第三章 ナタリア・ピッパ
第三章 ナタリア・ピッパをお届けします。
最後まで読んで頂けますと嬉しいです。
第三章 ナタリア・ピッパ
「全く……よりによってエルメイア国かよ」
赤粕毛馬の背に揺られながら、スヴェアはくさったようにぼやいた。
七賢者ナセル=フレイズ=ホーデンクノス卿の唯一の子孫がいる場所は、何とガラハイド国と国境を接する隣国エルメイア国だった。ガラハイド国が〈天の民〉軍の侵攻を受けた時に見て見ぬふりを決め込んでいた……スヴェアの言葉を借りるなら……せこい国へ、二十二日もかけてやってきた道をまた引き返さなければならないのだ。スヴェアでなくともぼやきたくなるというものだろう。
「こういうのを『灯台もと暗し』と言うんだな」
「エイデン、このまますぐにエルメイア国へ向かうの?」
「灯台」ってなんだろう? と思いながら、カナンはエイデンに向かって尋ねた。
最近になって、ようやくエイデンの事を「さん」を付けずに呼べるようになったカナンである。とは言っても、まだ時々思わず「さん」付きで呼んでしまいそうになり、発音がおかしくなったりするが。
エイデンは頭を横に振った。
「いや。〈前門〉はもう閉まる時刻だ。それに、系譜図書館の周辺は、日が暮れると高価な宝飾品を身に付けた貴族や行商人の荷を狙う野盗が多く出没する。今夜は〈前庭〉に泊まって、明朝出発する」
〈前庭〉とは、系譜図書館の前に広がる市街地の通称である。系譜図書館で働く二千人の司書たちの家もこの〈前庭〉にあり、毎日系譜図書館と市街地を隔てる〈奥門〉をくぐって出勤する。
〈前庭〉は系譜図書館と同様、周囲をまるで堅牢な砦のごとき高い囲壁で囲まれていた。外界との唯一の出入口である〈前門〉は日没と共に閉ざされ、翌朝の日の出まで開かない。
つまり、系譜図書館は二重の強固な囲壁に守られているのだ。
さらに、系譜図書館は激流で名高いアティスモット川にせり出した険しい崖の上にある為、川岸側から侵入する事も不可能だった。
こうまで警備が厳重な理由は、もちろんここが聖王家と全ての貴族の家系図を保管している唯一の場所であるからだが、他にも万一王都に変事が発生した時の聖王の避難場所としての役目も有しているからである。水晶騎士団を構成する師団の中では三番目に規模の大きい第三師団がここの警備を担っているのも、その為だ。かのエギンテの反乱の折も、反乱軍によって王都を追われた聖王は一時期ここに籠城していた。
カナンたちが系譜図書館を出た頃には、太陽はもうほとんど地平線の下に沈んでいた。中空には幾分か欠けた月が浮かび、西の空にだけまだ辛うじて夕陽の名残がとどまっている。ふわりと重ねた絹布のような群青色と真紅と濃いオレンジ色のコントラストは目を射るように鮮烈で、そして心打たれるほどに美しい。昼と夜が束の間の逢瀬を祝福し合っているかのよう。
「さっさと系譜図書館を出ていたら間に合ったのかもしれないのによ。あの博識ぶった司書の野郎、もったいぶりやがって」
貴婦人の前だというのに騎士らしからぬ悪態をつくスヴェアに、カナンは苦笑した。
「スヴェアはここがあまり好きじゃないみたいだね」
エイデンと同様、カナンはスヴェアの事も「さん」を付けずに呼べるようになっていた。
彼の場合は、エイデンよりもずっと早く。
スヴェアは鼻で笑った。
「は! こんな陰気な街、誰が好きになれるかよ。どっちを向いても同じ景色なうえに、だだっ広いだけでまるで活気がねえ。これだけ大きな街だ、普通はもっと賑やかなモンだろうが。これじゃまるで墓場だぜ」
「墓場って………」
何もそこまでけなさなくてもとカナンは思ったが、実際スヴェアの言葉は実に的を射ていた。
通りに並ぶ灰色の重厚な石造りの建物は、あの〈紋章の間〉の書棚にずらりと並んでいた石版のように高さも壁の色も窓のサイズまでもが全て同じで、まるで整列する兵士のように規則正しく建ち並んでいる。だから、スヴェアが言った通り、どちらを向いても全く同じ風景なのだ。そういうふうに建てなければならないと、法か何かで定められてでもいるのだろうか? よく自分の家と他人の家が区別出来るものだ。
道はどんなに細くて狭い路地であろうときちんと石畳で舗装されているが、通る者はほとんどいなかった。建物に陽が遮られる細い路地の敷石には苔が生えているところもある。本来、聞こえるはずの街の住人の話し声や、子供の笑い声なども全くしない。生活感が感じられないのだ。無機質で、温かみに欠けている。窓から漏れる明かりのおかげで、かろうじてここが無人の廃墟ではなく、ちゃんと人が住んでいるのだとわかる。
