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ロンギオスの炎Ⅲ プロローグ

作者: たかさん

おはようございます。

今日から、ロンギオスの炎Ⅲを連載します。

このプロローグは長い話しの序章となります。

ご期待下さい。

 ルードは待ちの街城が見える大地を歩いていた。  

「いい女だった。」

 肩口に突き刺さっていた矢を抜き取りながら彼は独りごち、傍らの白い狼の頭をなでた。

”若き餓狼・・ルード”・・彼はそう呼ばれていた。

 欲しいものがあれば山狗の一群をけしかけて混乱を呼び、その間に食べ物であれ、女であれ奪っていく。彼はそうやって生きてきた。

 今日もまた一人の女を犯した。その女はルードと変わらぬほどに若く、そして美しかった。だが今日は相手が悪かった。その女には護衛がついていた。その男達に何時ものように狼たちをけしかけて女を奪い去り、森で手込めにした。だがその間に城から大勢の兵士達が駆けつけてきた。それを白い狼が遠吠えで知らせ、彼は慌てて逃げ出した。しかしその肩に兵士が放った一条の矢が突き刺さったのだった。

 「しかし、いい女だった。」

 ルードは再びそう言い、肩から抜き取った矢を指先で二つに折った。


 まだ幼いと言っていいほど若い。だが凶悪さは大人以上。それは彼の生い立ちがそうさせたのだろう。

十数年前、ルードは河原の藪の中に捨てられていた・・いや捨てられていたと言うより、籐の籠に寝、そこまで流れ着いたと言うべきか・・・。

 そこへ乳臭い赤ん坊の臭いを嗅ぎ付けて狼が集まってきた。今まさに飛びかかろうとするその狼たちの前に立ちはだかったのが仔牛ほどもある白い狼。その前で群れの首領らしき狼が呻り、白い狼に飛びかかった。白い狼はその前足に噛みつき、川の中に大きく投げ飛ばし、一声吠えた。それに臆したのか他の狼は尻尾を巻いて逃げ去った。

 白い狼はそれを一瞥し、優しく籐籠を加えてその場を去った。

 狼に育てられた男ルード。それが彼の生い立ちだった。


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