第1話 新入社員は巨大ロボで遅刻する
あなた、どこで寝てるの?
「僕の巨大ロボのコクピットです…」
なんでそこで?
「明日は入社初日なので遅刻しないように…」
ところで今何時?
ハッ!
夢に起こされた、この青年、名はハルト君
昨夜思いついた素晴らしいアイディア
「遅刻しないように通勤ロボで寝る作戦」を実行し
無事、遅刻になった新入社員です
さあ、時計を見て改めて現実を理解すると
ハルト君、一言絶叫
「コンピューター!ハンガー上昇!」
すると、轟音と共に家が上昇
地下の巨大ロボハンガーが地上にせり上がります
ハルト君、狭いコクピットでパジャマから背広に
そしてハンドルを握る!
さあ!巨大ロボ出勤!――なハズが
ロボの足首、暖まっていない
ゆ――っくりと、お隣の家に倒れこむ
するとタイミングがすこぶる悪い
お隣も轟音と共に家が上昇
ハンガーとお隣ロボもせり上がり
これは危ない!
しかし安心
巨大ロボが世に出て100年、死亡事故はございません
超よろけアシスト発動!
プシュっと自動で立て直します
超賢い機能です
しかし、ハルト君も賢さでは負けておりません
なんと昨日の朝、下見で会社まで行っております
迷わずスルスルと大通りへ
「なんで?」
はい、そうです渋滞です
ちなみに昨日は日曜日
唖然と焦りと腑に落ちず
流れに乗ってみたものの
やっぱりとても間に合わない
横見りゃ颯爽と「スラスター機」がホバーで駆ける
あれは専用レーンを通れる高級ロボ
こちらは地に足ついた普通ロボです
いやいや、普通の意地を見せましょう
ハルト君、ナビで迂回路チェック
どうやら街道を使えばどうにかと出たんで、横道へ
これがビックリなんと空いてる
そうなりゃ寄りますコンビニへ
ハルト君はご褒美好きで調子のり
ハイハイハイとコンビニの立体ハンガーにバックでドンピシャ
缶コーヒーひとつ買いまして戻ってみると
はい、高級スラスター機がハンガーにぶっ刺さってる
「勘弁してくれよ!」
しかし幸い、ハルト君のロボは無事
だけどハンガーはボロボロ、出られそうにありません
ポンポン
突然、背後から肩を叩かれるハルト君
振り返ると、「シトラス」の香水が漂う高級スーツのイケオジ
ぶっ刺さったスラスター機のドライバーです
補償しますよ、警察呼びましたよ、なんて言っていますが
ハルト君はそれよりも現実が受け入れられません
その時、ハルト君の頭に昨日ネットで見た
「タスクの優先」という言葉が
そうだ、今やるべきは遅刻回避!
と、いう事で、ロボに乗り込みハンガーをねじ切り脱出
迂回路へ戻ります!
もちろん、外部スピーカーでイケオジに暴言も忘れません
しかし、戻った道は今は今
なんとも微妙な混み具合
ナビも微妙な到着時刻
さあ困った間に合うのか?
と、少し先を見ると大き目の公園…
ハルト君ピンと来た
あの公園、横断すれば会社の目の前!
ナビに確認
時速5キロなら侵入可
巨大ロボOK公園ですよときた
なら!と、試しちゃうのがハルト君、入ります
進みます…
見下ろす公園の木々がゆっくりと後方に流れます…
ジョギング中の高齢男性が足元を追い抜きます…
時速5キロなんてそんなもんです
とはいえ、少しずつ近づく出口
そうだ、と飲みだす缶コーヒー
高齢男性が再び足元を追い抜き
缶コーヒーを飲み終え
ロボの足が完全に出口から…
出ました!
さあ、低速モードが終わりを告げ
法定速度のフルスロットル
狙い通り会社は目の前、ササっと入場
社員専用ハンガーにロボを預けまして
ハルト君、コクピットから降り立ちます、が
はて…見上げると
隣のハンガーに傷ついた高級スラスター機
聞けば社長の巨大ロボ
ポンポン
背後から肩を叩かれるハルト君
「シトラス」の香り
恐る恐る振り返ると、そこにはイケオジ
そして一言
「入社式は明日だよ」
読んで頂き、ありがとうございます!
次のエピソードは、(軽)巨大ロボでストレス発散する女営業マン!
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