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第三十二話 合宿に向けて

 懲罰房を解放されてから1週間過ぎたのだがあの事件を起こした犯人も目的も何も分からないままだ。


 ただそれは俺達には伝えられていないだけかも知れない。


 そしてあのダンジョンは破棄する事が決定され、その最後を見届けるために全校生徒がダンジョンの前に集められた。


 俺の隣にいるクロードは集められたこの状況にも不満らしい、


「本当にいい迷惑な事だ。私にはこんなダンジョンなどどうなっても良いのだから早く終わって欲しいんだけどな」

「あんまり大きな声は出さない方がいいぞ」


 これも勉強の為なので、クロードの文句が先生に聞かれたらまた面倒な事になる。ただ俺としてはどう破棄するのか気になっているとダンジョンの中からいびつな水晶を抱えた先生達が出てくる。


『あれがダンジョンの核と言う奴なのか』

『そうだ。ただあんな小さい核は見た事が無いな、まぁその程度のダンジョンだって事さ』


 バーレント先生はその核を持って簡易的に作られた壇上の上に立ち、生徒を見渡しながら大きな声を張り上げた。


「このダンジョンの最深部に行った者は見た事があるだろうがこれがこのダンジョンの核だ。決して触ってはいけないと言ってあるが、もし核を壊したらどうなるかを今から見せるからな、いくぞ」


 言葉の終わりと同時に先生は核を地面に叩きつけるとそれは飴細工のように粉々に砕け散った。


「綺麗に砕けたね、こっれで終わりなのか?」


 俺の呟きにクロードが呆れたように答える。


「あのね、これから始まるんだ。つまらない事だけど」


 ダンジョンの入口を見ていると徐々にその入り口が閉じていき、そのまま平地へと変わって行った。


「「「おおおお~~~~~」」」


 あちらこちらから驚きの声が上がったが俺としてはクロードと同じ意見だ。生徒達はまだ騒いでいるがバーレント先生は大きく手を叩き静かにさせる。


「どうだ分かったか、お前らがダンジョンの中で核を壊したらどうなると思う?」


 生き埋めか?


「いいか、上に出る前に入口は消えて異分子のお前らは空高く吐き出されるんだ」


 生き埋めにならないのか? まぁどの程度の高さに弾き飛ばれるんか知らないけど埋まるよりかはマシだな。



 ◇◇◇



 それからは何の変哲のない日々が過ぎ、中間休みを迎える前に1年生と2年生は合同でサボイ島に合宿と言う名の旅行に行く事になった。


 3年生以上になると本当の意味での合宿なので普段以上の訓練を行うそうなのだが、俺達はただチームワークを学ぶための訓練なのでほぼ遊びとなっている。


 子供の遊びには付き合いたくないと思っているので嫌々寝室で支度をしているとテンションの高いディルクが中に入って来た。


「おいおい、何で君はつまらなそうにしているかな、いいかい明日からサボイ島に行くんだよ、もっと楽しそうにしたらどうなのかな」


「あのさ、さっきの訓練でようやく兄貴に剣が当てられそうだったんだよ、それなのに合宿なんて行っている場合じゃないんだよな」


 俺は真剣にそう言ったのだがディルクは眉をひそめた。


「あのさ、まさかあれだけ訓練をしていたのにまだ1度も当てた事が無いのかい。いくらなんでもそれは酷すぎるな、魔法無しにしたのが失敗じゃないのかい、君なら魔法有にすればいいのに」


「そんな単純じゃないんだよな、有にするとさ、あの兄貴は余計に厄介になるんだ」


 何度か魔法有の訓練をした事があったが、【ウォタ】で視界を奪うと距離感の狂ったアーロンは平気で腹を切り裂いてきたし、【ムーブ】で動きを封じようとするとイラついてきたアーロンはを遠慮なくぼこぼこにしてきたので身体が持たない。


「まぁそうなるのか、君も色々大変なんだな……そうだっアビスは向うに連れて行くのかい? 二人部屋じゃ無いからずっと姿を消したままになるよ」

「そうだよね、どうするのかな」


 そのアビスには何度も声を掛けてはいるがさっきディルクから貰った肉を夢中で食べているので返事をしてくれない。



 ◇◇◇



「よ~しいいか、全員騎乗」

「「「はいっ」」」


 サボイ島はガルト王国の北西にある湖の中心に合って、先ずはそこに行くためには船で川を登って行く。


 その船に乗る為には半日ほど時間を掛けて停泊所に行かなければならない。誰もが一人で馬に乗り込んでいるが俺の背中には何故かエリサのぬくもりがあった。


「ゴメンね、迷惑かな」

「別にいいけどさ、まさかエリサが馬に乗れないとは思わなかったよ」

「仕方がないでしょ、お父様が危ないからって許してくれなかったんだから」

「子爵は過保護だな」

「あのね、私は気にしないけど人前では間違えない方がいいよ、お父様はもう伯爵になったからね。それにユリアスのお父様も子爵になったんでしょ」

「そういやそうか」


 すっかり忘れていたがいつの間にか出世をしていたようだ。


「きゃっ、もっと段差に気を付けてよ」

「これでも慎重にやっているって、それよりあんまりくっつくなよな」


 背中に感じる暖かい物に少しだけ変な気持ちになるがその気持ちを理性で押さえつける。


 子供相手に意識するな、俺よ。


 雑念を振り払うために【ウォタ】を自分の頭に落としてみた。


「ちょっと何してんのよ、濡れるじゃない」

「まぁそうなるよな、ちょっと待って、乾かすよ」


 何処が濡れているのか分からないので適当にエリサの頭の上から【ウインド】を当ててみた。


「あのさ、寒いから止めてくれないかな、せめて暖かい風にしてよね」

「それが出来るならしてるって」

「だったらもう止めようか」

「はい。すみません」


 常温の風でしかもドライヤー程度の風を出す事しか出来ないこの【ウインド】の魔法の使用方法は今のところは嫌がらせをする事ぐらいにしか使い道がない。


 それよりも後ろでしがみ付いているエリサは約半年前にあった時に比べて随分と性格が明るくなってきたように思える。


 そのせいでエリサに言い寄って来る男も増えたので俺は伯爵の指示で密かに嫌がらせをと報告をしているがこの事はエリサには決して知られたくない。







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