2−4
蓮くんと3秒ほど目が合っていたが、先に目線を逸らしたのは蓮くんだった。
結弦くんは何かを察したのか、蓮くんに「僕たち急いでるので」といい、私の手を掴んで走り出す。
蓮くんが私を掴もうとする間もなく、私は引っ張られるように走った。
----------------
「っ…結弦くん、まって」
私は肩出息をしながら、結弦くんに話しかけた。
私達は蓮くんから逃げるように走ってきて、気づくと講堂の近くまで来ていた。
蓮くんが追いかけてくる様子もなく、結弦くんは後ろを振り返ってから止まった。
「もう講堂見えてるし、ゆっくり行こ」
結弦くんはまるで走ってないかのような涼し気だ。
なんか最近蓮くんから逃げてばっかりな気がする。別に悪いことはしていないのに…。
昨日に引き続き、蓮くんに後ろめたい気持ちもある。
私が少し後悔が表情にでていたのか、結弦くんは「さっきの人、知り合い?」と聞いてきた。
「うん、2個上の幼なじみ」
「めっちゃかっこいい人だったね」
結弦くんもかなりの美男子だが、蓮くんも確かに負けてはいない。
しばらく蓮くんの話をしながら講堂に入り、受付を済ませると学部ごとに席が分かれていた。
私と結弦くんは経営学部の席に着くと、通路を挟んだ席にりっちゃんがいた。
りっちゃんは「ひーちゃん!」といつもの屈託ない笑顔で私に話しかけてきた。私が答えるより先に、結弦くんが「ひまりちゃんの知り合い?」と話しかけてきた。
「そう、彼も私の幼なじみ」
りっちゃんより結弦くんに先に答えたので、りっちゃんは明らかにムッとした表情をしていた。
結弦くんはその表情に気づいているはずなのに、まるで気づいてないかのように「俺は朝霧結弦、ひまりちゃんと一緒の経営学部。よろしく」と爽やかな笑顔で対応した。
「星名律、理工学部。よろしく」
結弦くんがあまりにもフレンドリーな対応なので、りっちゃんも何もないかのように振る舞いながら挨拶をする。
りっちゃんは何かを言いたげだったけど、オリエンテーションがすぐに始まったため、私と言葉を交わすことはなかった。




