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グットボンドへ  作者: 魔界人EM
生活開始編(三章)
21/70

21話

 最初は抵抗していた平一郎も、少し進むと諦めて無抵抗となった。平一郎は一鉄の筋肉に驚くと同時に、質問を投げかけた。

「なんでこっちに来たんや?金属の数は一緒やろ」

「何いってんの。鉄はもちろん、銅やアルミニウムは電気系統や食器にも使える優秀な素材なんだよ。行くしかないでしょ」

一鉄の興奮ぶりに平一郎は若干引いた。そして、更に進むと待望の銅鉱石が鉱山の壁に現れた。一鉄は嬉しさを口にしながらスコップで鉱石を掘り出し、それを砕いてポケットに入れた。反対側の壁にはアルミニウムの原料のボーキサイトが埋まっており、一鉄はそれもポケットに入れた。

「いや〜、いい鉱石が採れた。もうちょい先まで行って帰ろうか」

一鉄の目の輝きは未だ消えていない。平一郎は正直引き返したくなっていた。

 平一郎が疲労で歩みを止めても、一鉄は進み続ける。松明は一鉄しか持っていないため、平一郎は頑張って功に追いつく。このような状況が20分続いた時、一鉄たちの目に入ったのは、

「ん…何だあれ」

木製のドアだった。ドアの向こうには小さな岩室がある。また、一鉄が進んできた道は大きな岩に塞がれて行き止まりとなっており、部屋はそれに合わせて作られたものらしい。

「これ入っていいのかな…」

「別に少しくらいええやろ。それより、お宝の匂いがするでぇ!」

平一郎は勢いよくドアを開けた。部屋の中は土壁がむき出して、いくつか本棚がある。中央には木製のテーブルがあって、そこにも本が置かれていた。どちらも埃がひどくて、潔癖症の千代子は触るのを嫌がりそうだ。平一郎はテーブルの本を手に取る。

「何やこれ。こんなん読めへんやん」

本の文字は漢字とアルファベットを融合させたような字だった。

「あれ。こっちは普通に読める。なになに…アシナ歴1年、突如落下してきた大岩により、鉱山の一部が使用不可に…。こっちは日記かな」

二人は他の本も読み漁ってみたが、読める本と読めない本が混在していた。中には2つの文字が両方記してある本もあった。

「この鉱山は歴史あるものらしいね」

「お前の予想は当たっていたってことやな」

 松明が消えかけていたので、一鉄と平一郎は入口へと戻った。途中、一鉄が反対側の道へ行こうとしたが、平一郎が静止した。1時間弱ほどで入口に到着し、一鉄たちは帰路についた。

 翌朝、一鉄と平一郎はヴィラージュの家を訪れた。鉱山に行ったことを報告するとともに、疑問に思ったことを尋ねるのだ。しかし、時間が早かったのか、なかなか門は開かない。

「一鉄さん、平一郎さん。こんな朝早くにどうされましたか?」

二人に声をかけたのは、稽古場に向かおうとするクライゼルだった。

「鉱山に行ったことに関して報告しようと思いまして」

「なるほど。では、私が代わりに報告しておきますので、今伝えてください」

一鉄は、鉱山の分かれ道の奥まで探索したこと、鉄や銅などの鉱石を見つけたこと、岩室を見つけたことを伝えた。

「あの部屋まで行ったんですか!随分奥まで探索したんですね」

「部屋の中にはたくさんの本がありました。クライゼルさん、あの鉱山はいつからあるんですか?」

クライゼルは返答を少しためらった。

「…あの鉱山はもともと戦争の相手が使っていたもので、鉱山自体はかなり前からあります。私達はそれを奪還して現在に至ります。だいたい奪還したのが400年ぐらい前ですかね」

その説明はサラッと流されたが、二人は「400年」という言葉に動揺を隠せない。

「400年前!?それって本当ですか!?」

「クライゼルさんは何年生きてるんや…?」

「私達魔族は種族によりますが、500年は余裕で生きます。私は長寿な方ですが…」

一鉄は「思ったよりも変な村に来ちゃったかも」と不安を感じた。一方、平一郎はそのスケールの大きな話に興味津々だ。これはビジネスチャンスに違いないと。

 ヴィラージュの家を後にし、二人は桜花とアーロンの下へと向かった。現在、二人はペアとなって森林の活用方法について考えている。

 テントの中に入ると桜花とアーロンは地図を広げ、森林についてあれこれ議論していた。二人とも資材のプロなので、なかなか白熱している。

「あれ、一鉄と平一郎じゃん。僕は桜花に捕まって、なかなか漁ができないでいるよ」

「ふたりとも、どうかしたの?」

「二人に頼みたいことがあってね。木炭がちょっと必要だから、木材を用意してほしいんだ」

「おっ、いいね。初仕事じゃん!」アーロンは手を叩いて喜んだ。

「木炭ならクヌギとかがいいかな。アーロン、頑張って探してね!」

「そこは桜花だろ。僕はあくまで切る係さ。美顔が汚れたらいけないし」

「私の顔は汚れていいの!?」

再び議論が白熱したので、二人はそそくさとテントから出た。平一郎は、議論という名の喧嘩に近いのではと思った。そして、一鉄たちはクライゼルから聞いた粘土が取れる場所へ向かった。

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