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第二十四話 ディルクの思い

 あのパーティのおかげなのかこのクラスは3ヶ月も過ぎると落ち着いた良いクラスへと変わっていっている。それは良いのだが相変わらず俺は魔法の授業では劣等生でどんなに真剣に取り組んでも新しい魔法な何一つとして使う事は出来ない。


 自分が少し嫌になって来たがいつものように日差しが降り注ぐ中庭でディルクとクロード、そしてようやく一緒訓練する事を許されたカミロと共に昼食を食べていた。


 口の中にどんどんと食べ物を詰め込むカミロを嫌そうな目でずっとクロードは見ていたがとうとう我慢が出来なくなったみたいだ。


「君の食べ方は汚いんだよ、それに食べ過ぎでは無いのかね」

「うるせぇな、俺はお前と違ってアーロンさんに鍛えて貰っているから体力をつけなきゃいけないんだよ、俺の一番の楽しみは夜の訓練なんだからな」


 そう言うと口の中に入った物を飲み込み、隣で素振りを始めてしまう。


「よくそんなに前向きになれるよな、俺なんてあの痛みを味わうぐらいだったら早く兄貴が卒業してくれないかって願っているんだぜ」

「兄貴なんて言っている事がバレたら怒られるぞ、お兄ちゃんだろ」


 余計な事をカミロが言うと直ぐにクロードが食いついて来た。


「お兄ちゃん?まさか君はその年齢でお兄ちゃんと呼んでいるのかい」


 カミロは余程面白いのか普段は表情を変えないくせに今は顔を崩して笑顔になっている。


「言わされているだけさ、ったく余計なこと言うなよな、仕返しに今日から俺と同じメニューにして貰うから」

「絶対に言うなよ、俺が耐えられる訳ないだろ」


 カミロは夜の訓練に参加を許されているが、いくらアーロンでも他人を斬るのは抵抗があるのかカミロに対しては木剣を使用している。


 そしてカミロは最初は俺と同じ内容の訓練を希望していたが近くで見てしまうと真剣での訓練には腰が引けてしまった様だ。


『アビス、お前は食べなくて良いのか?』


 クロード達から見えない場所に置いてある肉が1口も食べれれていないので話し掛けるが答えは返ってこない。


 またいないのか?姿が見えないから分からないんだよな。


 すると今までずっと黙っていたディルクがいきなり立ち上がって言ってくる。


「なぁちょっといいかな」

「どうしたんだよいきなり」

「あのさ、来週から2年の俺達はあそこのダンジョンに入って良い事になるだろ、だからさ解禁されたらみんなと入りたいんだよ」


 ディルクは何故か興奮気味に話しているが、それを聞いたクロードは辛辣な言葉をディルクに向けて言い放つ。


「それは無謀だと思うな、いいかいユリアスやカミロはちゃんと訓練をしているから大丈夫かも知れないけどその間に私や君は何をしていたのか分かるよね、いくらあそこのダンジョンは初心者用かも知れないけど準備をしていない人が入っていい場所じゃないって事が分からないのかい、それにさメリットが無いじゃないか」

「そんなのは知っているさ、だけど実感したいんだ」


 この学校の中には一つダンジョンがあって学年によって進める階層が決まっている。俺達2年は3階層までは行っても良いのだが、その辺りに出現する魔物は良い質の魔石を落とさ無いので2年生で入る者は殆どいない。


 ディルクは別に金に困っている様には見えないし、剣技も魔法も並の成績でしか無いのにどうして入りたいのだろう。


「あのさ、理由を教えてくれないか、もし納得したら俺は一緒に入ってもいいよ」


 元の世界でも洞窟には興味は無かったのに魔物が出てくるこの世界のダンジョンにはもっと興味は無い。魔物を倒すと魔石が出てくるのでそれがいつかはモチベーションになるだろけど碌な魔石しか落ちないと分かっているのだから行く意味が分からない。


「僕はさ知っての通り次男だろ、だから騎士を目指してこの学校に入ったんだけど何だか嫌になってさ、冒険者の道を考えてもいいかなって思ったんだ」


 その答えにカミロは納得できないようだ。


「騎士じゃ無くて上級騎士だろ、それに貴族のお前が冒険者になる意味を分かっているのかよ、下手したら家から追い出されるぞ、そうなったら平民になるんだぜ」


 貴族は国の為に働くから貴族として生きられるので会って、自分の為だけに生きる冒険者を選ぶとなれば絶縁されてしまうだろう。


「それでも良いんだよ、別に騎士が嫌いなわけじゃないけど、この学校でさえ実家の爵位が影響していただろ、それが卒業したらもっと酷くなるじゃないか、能力がある人の下に付けば納得するけどただ貴族としての地位が高いだけの馬鹿に支持されるなんて考えただけでもうんざりするよ、それに比べて冒険者は自由じゃないか」


 自由ねぇやはりディルクは貴族のお坊ちゃんだな、そりゃこの先に理不尽な事が待っているかも知れないが貴族は平民に比べてかなり優遇されている事に気が付かないかな、甘いよな、この俺よりも甘いよなぁ。


 その意見にカミロとクロードは反対のようだ。


「そうかも知れねぇがそれでも騎士を目指すべきだぞ」

「そうだね私達は冒険者になる為に此処にいるんじゃないんだよ」


 確かにその通りだと思うがその言い方だとディルクは考えを変えないだろう。だったら冒険者のさわりを体感すれば良いと思う。はっきり言ってディルクには討伐は向いていない。騎士だとしても文官を目指すべきだと思う。


「体験して見れば良いんじゃないか、まぁ初級ダンジョンだし3階層までだからそれを理解出来る墓は分からないけど頭で考えるよりかは良いだろ」

 

 俺の意見にディルクは喜び、カミロも渋々と言った感じで了承してくれたがクロードはまだ納得がいっていない。


「そうかい、ならば私は止めたりはしないけどそれだったら君達だけで行ってくれ、ただ2年生は4人のパーティを組まないと入れないのは知っているよね、誰かを誘って行くと良いよ」


 ほんの少しだけ困ったことになったと思ったが、直ぐにその問題は解決する、


「それだったら私がパーティに入ろうかな」

『良かったではないか、まぁこの娘が何お役に立つのかは知らないけどな』


 いきなり会話に入って来たのはエリサと、その頭に上で姿を隠していないアビスだった。

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