どこから吹き込むのか、街全体を冷たい霧が覆っている。
独特の雰囲気が漂う街だ。
街の中央に位置する円形広場にそびえ立つ五角錐の塔の頂上には、右手に系譜を記した書を、左手に時計を持った初代聖王ディアドラの巨大な像が、背もたれに太陽と水晶の塔を彫った玉座に座っていた。広場を取り囲むどの建物よりも高く、街のどこからでも見える。
彫像が持つ時計は見せかけではなく、実際に時を刻んでいた。純金製の巨大な秒針が一秒ごとにカチカチと動いているのが、地上からもはっきりと見て取れる。灯されたばかりの松明の明かりに浮かび上がるディアドラ像の足元には、寄り添うように座る一匹の猫と、咲き乱れるアザミの花が刻まれている。
ディアドラは、兄ディアティスから贈られた猫を可愛がっていた。光を映さぬディアドラの瞳と同じ琥珀色の眼をしたこの白猫は、まるで小さな白い影のように常に彼女の傍らにいたという。
以来、猫はディアドラの、そして彼女が遺した系譜図書館の象徴となった。至る所に猫の意匠が使われているのはそのせいだ。
通りごとに姿を見かけるほど猫の数が多いのも。
「………それにしても」
と、スヴェアはカナンに向かってしみじみと言った。
「お前さん、馬に乗れるようになって良かったな。最初はどうなる事かと思ったが。鐙に足が全然届かねえわ、ようやっと鞍に跨ったと思ったらそのまま反対側に落っこちてたもんなぁ」
「そんなの最初だけだろっ!」
耳まで真っ赤にしてカナンが反論する。
その時の様子を思い出したのか、マリエルもくすくす笑っている。
旅をするにはどうしても必要なので、ここに来るまでの道すがら、カナンはエイデンに馬の乗り方を教わった。
ところが、エイデンがいきなり自分の黒馬に彼を乗せようとしたので、スヴェアは慌てて止めた。一度も馬に乗った事がないという……それだけでも驚きだが……痩せっぽちで筋力もなさげな少年を、本当は馬ではなく獅子なのではないかと疑いたくなるほど気性の荒い軍馬で練習させようとするなど、全くもってどうかしている。噛まれるか踏まれるか蹴飛ばされるかして、大怪我をするのがおちだ。
結局、練習には一番おとなしいマリエルの芦毛馬を使ったのだが。
この黒衣の男は、まるで忘れた頃にやって来る天災のように、時々スヴェアやマリエルがびっくりするような事をする。
それも、至極当然というふうな涼しい顔をして。
彼に孫の面倒を頼んだワクトーは、エイデンのこのちょっとズレた性格の事もちゃんと考慮したのだろうか?
甚だ疑問に思うスヴェアであった。
スヴェアはマリエルに視線を移した。
「レディ・マリエル、宿はホステッド・コスでよろしいでしょうか? 確か、クレメンツ公がそこに泊まるよう仰っておられたと記憶していますが」
ほとんどの正貴族が〈前庭〉に定宿を持っている。八番通りにあるホステッド・コスがガラハイド家の定宿だった。クレメンツの父である前領主が、息子の名を家系図に書き加える為に系譜図書館を訪れた際も、そこに泊まった。
少し考えた後、マリエルは頷いた。
「ええ。そうですわね。ホステッド・コスには知らせを送っておくと、公が仰っておられましたし」
「宿は貴女の采配に任せる」
エイデンが言った。
「だが、その前に鍛冶屋へ寄った方がいい」
「え?」
「蹄鉄が緩んでいる。左後肢だ」
マリエルとスヴェアは同時に芦毛馬の足元を見たが、一見したところでは異常はわからなかった。
スヴェアは馬から降りると、
「失礼します、レディ」
と、マリエルに断り、芦毛馬の左の後ろ足の蹄を持ち上げた。
エイデンの言う通りだった。蹄鉄がほんのわずかに緩んでいる。しかし、普通なら気付かない程度だ。
スヴェアは感心して言った。
「よくわかったな」
「蹄音を聞けばわかる」
エイデンの答えは素っ気ない。
カナンはそっと溜め息をついた。
もう少し言い方というものがあるだろうに………あんな言い方では、まるで気付いて当然だとでも言っているようではないか。
案の定、スヴェアはムッとしている。
「あの………」
漂う不穏な空気を変えようと、カナンは控えめに片手を上げた。
「だったら、僕、その間に薬屋へ行きたいんだけど」
「薬屋?」
