第4話 父から譲り受けた巨大ロボ
夜、巨大ロボでの帰り道
信号待ちでズシリと止まる
ギッ…
膝パーツから不安な異音…
「レガシの交換パーツは来期で終了だし…困った…」
街を見下ろしながら独りつぶやくと
「ピッ」と反応
最近のロボにはない無愛想な返事
それが俺が乗ってる、型落ちの巨大ロボ「レガシ」
まぁ、乗り換える口実にはなるけど
コイツと何年、走っているんだっけ?
信号が青になり、アクセルを踏む
周りの巨大ロボに比べ
なんかワンテンポ遅れてる気がする
ホント、この微妙な“間”
そして、型落ち特有の“コクピットの重さ“
どうにもこれらが父を連想させる
そう、このレガシは父のものだった
金に余裕のない俺は
父の免許返納を聞き
頼み込んで譲ってもらった
だけど
周りを見ると、まあいない
同じレガシは一機もいない
流線形だの大容量だの
そんな奴らがテールランプを見せつけ
俺を置いていく
「新型じゃなくてもいいんだけどな…」
口にした瞬間、胸がざらっとする
助手席に目をやると
小さい頃の俺がこちらを見ている
――新型がいい!
――全天周囲モニターのやつ!
拳を振り上げて駄々をこねる俺
困ったように笑う父
あの笑い方だけは、妙に覚えてる
父は結局、レガシを手放さなかった
今なら
あれは見栄じゃなく
家計と生活の判断だった
それが分かる
家が近づくにつれ
舗装された道が
ロボが踏みしめた道に変わると
振動が子供の頃と同じになり
更に何かが出てきそうになる
「……運転に集中しよう」
そう思って缶コーヒーに手を伸ばすと
「熱っ」
ああ、これもだ
父も同じことを言ってた
「信号三つ越えたら飲み頃だ」
そう言って笑ってた横顔を
俺はどれだけちゃんと見てたのかね
そうだな
最新型じゃものたりないな
流線形が、また一機
テールランプが俺を置いていくけど
急ぐ気はしません
信号は、まだ一つ
ワンテンポ遅れるし
膝パーツも鳴るけど
レガシは今日も
父と俺の間を
一歩ずつ歩いている
読んで頂き、ありがとうございます!
次のエピソードは、高級巨大ロボで旅行に行っちゃう、メンズ2人の話です
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