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グットボンドへ  作者: 魔界人EM
異世界編(二章)
11/70

11話

 耕作の告白から数日。広場には出発の準備を整えた琉太たちと、それを送り出す千代子たちが集まっていた。当然、悠玄組の姿は見えない。

「じゃあ、行ってくる。クラスのみんなは任せたぞ、千代子」

「あぁ。気をつけるんだよ」

琉太たちが出発しようとすると、一鉄が待ったをかけた。その手にはナイフが握られている。

「琉太。この先藪があるかもしれないから。これを使って」

琉太はナイフを受け取り、広場を後にした。

 獣道に入ると、そこには一鉄の予想通り、藪が広がっていた。この前、琉太が通ったときの3倍はあろうか。

「全く、ナイフがあってよかったよ」

「ここは俺の番だな」

隆之介は琉太からナイフを受け取り、藪を次々と切り捨てていく。エリーも途中から参加し、一鉄のときよりも早く藪の除去が完了した。

 そこから更に歩き、洞窟の手前に差し掛かった頃。突如道端の樹木から「ガサゴソ」と不可思議な音が鳴った。隆之介とエリーは即座に臨戦態勢に入る。

「向日葵。下がってろ」

不可思議な音は鳴り続け、隆之介たちの緊張感はどんどん高まっていく。しかし、樹木の葉からひょっこりと顔を出したのは、

「あ、驚かせちゃった?」

なんと功だった。予想とのギャップに、隆之介とエリーからどっと力が抜ける。

「なんだお前かよ。びっくりさせんな」

「ごめんごめん。昨日は名乗り出れなかったけど、やっぱり僕も一緒に行きたいなと思って」

「これ以上人が増えると、食料がなあ」

隆之介は功の参加に否定的である。琉太はなにか考えているのか、口を開かない。

「そうだよ!琉太くんに迷惑かけちゃだめだよ!」

「それ、お前が言うのか…向日葵」

隆之介は学校生活のときの向日葵の様子を思い浮かべ、ツッコミを入れる。その時、琉太が口を開いた。

「まあいいだろう。エリーがアーロン、隆之介が向日葵、俺が功を守れば問題ない」

「…ありがとう」

琉太の手には使い古したナイフが、力強く握られていた。しかし、まだアーロンには腑に落ちていない部分があった。

「にしても、なんで功くんはそんなに行きたがったんだろう」

アーロンがつぶやくが、隣のエリーは反応しない。その時、エリーの頭にある考えがよぎった。エリーは桜花とアーロンが絡む様子を見るときの表情で、

「フフフ…」

と薄ら笑いを浮かべた。

「何ニヤニヤしてんの、姉ちゃん。気持ち悪いよ」

アーロンは普段と違う姉の様子に、少し鳥肌が立った。

 洞窟に入ると、中は涼しく、ひんやりとした空気が奥から流れてきていた。地面はでこぼこしており、壁は岩がむき出しの状態だった。

「なんか出てきそうだね…」

琉太たちは松明をつけ、洞窟の奥へと歩き出した。

 その道中で、隆之介は違和感を覚えた。洞窟にしてはやけに真っ直ぐで、これでは洞窟というよりトンネルや隧道と言ったほうがいい。また、洞窟の壁に目を凝らすと、ノミで削られたような跡があるではないか。そんなことを考えていると、エリーが壁に謎の突起物を見つけた。

「これは何でしょうか?」

「恐らく、ここに松明が置かれていたんだろう。見ろ、ほんのり煤がついている」

エリーが試しに突起物に触れてみると、確かに手が黒く染まった。

「そういえば、この洞窟にはノミで削られている跡があった」と隆之介。

「始めは昔からある洞窟を道として整備したものと思っていたが…どうやら人工的に作られたもののようだな」

 洞窟を進むと、先頭を歩いてた向日葵と功の目に、出口の光が見えた。

「あっ、出口だ!」

「結構長かったね」

二人は先を急ぐ。更に進むと、二人の目に驚きの光景が飛び込んだ。

「なにこれ…」

普通の隧道ならそのまま真っすぐ出口が見えるものだが、二人の目に映り込んだのは、大きな石でできた階段だった。その先には、天井に円形に出口が穿たれ、日の光が注がれている。二人は、その不思議な光景に驚きを隠せない。

「おい、勝手に行くな…ってなんだコレ」

隆之介が急いで追いつき、二人と同じリアクションをした。琉太とアーロン兄弟も追いつく。

「不思議な構造だな。桜花が興奮しそうだ」

向日葵たちは階段を上り、洞窟の先へと進んだ。

 洞窟を出ると、その先には入口と同じように、道が続いていた。よく見ると正面右手には、看板がある。琉太が看板を読んでみると「山頂、この先一里」と書かれていた。

「一里って…4kmだったっけ」とアーロン。

「あぁ。なぜキロメートルを使わないだろうか」

「特に深い意味はないんじゃないの?」

琉太は、細かな特徴に興味津々だが、アーロンにとってはどうでもいいようである。

 琉太たちは先程よりも広くなった道を、悠然と進む。標高が少し高くなり、周りの木々も少し丈が高くなっている山の中腹に差し掛かると、先頭の向日葵の目に、小高い広場が見えた。

「ねぇねぇ。今日はもう遅いし、休まない?」

夢中になって歩いているうちに、いつの間にか太陽が、そこら辺の山と同じぐらいの高さにまで下がっていた。琉太たちは、ここで一晩キャンプをすることにした。

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