スヴェアが呆れ顔で聞き返した。
「まだ薬草を集め足りないってのか?」
「ううん。そうじゃなくて、集めた薬草を売ろうと思って」
プレストウィック国のハネストウの薬屋から着の身着のまま出て来た為、カナンはその時身に付けていた小さな薬草袋の中身以外、薬草を何ひとつ持って来られなかった。
仮にも薬師を名乗る以上、それでは格好がつかないので、カナンはガラハイド国から系譜図書館に向かう道すがら、出来得る限り薬草を集めた。薬草が目につくたびに立ち止まるので、スヴェアとマリエルはよく見つけるものだと呆れたが、エイデンだけは何も言わず、カナンが薬草を摘み終えるまで辛抱強く待っていた。
ガラハイド国から系譜図書館まで来るのに二十二日もかかった理由の何%かは、おそらくカナンの薬草収集のせいだ。
薬師は集めた薬草を互いに売り買いしたり、時には物々交換して、手持ちの薬草の種類を増やす。千種類以上もある薬草を自分の手だけで集めるのは不可能だからだ。
薬屋の一番の顧客は薬師だと言ってもいい。
「それに、だいぶ暑くなってきたし、薬草を売ったお金で薄物の服を買おうと思って」
「まあ、それくらい買って差し上げましてよ、カナン。クレメンツ公から旅費はたくさん頂いていますもの」
カナンはやや強めに頭を横に振った。
「そこまで甘えられません。服くらい自分で買わないと。馬を買ってもらったのだって、気が引けるのに」
マリエルは感心と不満が半々の口調で言った。
「馬は必要だから買ったのです。そんな遠慮は無用ですのに。真面目な子ですこと」
「…………その『子』っていうの、やめてもらえませんか?」
横からスヴェアが尋ねた。
「立派な心がけだが、カナン、肝心の薬屋の場所はわかるのか? ここはでかい街だぞ」
「大丈夫。系譜図書館に向かう途中で看板を見かけたから」
エイデンが言った。
「では、私も一緒に行こう。レディ・マリエルとサザーはその間に鍛冶屋へ」
カナンは困惑した。
「え………でも僕、一人で平気だけど」
「いや。万一の事があってはならない。私も行く」
有無を言わさぬ口調である。
そんなに自分は危なっかしく見えるのだろうか?
内心カナンは不満だったが、この二十二日間の旅でこういう言い方をする時のエイデンには逆らっても無駄だとよくわかっていたので、彼は渋々頷いた。
「…………わかった」
マリエルが馬の向きを変えて言った。
「では、後ほどホステッド・コスで。………行きましょう、サザー」
「はい、レディ」
エイデンの横を通り過ぎる時、マリエルは皮肉っぽい笑みを含んだ声で彼に囁いた。
「あまり過保護にし過ぎると鬱陶しがられますわよ」
エイデンはマリエルを睨んだが、無言だった。
*
〈前庭〉の十七番通りで薬屋を営むベヴ=ヘイバースは、近所で知らぬ者はいないひどいだみ声の持ち主だった。
彼女の声を初めて聴いた客は大抵男だと勘違いし、カウンターの向こうにちょこんと座る老婆の姿に「女だったのか」と目を丸くする。
毎回同じ反応をされるので、ベヴも全く気にしない。
それゆえ、店に入って来た小柄な少年が一瞬驚いたような顔をしても、ベヴはいつものように全く頓着しなかった。
「いらっしゃい、坊や。親御さんが熱でも出したのかい?」
「親?」
カナンは怪訝そうに聞き返した後、慌てて否定した。
「いえ、違います。僕は薬師です。薬草を売りに来たんです」
ベヴは大きな目をよけいに大きくみひらいた。
「薬師だって? こりゃあまたずいぶんと若い薬師だね。今まであたしが会った中じゃあ一番若いんじゃないかねぇ」
ベヴが自分を一体何才だと思っているのだろうかとカナンは考えたが、多分聞くと悲しくなるので尋ねるのはやめた。
カナンは布袋を肩から下ろすと、集めた薬草を取り出してカウンターの上に広げた。
「これなんですけど………」
「どれどれ」
ベヴはずらりと並べられた薬草をひとつひとつ丹念に吟味していった。手に取って加工の具合を確かめ、匂いを嗅ぐ。少しちぎって舌に乗せてみる。
待っている間、カナンは手持ち無沙汰に店内を見回した。
ハネストウの薬屋によく似ていた。
ところどころ羽目板が浮いた床に、シミがついた杉材のカウンター。壁一面の棚に並ぶ素焼きの薬壺。鈍く光る天秤やスプーンやすり鉢。薬を包む薄い紙。
違うのは、カウンターの端でまどろむまだら模様の猫と、何故か薬草や香草に混じってカウンターの上の梁に逆さに吊るされた麦の束、それに店の主人が老婆だという点だけだった。
