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第三十六話 秘密交換

 何となく俺はファビオと共に最後尾を歩いているのだが最初こそ会話があったが直ぐに無言になってしまった。


 だが突然にファビオは聞き取りにくい小さな声でブツブツと呟き始めた。


「やはり教師が怪しいのか、生徒が知る訳もないしけど確信は持てないな、それとあいつがまた密告したのかそれとも仲間なのか、だとしてもこれ以上の情報は流れないだろうな……」


「何をブツブツ言っているんだい? 君は何か知っているのか」

「あぁあのダンジョンに仕掛けた犯人は知っているよ、今回も彼の仕業だと思うけど他に仲間がいるのか気になってね」


「ちょっと待てよ、あの犯人は誰だったんだ?」

「用務員さ、あのダンジョンに怪しまれずに入れる人間なんて限られるから直ぐに捕まったさ」

「何で俺達はそれを知らされていないのに君はどうして知っているんだよ」


「まぁそんな事は良いじゃないか、それより君はこれからどうなると想像しているかな、みんなで戦うと思うかい? 私は戦わずに脱出するんじゃないかと思うね」

「どうにかして助けを求めるんじゃないかと思うな」


 秘密を抱えているファビオにまともな話をしたくなかった。彼は俺の答えを待っていたようだがそれよりも先にロビーに到着し、先に集まっていた生徒や教師の視線を浴びる事になった。


 バーレント先生は俺達を見た後で全員を座らせ、ロビーの中央にある壇上に上がると先生同士で決めた事を話し始めた。湖の近くの街にも王都にも連絡は取れないので向こうが異変に気が付くまで時間が掛かると言う事と、だからと言って向こうの言いなりにはならないと言う事だった。


 すると平民クラスの生徒の一人が立ち上がる。


「ちょっと待ってください。勝手に決めないで僕達の意見も聞いてくれたらいいんじゃないですか」


「お前は誰だ? じゃあ何か、お前は仲間をあいつらに渡す事を考えるというのか、本当にそんな考えだったらお前は退学だ。もう生徒じゃねぇんだからとっとと出て行って降伏してこい。命は助けてくれるんじゃないか」

「えっいやそんな……」


 その少年は言葉を失って項垂れてしまった。バーレント先生の決断は酷すぎるかも知れないが、この学校ならば仕方のない事で少年が完全に間違っている。


 この学校は貴族クラスは上級騎士を平民クラスは騎士を目指す為の学校であって、卒業したほとんどの生徒が国に仕える事になっている。騎士は仲間を裏切る事は決して許されない。


 空気が悪くなってしまったがバーレント先生は咳ばらいをして再び話始める。


「これからお前らの行動を言うからな、ちゃんと聞くんだぞ」


 この地下には貯蔵庫の他に秘密の通路があってそれを進めば波止場の近くに行ける、なので生徒たちはそれを使って波止場で見張りをしているだろう敵を倒して脱出する。


 もう一方で数人の先生が此処で戦って敵の目を欺くのだそうだ。そして今は波止場の見張がどの程度いるのか偵察に先生が行っている。


『こやつらがどうにかできる訳あるまい。まともに戦える奴が少なすぎるな』

『おっ帰って来たんだね、それでどうだった』


『船の周りには人間だけが10人いるな、それ以外はこの周りを囲んでいるぞ、まぁ君だけなら無事に脱出させるから早く屋上に向かい給え』

『そんな事出来る訳無いだろ』


『自分の命だけを考えるのが人間じゃないのかね、まぁいい、無理にでも連れて行くぞ』

『嫌だねそんな事をしても俺は抵抗するぞ、何なら契約を解除する方法を絶対に探すからな』


『そんな子供のような事を言っても君にはどうにも出来ないだろ』

『だからさ一つだけ調べて欲しんだけど良いかな、それから俺の考えを聞いて欲しいんだ』

『どうせ私の考えは変わらんともうがね』


 面倒くさがるアビス説得してお願いを聞いて貰った。その間にもっと他に何が出来るか頭を回転させる。


 俺の魔法で使えるのは【ファイア】か……無理だな、あのリザードマンの速さでは狙いは付けられないか。そうなると【ムーブ】か……それこそ無理だろうな。


 はぁ所詮は初級魔法だよな、だとするとやはり……。


 考えているとファビオがそっと近づいて来た。


「君に話したい事があるんだけど良いかな」


 集合している輪から離れて二人だけで話す事になった。


「どうかしたのか」

「う~ん、君は先生も知らない情報を持っている様だから教えて欲しんだよ。もしかしたら対策を立てられるかも知れないだろ、本当だったら先生とも相談したいのだがもう結論は出てしまったみたいだからね」


 やはり敵の人数を俺が知っている事を忘れてはくれないようだ。


「俺はたまたま外を見ていたら敵の姿が見えただけなんだ、だから数はその時に見えただけで正確かどうかは自信がないな」

「そうかい、まぁ秘密は私には言いたくないか……そうだ、此処にいる先生も一部の人しか知らないんだが、この私が国王の隠し子なのさ、これが私の秘密だよ」


「ちょっと何だよ、君は侯爵家の跡取りなんじゃないのか」


「今の父は私が生まれる前はうだつの上がらない男爵だったんだ。今もそうだが顔だけが取り柄の男でね、そして私の母は平民の出だがこの国でかなりの有名な美人なんだ。父は母と結婚した事だけが自慢だったらしいのだが数年後に私が生まれてから1年もしない内に侯爵になったのさ、周りを強引に納得させる実績は国王の部下が全ておぜん立てしてから父が最後に手柄を持って行ったそうだよ、それにね昔は仲が良かった夫婦は今では目も合わせないんだ。私にはその姿しか見てないけどね、さて、君なら意味が分かるよな」


 そこまで話されたら答えは一つしか無いがそれを言って良いのか分からずファビオの目を見る事が出来ない。


「まぁあれだね」

「その反応は正しいよ、私が同じ侯爵家であるイサベラに気を使っていたのも分かるだろ、私の家は嫌われているからね」

「あの、何て言ったら良いのか」


 こんな秘密を言われてしまったのなら少しだけ話してもいいような気がした。まぁそれがファビオの狙いだとは分かっているけど。


『アビス、近くにいるかな』

『あぁちょうど話し掛けようと思ったところだ』


「どうだい、これで君の秘密を聞けるかな」

「そこは正直に言うんだな、まぁいいけどもう少し人目から離れようか」


 俺達の事をディルク達やカラーズ達が気にして見ているがそっと二人で柱の後ろに回った。


「何をする気なんだい」

「まぁいいから……アビス、ファビオに姿を見せてくれ」

『良いのかい』

「あぁ」


 ファビオの目の前にアビスが姿を現すと一瞬だけ驚いたような表情になったが直ぐに元の表情に戻った。


「テイマーが君の秘密か、確かに竜種は珍しいよな、もしかして今迄の不思議な事は彼の力だったのかい」


 全てがそうではないがそれで納得するならそれで構わない。あえて肯定も否定もしなかった。


『勘違いしているようだがこれに何の意味があるんだね』

『ちょっとね、それよりあれはあったのかな」

『大量にあったがそれも意味が分からんな』


 あるのであればようやく説明をしなければいけないが、これはファビオにも聞いて貰わないと意味が無い。


「あのさ、君の力が必要なんだ。ちょっと聞いてくれないか…………」

「ふ~ん、本当にそれが出来るとしたら面白いね、まぁ失敗しても先生が考えた作戦よりかはマシだろうな」

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