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第十一話 クラス分け試験

 学校に到着し守衛に何処に行けば良いのか尋ねると何故か体育館に案内され、今は広いこの場所の真ん中で待たされている。


『面白い事が始まりそうじゃないか』

『俺は嫌な予感しかしないけどね、あのさ、頼むから何があっても姿を現すなよ』

『心配するな、君とは違うのだからそんなミスはしないさ』


 使い魔と言うのは全てがこんな感じなのだろうか、呼び方の割にはただの話し相手としか思えない。

 暫く待たされていると3人の大人が入って来てその手にはバインダーの様な物を持ってる。


 クラスが決まる試験がいよいよ始まるのか、さて俺はこの世界でどの程度通用するのかこれで分かるかも知れないな。


 口の中が乾き唾を飲み込むと白髪の老紳士が最初に話し掛けてきた。


「ユリアス君で間違いないよな、私はこの学校で学長をしているラウレンスだ。今から始まる試験はどちらのクラスに入るのか決めるだけだからそんなに緊張しなくていいぞ」


「そうは言っても私はエリサと同じクラスに入らなければなりませんので」


「そうなるとAクラスか、まぁ家の事情だとは思うが申し訳ないがそこは加味出来ないな、いくら君の兄上達が優秀でも君が実力を見せてくれなければいけないな」


 学長が振り返ると髪が短く体の線がくっきりと分かる服装を着ている色気のある女性が前に進み出て、右手を下から上に動かすと地面が競り上がり立派な机と椅子に変化していく。


 羨ましいな俺の【ムーブ】とはえらい違いだ。上位互換魔法なんだろうな。


「貴方には最初に簡単な筆記試験をして貰います。時間はそうですね……武術指導のバーレント先生が準備を終わるまでにしましょうか」


「あの、ちょっと曖昧じゃありませんか」

「セシリア君、まぁそこまで厳しくしなくてもいいではないか、そうだな様子見で良いのではないかね」

「了解しました」


 それも曖昧なんですけど……何て言えないよな。


 目の前に置かれた藁半紙の様な用紙にはびっちりと問題が書かれてあり、5問ごとに傾向が変わっていくようだ。最初の算術は算数のような難易度などで全く問題は無いし国語もまぁいけるのだが、この世界ならではの魔法の基礎知識や魔獣や魔物に関する問題は手が付けようがなく、手が止まるとアビスが全て答えを教えてくれた。


 しかしこの国の歴史や政治の問題はアビスは当たり前だが分からないし、ユリアスの記憶を探しても答えは出てこない。


 少しは興味を持った方が良かったなユリアス君よ。


「あの、もう終わりで良いですよ」

「どうしたの、後半の方は何も埋めていないじゃない。そっちの方が簡単なのよ、初等学校に通っていたんだよね」


 ユリアスよ、お前のせいで俺が馬鹿にされたじゃないか、もしかしてこれが原因で上等学校に進みたくなかったのか。


「まぁいいではないかセシリア君、彼がそう言っているんだし」

「それだとAクラスに入るには点数が足りないのかと思います」

「いや、ちゃんとは見ていないが、書いてある場所は全て正解だと思うな、もしそうであれば問題ないだろう」


 セシリア先生は直ぐに俺の前にある用紙を手に取ると徐々にその目を大きく見開き始めた。


『私が教えた場所が間違っている訳ないだろうが』

『そうみたいだね、けどよく魔法陣の事も知っていたよな、あれって人間の技術だろ』

『そんなのは人間を捕まえた時に……』

『もういいや、それ以上は言わないでくれ』


 これ以上聞いてしまうと今のアビスでは無いとはいえ嫌悪感を抱いてしまいそうだ。だったら聞かない方がいい。


「それじゃ次の試験に移ろうじゃないか、いいか、お前はこの周りを俺が止めろと言うまで走り続けるんだ、分かったな」

「あっはい」

「さぁ行って来い。いいか体力を温存しながら走るんじゃねぇぞ」


 熊みたいな男の先生はバーレントと言い、またしても曖昧な指示で終わりが見えないランニングをする事になったが、意外と身体が軽く動いている事に自分自身が驚いている。


 もしかしてたしか成長が5で体力が1だったよな、そのおかげなのか。


 …………はぁはぁまだかよ。


「お~い、もしかしてもう疲れたのか」


 バーレントは自分の筋肉を見せつけるように腕を組んで俺を見ている。


 いい線言っていると思うけどこれでも駄目なのか。


「あの……まだですかね」

「しっかりしろよ、アーロンならこんなのは余裕でこなしているぞ、それでも弟か」

「はぁがはっ、お言葉ですが兄はもう一人いるんですけど」

「そういやそうだな……だったらもう止めてもいいぞ」


 もう一人の兄であるマティアスを思い出してくれたおかげで終わりに見えないランニングを終了する事が出来た。どんな評価なのかは分からないが決して良い評価では無いだろう。


「それでは最後の試験をやろうではないか」

「すみません学長、出来れば少しだけ休憩がしたいのですが」

「それは構わんけど休憩すればするほど成績を下げるが良いのかね」

「分かりました、直ぐにやらせて下さい」


 あくまでも目標はエリサと同じクラスに入る事だ。精一杯やって駄目なら仕方がないが簡単に諦めたくはない。


 こんな性格になったのはあの会社のせいだな、そこだけは感謝した方がいいのか。


 試験の内容は体育館の端の方に木人形が立っていて、それを反対側にいる俺が魔法で倒せばいいそうだ。距離にして50mあるかないかぐらいだろう。


「さぁ好きにやってみたまえ」


 この試験の担当は学長らしい。だったらここが1番の頑張りどころだ。


「行きます、ムーブ」


 木人形の下に穴を掘りそのまま落としてみる。ちょっとズルいかも知れないけど良い作戦だと自負している。


「掘ったのか、まぁそれも良いんだが、他に何かできるかね」


 余りお気に召していないか。


「次いきま~す。ファイア」


 隣の木人形に火が付いた。


「今度のは良い魔法ですよね学長」

「確かにあの場所からいきなり着火させるのは素晴らしいが少し火が小さいな」


「そうですよね、ファイア、ファイア、ファイア……」


 全ての部分が火に包まれている。それでも唱える事は止めないで燃え尽きるまで何十回と唱え続けた。


 どうかな、これでも地味かな。

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