ベヴは声と同じくらい、容姿の方もお世辞にも良いとは言えなかった。黄ばんだ皺だらけの顔は目ばかりがぎょろっと大きくて、鼻は平たく唇は薄く頬はえらが張っている。大きな輪のイヤリングのせいでよけいにバランスが悪い。灰色の髪はかなり薄く、つむじの辺りでは頭皮が見えた。手足は細いのに、胴回りだけが太い。体中の肉が重力に負けて腹の辺りに溜まってしまったかのようだ。きっとシルエットは瓢箪にそっくりだろう。
しばらくして、ベヴは顔を上げると感嘆したように頭を振り振り言った。
「これはまた上物揃いだね。加工も立派なもんだ。お前さん、若いのにいい腕してるじゃないか」
「ありがとうございます。………それで、買ってもらえますか?」
恐る恐る尋ねるカナンに、ベヴは「うーん」とちょっと首をかしげ腕を組んだ。
「全部はちょっと無理だね。うちも小さな店だから。このリンドウとヒヅメ草、それにシュロウをもらおうかね。………イヌサフランはないのかい?」
「すみません。イヌサフランはなくて」
「そうかい。ま、仕方ないね。今は時期外れだから。………ところで」
ベヴは顎をしゃくって店の外を示した。
「外に立ってるでかいカラスみたいな男は、あんたの連れかい?」
「え?」
カナンは振り返った。
窓越しに黒衣の後ろ姿が見えた。
「そう……ですけど………?」
「なら中に入るよう言っとくれ。あんなのに表に立たれてちゃ、客が怖がって近寄らないじゃないか。迷惑だよ」
「わかりました」
でかいカラス。
カナンは笑いを噛み殺しながら、店の扉を開けてエイデンを呼んだ。
エイデンは黒い霧のように入って来た。
「何か問題でも?」
「そうじゃないんだけど………」
「おやま、えらくいい男じゃないか」
ベヴは遠慮のかけらもない口調で言った。
「だけどその格好はいただけないね。季節外れもいいとこだ。汗ひとつかいてないけど、暑くはないのかい?」
「いや」
エイデンは短く答えただけだった。
どうやら世間話に興じるタイプではないらしいと踏んだベヴは、カナンに視線を戻した。カウンターの上に並べられた薬草の中から、先ほど言った薬草をより分ける。
「全部で………そうだねぇ、二十三シグルでどうだい?」
カナンが予想していたよりもはるかに良い値段だった。
「ええ。十分です。ありがとうございます」
「お前さんの方は何か欲しい薬草はないのかい? あれば言っとくれ」
「ええと………黄色アザミかシスヌギ草が欲しいんですけど」
ベヴは顔をしかめた。
「あいにく、今はどっちも切らしてるんだよ。シスヌギ草は今日入る予定だったんだけど、いつもの行商人がまだ来てなくてね。〈前庭〉に得意先が多い行商人だから、多分他の店で時間を食ってるんだろう。今日中には来るはずだから、明日の朝もう一度来てくれれば、多分わけてあげられるよ」
カナンは傍らのエイデンを見上げた。
「明日、出発前にもう一度ここに寄ってもいい?」
「構わない」
カナンはベヴに視線を戻した。
「それじゃ、明日また来ます」
「ああ。待ってるよ」
店を出ていった黒衣の男と痩せた小柄な少年を見送った後、ベヴはシミと血管の浮き出た手でまだら模様の猫の柔らかい背中を撫でた。
「変わった二人連れだったねぇ」
まるで相槌を打つかのように、猫はゴロゴロと喉を鳴らした。
*
貴族御用達の高級宿ホステッド・コスは、競合相手である他の高級宿と同じく外観で華美を競えない代わりに、内装にはこれでもかというほど贅の限りを尽くしていた。
床は淡いピンク色と青のまだら模様が美しい大理石を使い、今ではほとんど採れなくなった希少な金華石の柱には黄金と瑠璃で造られた葡萄が絡みついている。天井一面に鳥獣の溢れる深い森や雪を頂いた山脈や滝が描かれ、雫型の青蛍石を連ねたシャンデリアが紫色の絨毯に眩い光をまき散らしていた。滑らかな深紅の天鵞絨が張られた長椅子に、螺鈿細工の黒檀のテーブル。紫と金色の重厚なカーテン。アカシアの枝が活けられた大きな銀の花器。壁には、一枚織り上げるのに三年かかるというダウリーヨーダン国製の見事なタペストリーが何枚も飾られ、真っ白なマントルピースの上に置かれた翡翠の香炉からは甘く瑞々しいスズランの香りが燻っている。
はっきり言って、ガラハイド国の領主館よりはるかに絢爛豪華だ。
これで「標準仕様」だと?
