なろう系は低俗だ。特にハーレムものなんて下賤の極みだ。
なろう系は低俗だ。特にハーレムものなんて下賤の極みだ。
という言説を耳にすることは少なくない。
感覚での話しだが、”芸術”とされる邦画(日本映画)界隈から、特にそうした主張が聞こえるように思う。
彼らがそう言いたくなるのは当然だ。
ハーレム系なろうがどんなものかを振り返ってみれば、簡単に分かる。
・主人公がダメ人間
・そのくせ、なぜか多くの異性から好意を寄せられる。
・だが、その好意を寄せてきた異性と良いところまで行きながら、最後まで行かない。
・好意を寄せてくる異性の中には、近親相姦に該当する者までいる。
ジャンルの特徴としてはこんなものだろう。
このエッセンスを持つ作品に、日本映画関係者がいちゃもんを付けてくる。
ここまで言えば、ピンと来る人もいるのではないだろうか?
そう、このエッセンスは、携わった者が何度も日本アカデミー賞を受賞し、累計50作も作られた邦画シリーズ「男はつらいよ」そのものなのである!
・寅さんはダメ人間だった。
”フーテンの寅”と言われていたが、フーテンとは、定職を持たず、ぶらぶらと無為な日々を送っている人物をさす。正にダメ人間。
・そのくせ、なぜか多くのマドンナから好意を寄せられる。
人の良さ(だけ)で、各作品毎に多くの女性から好意を寄せられた。
・だが、その好意を寄せてきたマドンナと良いところまで行きながら、最後まで行かない。
50作も続くシリーズである。マドンナとできてしまっては次の作品が作れない!
・好意を寄せてくる異性の中には、近親相姦に該当する者までいる。
腹違いの妹、車さくらは、早くも第5作でマドンナとなっている。
(時代を考えると、かなり攻めた設定である)
つまり、邦画関係者が、ハーレム系なろうをこき下ろすのは、彼らが作ったハーレム系フォーマットを、なろうがパクッたからに他ならないのだ!
さらに、時代を考えると、他にもパクッた要素があることが分かる。
1970年頃まで、日本では集団就職と言って、特定の地方から特定の企業に集団で就職することが行われていた。その理由には様々なものがあるが、東海道以外の新幹線が開業(山陽新幹線:1972、東北新幹線:1982など)するまで、日本国内であっても移動には大変な苦労が伴った、という事情が大きい。
つまり、日本の地方在住者には、遠く離れた他の地方は、同じ日本国内であっても異世界だったのだ。
「男はつらいよ」映画第1作は、1969年に公開された。
ハーレム系なろう作品が「男はつらいよ」シリーズからパクった要素には、異世界もの、という面もあったのだ。
これほどまでに、日本アカデミー賞作品からエッセンスをパクッていた。
しかも、本家である邦画界がそれを再活用できていなかったことを考えれば、かれらがなろう系ハーレムものをやっかむのも当然なのである。
(生)温かい目で見てやろうではないか。