表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

白景色

 雪が降っている。

 白くて儚いそれは、僕に当たって消える。厚手のウィンドブレーカーを着ていてもまだ寒い。息を吐くと白く濁っては消える……その繰り返し。ただ一人、暗い闇の中をとぼとぼと歩いている。

 ふと横を見ると、いつの間にか小さな女の子が僕に並んで歩いている。遅れないように、追い越さないように、ただ並んで歩いている。

――どうしたの?

 僕が尋ねても女の子はこちらを向き、白くて可愛らしく、そして何処か悲しげな笑みを返すだけだった。

――小雪

 その女の子の名前だった。

 小雪と、しばらく並んで歩いた。雪は尚しんしんと、止むことを忘れたかのように降り注ぐ。手足は凍え唇は震えるが、何故か寒くは無い。むしろ、どこと無く温かい。

 ……何故? さっきまで僕は寒いと感じていた筈なのに、何故温かい?

 小雪がいるから? 体を動かしたから? 何処を探しても、何を探しても、答えは見つからない。……まぁ良いか。

 こうして歩いていると何だか幸せな気持ちになる……と言うのは大げさだろうか? いつの間にか繋いでいた、小雪のこの小さな手のぬくもりに癒されている自分がいる。

 相変わらず小雪は喋らない。しかし、暇ではない。ただ小雪と二人で歩いている時間が心地良い。もうすぐ僕の家だ、紅茶でも入れてあげよう。

 そのとき、急に袖が引っ張られた。

 振り向くと小雪はこちらに笑みを浮かべた。あの悲しげな笑みではなく、もっと温かい子供の見せるような満足気な笑み……


 ……目を開くとそこには誰もいない。僕の袖を引っ張っていた女の子もいない。

 さっきまで尽きること無く降っていた白く儚い雪は、もう降っていない。

 悲しくなんてない。だって、僕の傍にはいつも小雪はいるから。姿は見えないけど、確かにいるような気がするから。


 気が付くと、僕は家の前に立っていた。

本当、力不足ですみません。ほのぼのとした感じを表現してみました。短い小説ですが、これを読んでくださった方たちの『幸せの器』が少しでも満たされれば良いなぁ…と思って書きました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  書き方で気になったことがあるのですが、三点リーダやダッシュは基本的に偶数回書きます。  六行目の「僕が尋ねるが〜」のところは「僕が尋ねても」など、あまり「〜が〜が」と重ならないほうがいいと…
2007/03/03 22:02 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