あまりの贅に、スヴェアは感心を通り越して呆れてしまった。
「失礼致します」
ひっつめた髪と黒いスカート姿の客室付の侍女が、お茶のセットを乗せた銀の盆を持って慎ましやかに入って来た。
侍女は手慣れた様子で白磁のカップにシナモンの香りがするお茶を注ぎ、粉砂糖をまぶした可愛らしい焼き菓子を恭しくテーブルに置くと、丁寧に腰を屈めた。
「お食事はいつお持ち致しましょう? それとも、少しお休みになられますか? 湯浴みをご所望でございましたら、すぐに準備致します。何なりとお申し付け下さいませ」
マリエルは、貴婦人の称号にふさわしい気品溢れる優雅な微笑みを侍女に向けた。
「いいえ。どれも今は結構ですわ。その代わりに、カップをもうひとつお願いします。来客があるやもしれませんので」
「来客……ですか?」
そんな話は聞いていなかったスヴェアが、訝しげに聞き返す。
マリエルは長椅子の背もたれの向こうに控えるスヴェアを振り返ると、何とも形容しがたい表情で頷いた。
「念の為です」
スヴェアはすぐに察した。
そうか。予言か。
マリエルは侍女に視線を戻すと、小さな封筒を差し出した。
「それと、これを支配人に。あとでわたくしの連れが参りますので、これを彼らに渡すように、と」
「畏まりました」
侍女が客室を辞するのを待ってから、スヴェアは尋ねた。
「来るやもしれない客人とは誰なのか、お聞きしてもよろしいですか?」
スヴェアの問いが終わるか終わらないうちに、客室の扉がノックされた。
マリエルはよく通る声で応えた。
「どうぞ」
入って来たのは年配の騎士だった。幾筋か白髪の混じった髪。手入れの行き届いた口髭。張り出し屋根のような眉の下の双眸は、静かながらもどこか鋭い。顔色はさほど良くないが、それを補って余りあるほどの張りつめた空気をまとっている。深緑色に金の縁取りが入った立派な制服の胸にはツタイチジクと熊と戦斧を配した紋章が刺繍され、腰の長剣にも同じ意匠が金と銀で象嵌されている。
スヴェアは微かに目をみひらいた。
その紋章には覚えがあった。
この男………ボルトカ国の騎士だ。
まさか、こんな所でボルトカ国の者に会おうとは。昼間、系譜図書館でかの国の准貴族にして七賢者の一人であるホーデンクノス卿の末裔の事を調べたばかりだというのに。
何という偶然か。
………偶然?
スヴェアは、美しい金髪に縁取られたマリエルの横顔を見た。
この「来るかもしれない客人」についての予言を、彼女は一体いつ視たのだろう?
前々から感じてはいたのだが、もしかしたらマリエルは、他にも様々な予言を視ているのに、口には出さずにいるだけなのではないだろうか?
言うべきタイミングを見計らっているのでは?
カナンやエイデンや………スヴェアに関する予言も。
ボルトカ国の騎士は堅苦しく一礼した。
「お寛ぎのところを失礼致します、予言者レディ・マリエル。私は、ボルトカ国騎士レシモント=オストー=グリーナウェイ卿と申します」
頭を下げたグリーナウェイの肩越しに、少なくともあと五人、同じ制服に身を包んだ騎士が廊下に立っているのが確認できた。
スヴェアは訝しげに片眉を引き上げた。
ずいぶんと仰々しい。
その理由はすぐにわかった。
グリーナウェイは一歩脇に退くと、さらに深々と頭を垂れ、抑揚のない声で続けた。
「貴女にぜひお会い頂きたい御方がおられます。我が主君ボルトカ国領主ハニアール=デーン公の公妃ナタリア=エリーサ様です」
彼の口上が終わるのとほぼ同時に、四十代後半と思しきふくよかな女性が姿を現わした。
きつい性格がそのまま顔つきに表われたような人物だった。緑色の瞳は冷たく高慢な光を放っており、微笑がよく似合いそうなふっくらした赤い唇は真一文字に引き結ばれていて、慈悲のかけらも感じられない。顎を上げ、見下すような目つきで室内を眺め回している。高く結い上げた金茶色の髪に紅玉や緑玉や黄玉を散りばめた豪華な宝冠と、孔雀の尾羽をあしらった虹色の光沢を放つベールを付け、レースと竹の繊細な扇子を持ち、親指以外の全ての指に指輪をはめていた。胸元を飾る大きな紅玉の首飾り。首飾りと揃いのデザインの大振りの耳飾り。ひと粒ひと粒がアーモンドほどの大きさの金剛石を三連に綴った帯。胸元から裾まで金糸で刺繍された煌びやかな真紅のドレスには、レースやサテンのリボンがこれでもかというほど付いている。
いかにも大国ボルトカ国の公妃にふさわしい、贅の限りを尽くした出で立ちではあるが………
これではまるで歩くシャンデリアだ。
豪華ではあるが、品があるとは言い難い。
まるで、華美と下品は同居出来るという良い見本のようだ。
スヴェアは心の中で毒づいた。
ごてごて飾り立てればいいってモンじゃねえだろうに。
仮に彼と同じ感想を抱いていたとしても、そんな気配はおくびにも出さず、マリエルは長椅子から立ち上がると優雅な仕草でこのド派手な来訪者を出迎えた。
「お目にかかれて光栄です、ナタリア公妃。どうぞお茶をお召し上がり下さいませ」
ちょうどもうひとつカップを持って戻って来た侍女に目配せする。
持ってきたカップにお茶を注ぎ、恭しくテーブルに置いて退室した侍女を見送ったグリーナウェイが一瞬訝しげな表情をしたのを、スヴェアは見た。
