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第四十話 終了

「動けない奴はいるか、いたら声を出してくれ」


 1階にいた人間の兵は粉塵爆発によってかなり死んでしまったが上の階を調べていたリザードマンの兵は怪我こそしているものの死んでしまった者は少数だった。


 外で爆風を受けて顔に傷を負ってしまったバイツ将軍は流れる血をそのままにして大声で叫んで知る。


「全員一度外に出るんだ。負傷者も早く中から出してやれ」


 その声に負けじとリベラ将軍もリザードマンに指示を飛ばす。


「お前ら慌てるんじゃないぞ、どうせ奴らは此処から出られないんだからな」


 此処にいる者達は怒りに震えて人質として本国に連れて帰る者以外は全て殺してやろうと心に誓っている。


「えっ何で……」


 一人の兵が空を指したまま固まってしまっている。その声を聞いた者達が明るくなってきた空を見上げると赤黒い身体をした邪悪なオーラを放つ巨大な竜が空に浮かんでいた。


 リベラ将軍は誰かに聞かせる訳でもなくただ呟く。


「あのお姿の赤竜はまさか……そんなはずは……」


 人間達もリーザードマン達もアビスが放つ威圧感に完全に屈服して動く事が出来なくなっている。


 するとバイツ将軍がアビスを見上げながらリベラ将軍の元に行った。


「あれは何なんだね、君達の秘密兵器なのかな」

「いや、そうでは無い。あの魔力は魔王様と同等かそれ以上の存在かも知れん」


 困惑している者達を侮蔑した表情で見下ろしたアビスは大きくて長い口をゆっくりと開くとその中に小さな漆黒の球体が出現しそれがどんどん大きくなっていく。


 そして前触れもなくそれは兵士達に向けて発射された。


「まさか、あれは……」


 リベラ将軍は動く事も言葉を最後まで言い切る事も出来ずにその身体は蒸発してしまう。


 アビスの放った黒球は音の壁を破壊しながら地面に到着し、下にあった物を全て飲み込んで消えてしまう。


 粉塵爆発を受けて辛うじて助かった者も今回のアビスの攻撃によって誰も助かる者はいなかった。



 ◇◇◇



 アビスは焼け焦げたクレーターの上にゆっくりと降り立つと小さく唸るような声を上げた。するとファビオはユリアスを抱えたまま外の様子を窺った。


「もしかして此処は地上なのかな」


「ぐぉぉぉぉぉぉ」


「今度は何だね、もしかして降りろと言うのかい。君のご主人様は意識が無いんだぞ、もう少し位このままでもいいだろうに」


「ぐぉぉぉぉぉぉ」


「あぁ分かったよ。意外と竜って奴はせっかちなんだな」


 ファビオはこの姿になったアビスが怖くないのか普段と変わらない口調でアビスと話すと意識のないユリアスを抱えたまま腕の方に歩きだした。


『このガキめよくもこの私に対して普通にしていられるな、こいつの神経はどうなっているんだ』


 ファビオはそのまま飛び降りようとしたが、かなりの高さがあるので躊躇している。


「君さぁもう少し低い体勢になってくれないかな、こんな高さから飛び降りたら怪我をしてしまうじゃないか、参ったなぁ竜って成長しても知恵は無いのか、困ったなぁ」


『このクソガキがっもう食い殺してもいいよな、小僧が目覚める前に食ってしまえば……無理かバレたら怒り出すだろうな』


 アビスは低く唸り声を出しているのだがその意味が分からないファビオは背中を歩き回っていると徐々にその背中が小さくなっていくのを感じた。


「これは面白いな、君はまたあの姿に、いや元の姿に戻るんだな」


『癪に障るガキだな、いつか食ってやるから覚えていろよ』



 ◇◇◇



 顔に冷たさを感じたので目を開けるとファビオが見下ろしていた。慌てて身体を起こそうとすると額の上にあった氷は落ち眩暈でまた倒れてしまう。


「いきなり動くからそうなるんだよ、先ずはこれを飲みたまえ」


 渡された小瓶の蓋を開けて口に加えるとドロッとした気味の悪い物が口の中に入って来る。思わず吐き出そうとするがファビオが口を手で塞いできたので吐き出せずに飲み込んでしまった。


 味は表現が出来ない程の不味いので涙も流れてくるが、眩暈は消えるし身体も軽くなってきたのでかなり高級な回復薬なのだろう。


「不味かったけど調子は良くなったよ、有難う」


 冷静に考えれば【アニマ】を唱えれば良かったのにその事はすっかりと失念していた。


「どうやら効果があったようだね、僕を作った父から貰った魔力回復薬だから最高級の代物さ」

「最高級の魔力回復薬か……ってのんびりしている場合じゃないよな」


 直ぐに周りを見渡すと黒ずんだ大地が広がっていた。


 これは、何があったんだ。


「落ち着きなよ、あれからそんなに時間は経っていないし、君の使い魔も寝ているんだからそっとしてあげないとな」

「何があったんだ? 俺が覚えているのはアビスが大きくなったところまでなんだ」


 気持ちよさそうに眠っているアビスを見ながら訊ねるがファビオも大きな背中の上にいて下を見る事が出来なかったので激しい音がして地上に下りたらこうなっていた事ぐらいしか分かっていなかった。


 アビスを起こす訳にはいかず抱きかかえながら波止場に向かう事にし、この状況をどう話すかフェビオと話し合った。


 その結果、爆発とファビオの魔法、それに敵が持ち込んだ何かの相乗効果によってこうなった事にしようと決めた。


「私の魔法は別に要らないんじゃないか」

「そんな事を言ったら俺の作戦だった要らないんだ。全てはアビスの力なんだから……俺達は意味が無かったのかな」


「あのねぇそんな馬鹿な事は言わないでくれるかな、あれは一定の効果はあったしそれに君の使い魔なんだから君の力と言っても過言じゃないんだ。まぁ小竜の事を隠したいようだから嘘に加担するけど本来ならば君だけが自慢してい良い事なんだからな、いいかいもっと自信を持つんだよ」


 そんなものなのかな。





 

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