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第12話「帝国の超兵器!ロマンと力の絶対領域」


準決勝!超兵器【マギウスカイザー】の絶対支配


 学園ゴレトルトーナメント準決勝。タクトたちの前に立ちはだかったのは、ゾルディアーク帝国からの留学生チーム——軍事国家の誇りを背負う精鋭たちだ。


 彼女たちはピチッとした黒と銀の軍服風制服に身を包み、鋭い視線でリングを見据える。


 リーダーの少女、アリシア・ヴォルテは、氷のような青い瞳と鋭角的な銀髪が印象的で、まるで刃物のような威圧感を放つ。その背後には、機械のように統率された3人のチームメイトが控え、まるで戦場の将軍とその軍勢のようだ。


「ゴルディアス王国の小僧。お前たちの超高速機動など、帝国の絶対的な力の前では子供の遊びだ。我々の超兵器が、そのロマンを凍てつく粉塵に変えてくれる。」


 アリシアの声は冷たく、どこか嘲笑を含んでいた。彼女の操るゴーレムは、従来の兵器型【デミマギウス】を遥かに超える超兵器型【マギウスカイザー】。


 リングに降り立ったその巨体は、黒鉄と蒼い魔力光が絡み合い、まるで戦場を支配する要塞のようだ。観客席すら息を呑む威圧感だ。【マギウスカイザー】のスキルは、まさに力の権化


【超頑丈】:どんな攻撃も跳ね返す鉄壁の装甲。

【超熱閃】:広範囲を焼き尽くす高出力ビーム。

【爆裂火球】:フィールドを破壊する灼熱の爆炎。

【魔力貯蔵量増加】:膨大な魔力を蓄え、スキルの連発を可能にする。


 チームメイトの3機は【デミマギウス】で構成され、精密な連携で【マギウスカイザー】を護衛。まるで帝国の軍団を縮小したような布陣だ。


 アリシアの右腕、隻眼の少女カーラは無口で冷酷、彼女のゴーレムは正確無比な射撃で敵を牽制する戦いを行うそうだ。


 双子の姉妹、リナとレナは軽やかな動きで撹乱戦を得意とするそうだ。


「まずいですよ、タクトさん!【マギウスカイザー】の装甲は私たちの攻撃をほぼ無効化するし、【爆裂火球】で機動ルートを焼き尽くす気です!」


 ローニャの声に焦りが滲む。圧倒的な力の前に、タクトのロマンが揺らぐ瞬間だった。試合開始のホイッスルが鳴り響く。


「【爆裂火球】、一斉掃射!」


 アリシアの号令により、【マギウスカイザー】達がリングの半分を飲み込む灼熱の火球を放つ。爆炎が炸裂し、フィールドはまるで溶岩の海と化す。


 タクトの【アブソルトレイル】は【爆風】ブーストで火球の隙間を縫うが、回避するだけで魔力が急速に消耗していく。


「くそっ、範囲が広すぎる!この火力、回避だけで精一杯だ!」


 さらに、【デミマギウス】3機が連携し、【熱線】の弾幕を張る。カーラのゴーレムは機械的な精度でタクトの動きを予測し、リナとレナのゴーレムは重量級のゴーレムでありながら軽快なステップで撹乱。双子の嘲笑がリングに響く。


「ほら、逃げなさいよ、小僧!帝国の力にひれ伏しなさい!」


 タクトの機動ルートは、爆炎と熱線の網に追い詰められ、袋小路へと誘導されていく。


「タクトくん、無理しないで!【アブソルトレイル】が熱で悲鳴を上げてる!」


 クローナの叫びに、タクトは歯を食いしばる。【アブソルトレイル】の内部パーツが、フィールドの炎熱と【爆風】発動の残熱で赤熱化。超高速機動というロマンが、帝国の圧倒的な軍事力という「現実」に押し潰されそうだった。


「焦るな、タクト。あの力は、必ず綻びを生む。」


 ニクスの静かな声が、戦場の熱を切り裂く。ローニャはゴーグル越しにデータを睨み、解析を続ける。


「見つけました!【マギウスカイザー】は【魔力貯蔵量増加】で高位魔術を連発してますけど、放熱機構が追いついていません!魔力残熱がコアに蓄積し続けてる。この放熱を封じれば、機体が過熱で自滅するはずです!」


 圧倒的な耐久力と火力を両立させる「欲張りな設計」が、放熱という致命的な弱点を露呈していたのだ。


 タクトの瞳に、炎のような闘志が宿る。


「よし、勝負は一瞬だ!クローナ、悪いが囮になってくれ!ニクス、ローニャの座標を正確に叩け!」


 タクトは機体の限界を無視し、勝利への全魔力を賭けた最終オーダーを下す。


「【狂化】発動!」


 クローナの【ゲイルハルト】が咆哮を上げ、正面から【マギウスカイザー】に突進!彼女自身も人狼の真の姿に変身し、獣の咆哮を響かせる。【狂化】はゴーレムの制御を難しくするが、クローナは自ら狂化することでゴーレムと精神を同調させ、理性を保ちながら命令を下す秘技を編み出していた。


「邪魔だぁぁぁ!」


【ゲイルハルト】が【マギウスカイザー】の巨体に組み付き、放熱パイプを力任せに捻り上げる!【デミマギウス】3機の集中砲火と【超熱閃】がクローナを襲うが、彼女は獣の耐久力で耐え抜く。


「狼女、無駄な抵抗です!」


 カーラが冷たく言い放ち、正確な射撃で追撃。リナとレナは「終わりね!」と軽やかに笑いながら、ゴーレムでクローナを撹乱する。だが、その瞬間——


 ローニャがニクスに座標を送信。ニクスの【アサルトフェリス】が、クローナの巨体の影から【超高速】で滑り込む。


「【音響裂断ソニック・スライス】!」


  鋭い爪が、【マギウスカイザー】の側部にある放熱術式の刻印を正確に切り裂く!


シュボォッ!


 二つの放熱機構が破壊され、【マギウスカイザー】の機体は一気に赤熱化。処理しきれない魔力が暴走し、巨体が軋みを上げる。


「今だ、タクト!」


 ニクスの叫びに、タクトは最後の魔力を振り絞る。【アブソルトレイル】が【爆風】ブーストで炎と煙を切り裂き、光の矢となって突進。


【マギウスカイザー】の動きは鈍り、司令塔のコアが無防備に晒される。タクトは全力を込め、【光刃】を叩き込んだ!


バキィッ!


 ゾルディアーク帝国の超兵器【マギウスカイザー】は、超高速の一点集中攻撃に沈黙した。


「馬鹿な……!帝国の絶対なる力が、こんな紙細工のようなゴーレムに敗れるなんて……!」


 アリシアは崩れ落ち、氷のような瞳に初めて動揺が宿る。カーラは無言で拳を握り、双子のリナとレナは「信じられない!」と声を揃えた。タクトは熱で歪んだ【アブソルトレイル】を見やり、息を整える。


「俺のロマンは、逃げるためじゃない。どんな『力』も超えるためにあるんだ!」


 ゾルディアーク帝国の圧倒的な軍事力は、タクトたちの超高速機動と緻密な連携、そして揺るがぬロマンによって打ち砕かれた。


 準決勝を突破したタクトたちは、決勝戦へと突き進む!



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