グリーナウェイの疑念を代弁するかのように、ナタリアが言った。
「ずいぶんと用意の良いこと。わたくしの来訪を知っていたかのようじゃ」
マリエルはちらと微笑んだだけだった。
ナタリアは扇子を口元に当てた。
「なるほど。予言したか。『聖女ロザリンドの再来』という評判は真実らしい。クレメンツ公は良い予言者を召し抱えたの。それに、そなたほどの美貌であれば、傍らに置くだけでも見栄えが良かろう」
「恐れ入ります、公妃。では、早速ですが、わたくしをお訪ねになられた用向きをお伺い致しとうございます」
「そこまで予言てはおらぬのかえ?」
「予言は、公妃がここホステッド・コスに滞在しておられるという事のみでした。予言者であるわたくしが同じ宿にいるとお知りになれば、興味をお持ちになられるやもしれぬと、そう思ったのです」
なるほど。
と、スヴェアは得心した。
だから「念の為」だったのか。
ナタリアは低く呟いた。
「…………ふむ。なんじゃ、そういう事か」
その口調は失望にも聞こえたが、スヴェアは侮蔑と受け取った。「歩くシャンデリア」の口元を一瞬掠めた嘲笑を見逃さなかったからだ。先ほどの見栄え云々という失礼極まりない台詞といい、いちいち癇に障る女である。マリエルがクレメンツの信任厚いのは予言者としての才ゆえであって、容姿で取り立てられたわけではない。
ナタリアが部屋に入って来てからまだ五分と経っていなかったが、スヴェアはもうこのけばけばしい大国の公妃に嫌悪感を抱き始めていた。
ようやくナタリアが向かいの長椅子に座ったので、マリエルも再び腰を下ろした。
「そんな事などどうでもよい」
と、座るなりナタリアは言った。眉間に皺を寄せ、いかにも深刻そうな口調で。
「用件とは他でもない、わたくしの大切な一人息子、次期ボルトカ国領主であるケスタール=ウィルバティシュの妃候補の件じゃ」
ナタリアの様子から、何かよほどの重大事かとやや身構えていたマリエルとスヴェアは、拍子抜けしてしまった。
「お妃候補………ですか?」
思わず聞き返したマリエルに、ナタリアは気分を害したように言った。
「なにゆえそのような顔をする? 六千年の昔、水晶の塔のたもとで最初に初代聖王陛下に忠誠を誓った、由緒正しき我がボルトカ国の次期領主の妃選びぞ? これ以上の重大事があろうか?」
正確には、最初に〈双子王〉に忠誠を誓ったのは大予言者カラグロワであって、初代ボルトカ国領主……当時はまだ一介の騎士だったが……ではない。創世記によれば、どう見てもただの赤ん坊でしかない双子に恭しくかしずくカラグロワを見て、彼に同行していたボルトカは「一体何の冗談だ」と失笑したという。
後に、ボルトカは〈双子王〉の忠実な騎士の一人となるが、それはずっと後の話だ。
だが、ナタリアの頭の中では、その辺りがかなり都合よく曲解されているらしい。
「それに、そなたとて系譜図書館へ参ったのは、主君クレメンツ公の公妃を探す為と聞いたぞえ?」
マリエルとスヴェアは思わず顔を見合わせた。
そうだった。
あくまで表向きの理由だったせいで、忘れていた。
しかし、それにしても………
マリエルたちが系譜図書館を出てまだ数時間も経っていないのに、もうクレメンツの妃候補の件で来た事を知っているとは。
スヴェアは表情を引き締めた。
衣装のセンスはイカれているが、この公妃は油断ならない。
マリエルはやや困惑気味に言った。
「ですが、公妃、確かケスタール公子は、ガイアラ国の第四公女とご婚約なさっていたのではございませんか? そう記憶しておりますが………」
確か、最初とその次の公子妃が相次いで死去した為に、今度の結婚で三度目のはずだ。
しかも、最初の公子妃は、結婚式当日に多産を願って互いに葡萄を食べさせるという儀式で、その葡萄の粒が喉に詰まって窒息してしまったのだ。
その為、二度目の式の時は、葡萄の粒を互いの唇に触れさせるだけにしたらしい。
だが、その二人目の公子妃も、結婚後半年も経たぬうちに誤って領主館の窓から転落して死んだ。
なんとも結婚運のない公子だと、いつだったかクレメンツが同情していた。
世継ぎの公子であるにもかかわらず……そして領主の座に就いた後も……全く縁談が持ち上がらないクレメンツもどっこいどっこいだと、スヴェアは内心思ったものだ。
ナタリアは苛立たしげに言った。
「一体いつの話をしておる。それは以前の話じゃ。ガイアラ国のセアラ公女は、一昨年の冬に病死した」
「それは………お気の毒です」
それ以外、マリエルは言葉がなかった。
「もともと肺を患っておったのじゃ。ガイアラ国のエクノー公め、それを隠して公女をわたくしの大事な息子に押し付けようとしおった。全くもって腹立たしい。式を挙げる前に死んで幸いであったわ。病弱な妃に健康な世継ぎなど望むべくもない。そのような役立たず、我がボルトカ国には要らぬわ」
なんという言い草だ。
マリエルとスヴェアは呆れてしまった。
仮にも息子の婚約者であった娘が、哀れにも病で早逝してしまったというのに。
婚約者を亡くしたケスタール公子も、この母親と同じように思っているのだろうか?
