みょんと思えないぞ!

あれはどう考えても侍の目だった…今に生きるラストサムライだありゃ…


『私は萃夢想や緋想天といった格ゲーのスペカ使わないって言ってないわよ』


「いや確かにそうだけどさあ…これじゃもはや弾幕ごっこじゃないだろ…」

ちょっとこれはどうにかしてほしい。妖夢は手加減して気を失いかける程度に力加減をしてくれたが、これが天子だったら危なすぎる。


AM10:37

ブッシュゥウウウ!!


「誰…ムラサだあああ!!」

やばい!アンカーとか怖すぎる!!船長おまえ何してんだ!!聖の部下で寺メンバーのお前が参加するなコラァ!

またもダッシュで走り間合いをとろうとする。


「“幽霊”シンカーゴースト!」


ブウウン!

いきなりムラサが消えると、俺から少し離れた所に現れ、円状に水滴の弾をばらまいた!


「え!?え!?何!?」


ブウウン!


逃げても逃げても、ムラサはワープして俺のそばに現れてくる。そして俺との距離がだんだん近くなっている!これは怖い!!

弾逃げながらムラサから逃げろって無理だろ!それに…それに…


「いつになったら終わるんだこれぇぇぇ!?」

なかなか終わってくれない!いままでのやつより長く逃げているのに終わらない!ムラサはどんどんワープのスピードが上がり、距離を縮めてくる!


「まだまだいくよー」


「やめろおおお!俺の…俺の…俺のそばに近寄るなあああああー!!」


ピチュゥゥーン!


『あれ設定時間まで逃げなきゃいけないスペカだから、普通のスペカより設定時間が長くしてあるのよ』


「先に…言っといてくれよ…そこまで細かくやらんでいいって」

あー疲れた。普通のスペカの倍は精神力削られるなこりゃ。設定時間まで逃げなければならない耐久スペカ…6ボスは全員持ってたな。

体力がなかなか減らない、または体力ゲージのないスペカの場合レザマリでも押しきれないから嫌なんだよなあ。


「ってことは、そういうスペカの場合ご褒美でもらえるスペカは効かないってことか?」


『そういうことね。大して意味はないわ。無論弾は消えるけど』


「厳しいなあおい…」

そういうと倒れこみ、天井を見つめる。あー目ん玉気色悪い。センス悪すぎだろ…まさか部屋もこんなんじゃないだろうな?


ブッシュウウウ!!

「誰だ…うどんげだああああ!」

お前もやるのかうどんげぇぇぇ!!人とあんまりかかわりたがらない月のウサギが何協力してるんだおい!


「だいたい医者の弟子がこんなんやるなよ!けが人を増やすなっっ!」


「師匠には許可をもらいましたよ!“散符”真実の月[インビジブルフルムーン]!!」


「うわあ最悪!!」


目に優しくない座薬弾が円状になって飛んでくる!隙間なく並んだ弾が飛んできて、目の前で消えた!


「やばい!」

前に出る!その次の瞬間、消えた弾が再び現れる。消えた時にさっき並んだ弾の前後のスキマの位置を予想し、そこに入り込まなければ!

ここまではいい…ここまではいいんだけど!


「どこにいれば次の弾が避けられるのかわかんねええ!」

消えた後どこへ逃げればいいのか察しがつかない!前に出なけりゃ当たるし、出すぎてもアウトだ!俺はそのへんの予測がからきし出来ない!


「え…」

何回か避けた後、消えた弾が現れた瞬間!弾は…俺の目の前にいた…


ピチュゥゥゥーン!!


「ハァ…ハァ…、あれ消えてる間弾が半透明になってくれればなあ…避けれるんだけど」


『だって最後のスペルに手加減は無用でしょ?』


「そりゃそうだけど…そういや俺、うどんげと目が合ったのに頭がおかしくならなかったな?」


『そりゃそうよ。私が境界いじったんだもの』


「なんの境界?」


『ウサギと人間の境界』


「あんのかそれ!?」


『少し人間寄りにしてやったわ』


「月のウサギをバニーガールにするなよ…」


『そのうちハイレグ着たりして』


「あー…アリだな」


『じゃあ私も』


「ねーよ!」


『何で即答するの!?』


「年齢を考えろよ!」


ポクポクポク


ビクウッ!

「あーびっくりした!これ藍様が出てくる合図だった…」


『いいかげん慣れなさいよ…弾幕ごっこはブッシュゥウ!で藍はポクポクでしょ!』


「そんな簡単に慣れるか!ちょっとした音にも敏感に反応してしまうんだよ!」


「乳…寄せまっせー」


「お疲れさん…」

この企画唯一の苦労人に、精一杯のねぎらいを送る。


「昼食持ってきたわよ」


「おー!ありがとうございます!」

ありがたく藍様の手料理を受け取る。これも一つの役得だなあ…。藍様が作ったお稲荷さんとか貴重すぎる。お持ち帰りできないかなあ。

あ、転生とかの話なら簡単に手に入れてるなあ。ちっ、転生者みんなこの企画強制参加されればいいのに。こちとらどんだけ苦労してると思うんだ!

(ただの八つ当たりである)


現在PM0:07

残り20:53

先はまだまだ長い…



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