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グットボンドへ  作者: 魔界人EM
異世界編(二章)
12/70

12話

 キャンプをするにあたって、いちばん大切なのは薪である。琉太たちは、それぞれ3人ずつに分かれて、方位磁針を持って、薪の収集に向かった。向日葵は功、隆之介と共に、薪を集める。

「見て見て!」

向日葵は木と木の間を、チンパンジーのようにすり抜け、枝を伝って先へと進んでいく。

「あっ、待ってよ向日葵!」

功も負けじと、向日葵の後を追いかける。

「おーい、あんまり遠くに行くなよ」

隆之介も追いかけようとするが、高身長が仇となって頭が枝に引っかかったり、雑草に足を取られたりして、なかなか進めない。

「へへっ、いつも身長のことで馬鹿にしてくるから、そういうことになるんだよ!」

向日葵は調子が良さそうに、どんどん先へと進む。ある程度進んだところで、周りが開けている場所に出た。ここなら薪を拾えそうだ。向日葵はそう思い、木の根元を中心に、薪を探し始めた。

「いたいた。勝手に行くと危ないよ」

少し遅れて功が追いつく。向日葵は得意げな顔をして、

「功見てよ。私、もうこんなに薪集めたんだよ!」

と自慢をする。そんな向日葵に、功はニヤケ顔を返した。

「向日葵が先行ったもんだから、僕も途中で薪を集めたのさ」

よく見ると、功の手元やポケットには、向日葵以上の薪が集められていた。

「くっそ〜。負けた〜」

そんな煽り合いをしていると、草木をかき分け、ものすごい勢いで隆之介がやってきた。身体のあちこちに、葉っぱがついており、顔にはくもの巣がべっとりとついている。

「はぁ…はぁ…。やっと追いついたぞこの野郎」

「ゲッ、隆之介…」

二人は息を揃えてつぶやく。

「先に行くなって言ってんだろ。方位磁針も持ってないくせによぉ…」

 隆之介は怒りが爆発しそうになったが、深呼吸で怒りを鎮めた。

「薪は集まったか?」

隆之介が問うと、二人は自信満々に、薪を見せつけた。

「こんだけありゃ足りるだろ。帰るぞ」

 隆之介たちがキャンプに戻ると、すでに琉太がファイヤーピストンで、火を起こしていた。隆之介たちの姿を見た途端、エリーが駆け寄った。

「遅かったですね。心配しましたよ。なにかトラブルでもあったんです?」

「向日葵がチビな身体を生かして、先に行ったせいで、探すのに時間がかかったんだよ」

「あぁ!またチビって言った!」

隆之介は「事実だろ」と言い返す。向日葵はむしゃくしゃを抑えきれず、舌を出して煽った。

「まぁまぁ。ここで喧嘩したらだめだよ」

功が二人をなだめる。隆之介と向日葵が喧嘩するのはいつものことであり、その時は功か撫子が、喧嘩を鎮める。功にとって、喧嘩の鎮静は慣れたものだった。

 日が落ちると、琉太たちは焚き火を囲んで、話し合いを始めた。三十分ほど経つと、話題は、山頂にたどり着いた後のことになった。

「ここから約3キロ。1時間も歩けば山頂だな」

「そういや、琉太って山頂に行ってなにするつもりなの」とアーロン。

「あぁ…そういえば行ってなかったな」

琉太は懐から双眼鏡を出した。

「山頂に着いたら、双眼鏡を使って、周りに何があるか探してみる。山頂の周りには、森林ぐらいしかないし、かなり遠くまで見えるだろう」

「なるほどね」

アーロンはうなずいた。しかし、その隣の隆之介は、あくびしてばっかで、話し合いに参加しない。

「悪い、俺もう寝るわ。明日も早く出発するだろうし。疲れを取りてぇ」

「早くない?もう少しお話しようよ」

向日葵の発言に対し、隆之介は血管をピキピキさせながら、

「誰のせいだと思ってんだ…」

と強い返事をした。琉太は笑いをこらえながら、

「隆之介の言う通りだ。今日は早めに寝るか」

と指示を出した。隆之介はバッグから、動物の革から作ったテントを取り出し、アーロンと功、琉太と共に組み立てる。

「私たちも準備しましょうか」

「え〜。まだ眠たくないよ」

向日葵は駄々をこねる。

「だめですよ。明日もたくさん歩きますから、早く寝ないと」

エリーは、あくまで冷静に向日葵をなだめる。

「…分かったよ」

向日葵は渋々、テントを取り出し、組み立てを始める。エリーはため息をつき、向日葵を手伝う。こうして、向日葵たちの夜は更けていった。


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