ナタリアは「嘆かわしい」と言わんばかりの口調で続けた。
「実は、セアラ公女の前にも妃候補はおったのじゃ。わたくしと同じ、聖王家につながる高貴な血筋の姫がな。ところが、その姫は愚かにも家臣の息子と駆け落ちしおった。未だに行方知れずじゃ。そして今度は………」
まだあるのか。
マリエルとスヴェアは内心うんざりしながら聞き続けた。
「ジェンテ国の第一公女との縁談が進んでおった。ところが、そなたも知っておろうが、過日ジェンテ国は〈天の民〉に滅ぼされてしまった」
「公女もお亡くなりになったのですか?」
「いや。だが、領主たる父親ばかりか三人の兄弟まで皆戦死してしまい、残ったジェンテ家の直系はクロチア公女ただ一人となってしまった。故国の再建に尽力したいので、縁談は白紙に戻して欲しいと。………全く!」
ナタリアは、バン! とテーブルに扇子を打ちつけた。
「最初の公子妃から数えて五度も続けてこの始末! このような侮辱には耐えられぬ! おかげで、愚かな家臣領民共は『ケスタール公子の妃になると災いが降りかかる』『これはホーデンクノスの呪いに違いない』などと噂する始末。息子の心中を思うと胸が痛む」
ホーデンクノス。
マリエルとスヴェアは、動揺が表に出ないよう、かなり苦労しなければならなかった。
自分たちがそのホーデンクノス家の末裔を探しに系譜図書館へ来たのだと知ったら、ナタリアはどんな反応を見せるだろう?
幸いにも、彼女はマリエルが「クレメンツの公妃候補を探しに来ている」という事までしか知らないようだ。「誰」がその候補であるかまでは、耳に届いてはいないらしい。
「………何故、そこでホーデンクノスの名が出て来るのですか?」
「ホーデンクノスを罰した年に、わたくしの息子が生まれたからじゃ」
なるほど。それで。
マリエルとスヴェアは納得した。
確か、ケスタール公子には弟妹がいたが、いずれも幼くして夭逝したはずだ。ボルトカ国の領民は、それもホーデンクノスの呪いだと噂し合ったのだろうか?
