第2話 女営業の危険なストレス発散
暗い田舎道を駆ける軽巨大ロボ
ヘッドライトは左右に大ブレ
コクピットの女性は眉間に大ジワ
彼女の名はヒマリ
カーテン屋の営業
頑張っているんです
成績も良いんです
小回り抜群、大容量、税金お得
そんな最新の軽巨大ロボを
会社は与えるほどなんです
だけど…だけどね
ヒマリはここ数ヶ月
やられっぱなし
大邸宅の金持ちが
「カーテン全部変えたいの」てな事を言いだし
はい、よろこんで!と
ロボにサンプル大量に詰め込み
馳せ参じ…てみたものの
金持ちはこんなもんなんですか?
色はあれこれ、生地はあれこれ
言う事なす事、変わり続ける
変わらないのはヒマリの疲労
はい、今日も結局
あーだこーだとなりまして
もう、すっかり夜
ロボに乗ったまま直帰です
ヒマリの家は郊外の郊外
ロボがギリギリの田舎道
人もいなく
灯りも少なく
そーじょーこうかで、くらくもなります
でも
営業マンは強いんです
会社の備品も気高く使うんです
ロボのメインモニターから
オーディオをピッと
セットリストにある「ストレス専用」をスタート!
おっと忘れてました
人、いないよね?
メインもサブも全てのモニターから確認
では改めて…
ボリュームを最大
ハッチを全開
警告音が鳴るけど
アクセルを踏み抜き
夜だけどサングラス
脚部アクチュエーターは鈍く光り
アームパーツは翼のようにする
ヘッドライトには
緩やかな下り坂が
道は左にカーブしてる
ロボの左手を側溝へ落とし
制御限界ギリギリで
アクセルを更に踏み抜く
モニターの景色は
後方に流れカーテンのよう
これなら
文句言われないのかな?
記憶が溶ける寸前で
気分が楽になり
恐怖に変わっていく所で
路肩に停車する
「さて…」
音楽を止めると
田舎道の静寂だけ
ロボの肩に乗り
保温ボトルのコーヒーを一口
遠くの街の灯を眺める
だけど落ち着くと
嫌なヤツの顔が浮かぶ…
そうだ!と、社会人なりの報復を考え
ゴソゴソとカーテンのサンプルを漁る
いちばん柔らかい素材はこれだ…
おくるみの様に体に巻き付け
「うん、いいかんじ」
ヒマリはロボの手にそっと包まれ
自動運転にすると
再び帰路へ
明日は
休も…う
読んで頂き、ありがとうございます!
次のエピソードは、人探しが いつの間にか、大事に巻き込まれる男が登場
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