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「深海さん、また!」
私は凪先輩に声をかけて走り出した。
「ひまり!!」
蓮くんの声が後ろから聞こえてきたが、蓮くん声を後に私は全速力で走り出した。蓮くんに捕まったらめんどくさいことになる。
蓮くんから逃げるように校舎に入った私は、誰もいない階段の踊り場でようやく足を止めた。
呼吸を整えようとしても、心臓の鼓動がうるさい。それは走ったせいなのか、それとも凪先輩と連絡先を交換できた高揚感のせいなのか。
「……はぁ。びっくりした」
壁に背を預けて、もう一度スマホを取り出す。
画面には、先ほど追加されたばかりの無機質なプロフィール。アイコンも初期設定のままで、いかにも彼らしい。
でも、それを見つめるだけで頬が緩んでしまう。
凪先輩に連絡をしようとしたら、スマホに影ができた。私が顔を上げるより先に、彼は声をかけてきた。
「これ、あなたのですよね?」
大きい目に、茶色のパーマがかかった髪、色白でアイドル顔負けの美男子がそこにいた。
彼は私にハンカチを渡してくれた。
「ありがとう、、ございます。」
私がハンカチを鞄に終い、去ろうとすると彼はまた私が動くより先に話しかけてきた。
「1年生?」
「そうですけど…」
彼は大きい目をさらに大きくして「俺も!」っていって、手を差し出してきた。私も手を出すと強く握ってぶんぶんと大きく立てに振った。
「俺は経営学部の朝霧結弦、よろしく」
「私も経営学部、天野ひまり、よろしく」
彼は屈託ない笑顔で言うと、スマホを取り出し、私にQRコードを見せてきた。
「連絡先交換しよ」
私はさっきの凪先輩との連絡交換と比較して、こんなふうに気軽に声をかけれたらなぁと感心しながらQRコードを読み込んだ。
「また授業であったらよろしく、じゃ」
彼はそれだけ言うと階段を早足で駆け降りていく。
私も帰って明日の準備と…凪先輩への連絡をしようと考えて階段を折りかけたら、私のスマホが鳴った。
………蓮くんだった。
さすがに走って逃げたら連絡してくるよね。
私は一息ついて、電話に出た。
「…もしもし」
「ひまり!?今どこにいるの!」
「A館の1階だけど、もう帰るとこ」
「聞きたいことがあるから待っといて」
蓮くんの明らかに怒っている声に、私は走ったことを後悔しながら蓮くんを待つことにした。