ナタリアは身を乗り出した。
「これ以上の中傷は我がボルトカ国の名誉にかかわる。罪人の亡霊ごときに振り回されるなぞ真っ平じゃ。今宵、同じ宿に希代の予言者たるそなたが泊まっておったのは、きっと初代領主たる〈雷鳴公〉の思し召しに違いない。さあ、わたくしの息子の妃にふさわしいのは誰か、予言せよ」
マリエルは困ったように微笑んだ。
「今すぐというわけには………」
「出来ぬと言うか? 何故じゃ?」
「予言とは時と場所を選ばぬもの。運命の指先よりこぼれ落ちる雫のようなものです。わたくしたち予言者は、それを垣間見る事が出来るに過ぎません。何日、何か月、あるいは何年何十年も前に視える事もあれば、直前にしか視えない時もあります。全く啓示がない事も。予言せよと言われて出来るものではないのです」
「ふん! 我が国の予言者と同じ事を言いおるわ」
ナタリアは憎たらしげに唇を歪めた。
真っ赤な紅を引いた唇は、歪めるとよけいに醜く映った。
「出し惜しみしおって。では、息子に直に会えばどうじゃ? そなたが評判通りの優れた予言者だというのであれば、息子の顔を見れば視える可能性があるやもしれぬ。そうじゃ、そなた、わたくしと共にボルトカ国に参れ。金でも宝玉でも称号でも、報酬ならばいくらでも望み通りにくれてやろうぞ」
マリエルはやんわりと、しかし毅然とした口調で言った。
「身に余るお言葉ですが、わたくしの現在の主君はクレメンツ公でございます。ここに参ったのも公の御命によるもの。同時に二人の主君にお仕えする事は出来ません」
「このボルトカ国公妃ナタリアの頼みを断ると申すか? ガラハイドごとき小国よりもはるかに厚遇してやろうというに?」
「恐れながら、公妃、忠誠心に国の大小は関係ございません」
「無礼な!!」
ナタリアは乱暴に立ち上がった。重い黒檀のテーブルがガタン! と音を立て、カップの中のお茶が激しく揺れた。
「正貴族たるこのわたくしに向かってなんたる口のきき方じゃ! この身の程知らずめが! もうよいわ!! 卑しい平民ごときを頼ったのが間違いであった! 下賤の身の分際で『貴婦人』などと呼ばれおって! 偽貴族が思い上がるでないぞ!」
「……っ!」
思わず前に出かかったスヴェアを、マリエルは目線で制した。
ナタリアは、長椅子を蹴り倒さんばかりの勢いで足音も荒く客室を出て行った。
グリーナウェイだけが礼儀正しく一礼して退室した。
スヴェアは、閉じた扉に向かって獰猛な唸り声を発した。
「一体どちらが無礼ですか! 貴婦人の称号は貴族に準じるもの、それをあのような………!」
マリエルは長椅子の背もたれに背を預けた。
「あのような暴言には慣れています。予言者は、尊ばれるより罵られる事の方が多いのですから。クレメンツ公のように寛容な御方の方が珍しいのです」
どんな予言でもいいからと口では言いながら、人は誰しも本心では、自分にとって都合の良い……吉となる予言を聞きたがるものだ。期待外れの予言を聞かされた時、その怒りはたいてい予言者に向けられる。
財力や権力を持ち、身分が高い者ほど、特に。
聖王法典に「予言者の行動を妨げてはならない」と定められているのも、意に添わぬ予言に激怒した者から、自らについては予言する事が出来ない予言者の身を守る為だ。
しかし、実際には、不慮の事故に遭ったり、ある日突然姿を消した予言者が数多くいるのが実情だった。
行方知れずとなった彼らが一体どうなったのか、想像するに難くない。
マリエルは、すっかり冷めてしまったお茶を見やった。
「それにしても………噂通りの公妃でしたわね」
スヴェアは忌々しげに頷いた。
「全くです。ナタリア・ピッパとはよく言ったものだ」
「ピッパ」とは、有名な大衆喜劇「騎士タンダロイ」に登場する、ヒステリックで嫉妬深い妻の名前である。〈地の民〉の間では、悪妻の代名詞としてよく使われる。
ボルトカ国のナタリア公妃は、自らが聖王家に連なる血筋である事に誇りを持つ人物だった。
あまりに誇りを持ち過ぎて、家臣領民から眉をひそめられるほどに。
ボルトカ国では、ふたつ名を持たぬ者……つまり貴族の家系でない者は騎士になれないと言われていた。そのような国法があるわけではないのだが、実際、騎士になれるのは貴族だけだった。どれほど聡明で、武芸に優れていても、平民の出身で騎士の資格試験に合格出来た者は、ボルトカ国にはいない。先ほど廊下に並んでいた騎士たちも、全員いかにも育ちの良さそうな、毛並みの良い連中ばかりだった。
この馬鹿げた慣例を作ったのは、ナタリアだというのがもっぱらの噂だった。
「高貴なる者を守るのは高貴な血筋の者でなければならない」
というのが彼女の持論だったから。
ナタリアは筋金入りの血統至上主義者だった。
「ピッパ」というあだ名は……誰が付けたのかはわからないが……彼女の悪行の数々と共にボルトカ国内外に轟いていた。
あんな悪妻と長年連れ添っているボルトカ国領主ハニアール公は、よほど聖王家の縁戚になりたかったのか、それとも救いようのないほどのお人好しかのどちらかに違いない。
なんにせよ、厄介な人物と関わってしまったものだ。
スヴェアは内心溜め息をついた。
もう二度と顔を合わせずに済めばいいのだが。
最後まで読んで下さいまして、ありがとうございました。
カナン、馬に乗れるようになって良かったです(笑)
作者も昔乗馬をやっておりまして、噛まれるのも踏まれるのも蹴飛ばされるのも経験済でございます。
落馬した時は手の指の骨を折りました。
あ、折ったと申しましてもボッキリいっちゃったわけではなく、ちょっぴりパキッと折れただけですので。
馬って素晴らしいですね。大好きです。
ナタリア公妃、テーブルに足をぶつけて痣をこさえていればいいのに。
次章も、次の日曜日にお届けする事になると思います。
ではまた。