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第四十一話 プレゼント

「何で俺まで行かなくちゃ行けないんだよ」

「もういいでしょ、それともエミールと二人で行けって言うつもりなの?」

「それは分かるけどさ、そもそも最初からエリサが断れば良かったじゃないか」

「あのね、私に拒否権があると思っているのかな?」


 だとしても本当に面倒くさいな、これが運命だとしたら嫌なんだけど。


 俺とエリサが乗っている馬車の周りには過剰とも言える護衛の騎士団と共に獣人の国であるエノワ共和国を目指している。



 ◇◇◇



 サボイ島の事件は調査隊が詳しく調べると捕らえられた兵士達の証言によりランイル帝国の関与は明らかになったが、リザードマンは全てがあとかたもなく死んでしまっているので魔国の関与を確定させるには困難だった。


 そもそも証拠があったとしても魔国が同じテーブルに着くとは考えられないので魔国に対してはこのまま曖昧に終わらせた方が無難なのかも知れない。


 だがランイル帝国にはそうにはならず、通告書を何度も送ってはいるが帝国側は決して認めないしそのそも人質も自国民ではないと言い張っている。


 この問題は長期化すると思われ先に国王は今回の事件の論功行賞式を行おうを考え、サボイ島に行った全員が集められる事になった。


 そこでは全員にお褒めの言葉、それに一人の犠牲者も出すことなく船を奪還し人質を確保した教師たちには報奨金が与えられ、最後は俺とファビオが敵兵の殆どを2人だけで打ち破ったとして国王の前に立たされることになった。


「二人とも良くやったな、それに粉を撒くだけでかなりの破壊力がある爆発が起こせるとはな、一体何処で学んだ知識なんだ?」


 国王は体格は中肉中背で普通の人なのだが、眼光が鋭く威圧感が半端ないので目の前に立つと緊張してしまって声が出せない。


「何を黙っているんだい、君だよ君が答えないといけないだろ、発案者が答えないでどうするんだい」


 ファビオが国王には聞こえないように小声で言ってきたので、額から流れる汗を拭きながら国王に向かって嘘を話し始めた。


「えっと昔ですね納屋で粉を撒いてしまった事がありまして、それで落ち着くまで外で待機していると何故か納屋が吹き飛んだんです。焚火のカスが中に入ったのが原因だと思うので、もしかしたら使えるかもと思いました。爆発はしなくても視界を奪うだけで足止めになれば構わないでどちらでも構わなかったのですが思いのほか効果がありました」


「そうか、ただなそれでも良く君らだけ生き残れたな」

「それはですね、何と言うか……」


 どうしよう、この先の答えも考えたはずなのに。


「彼に変わってここからは私が説明を致します」


 情けない俺の後を引き継いでファビオが話してくれる。二人で事前に考えてある嘘で、それは仕掛けをした後で直ぐに波止場に向かったというちょっと無理がある説明だ。


 言葉にすれば僅かで無理やり感があるがファビオはそれを誤魔化しながら上手く嘘をついている。

 

 国王は自分の息子の話を真剣に聞いているが何処か嬉しそうに聞いている。


「確かに教師たちの戦力を分散させたら上手くいかないだろうな、それにしても二人で攪乱作戦をするとは中々出来る事ではないぞ、そこでお前達二人には特別に褒美を授けようじゃないか、地位や金、それとも何か欲しい物があれば何でも言うがいいぞ」


 これは打ち合わせに無かったな、俺が欲しい物か? そうだっあれは良いのかな?


「あの私は次元収納鞄が欲しいのですが良いのでしょうか」


 倉庫一個分が小さな鞄の中に収納できるというチートアイテムがこの世界にあると言うのは聞いていたがもし貰えるんであればそれが欲しい。かなりの高額な品物らしいがそれを希望するなど欲張り過ぎだろうか。


「良かろう、宝物庫に使っていないのがあるはずだ。それでいいかな」


 国王は簡単に認めてくれたが側にいる宰相は納得がいかないようだ。


「国王様、お言葉ですがあれは国宝なのですぞ、いくら何でも若者に簡単に渡せるものでは無いのですが」


「五月蠅い、儂が決めたことに口を出すんじゃない。黙っておれ」


 もしかして欲張り過ぎだったのだろうか、何だか周りの視線も冷たくなったような気もするけど。これは止めた方が無難だな。


「申し訳ございません。意味も分からずに欲してしまいました。そうですね、今後の為にも剣か弓で良いです」


「子供が遠慮するんじゃない。ただな大事に使うんだぞ、あれは白金貨1000枚以上の価値があるんだからな」


「えっちょっとそれは……」


 元の世界の価値で換算するといくらなのか分からないが少なくとも億は超えているはずだ。もっと安い奴にしてくれたらいいのに。だから視線が冷たくなるんだよ、これは俺のせいなのか?


「それで、お前は何が欲しいんだ? 儂の養子になりたいか」


 その言葉で一気にこの場に緊張感が走った。いくら何でも国王が意味も無くこんな事を言う訳は無いのでファビオを王族に入れたいのが分かってしまったからだ。


「流石に恐れ多くてそんな事はお願い出来ません。私の願いはランイル帝国に行く交渉団の末席に加えて欲しいのです」

「おいっ向うが認めていない人質を連れて交渉に行くんだぞ、その意味が分からないのか、決して簡単な事では無いんだ」


 魔国ならまだしもランイル帝国にこのまま誤魔化されたら今後もこのような事が起きる可能性があるし、そもそも国として馬鹿にされてしまう。それを避けるために向こうに非を認めさせなければいけないが、決して戦争にならないように交渉しなければいけないと言う難しい役目だ。そうななった場合は命に危険が及ぶ可能性がある。


「是非とも今後の為に見ておきたいのです」

「その心意気は買うがな、貴様は共和国に交換留学するのではないかね」

「確かにそうですが、今は此方の方が需要だと思います。それに私より獣人族の国に行くのにふさわしい者がいます」


「誰だねそれは」

「貴族なのに獣人族の気持ちに寄り添えるエリサ嬢が適任だと私は思います」


 この発言だけで決まった訳では無いが、軍の内定調査の結果でエリサに交換留学生として共和国に行くように打診が来た。


 本当だったらファビオと一緒に行くはずだたエミールと行かなければいけないのだが、エリサが俺を推薦したために俺が行く事になってしまう。

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