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夢転移でダンジョン無双 ~寝ている間だけ行ける夢のダンジョンで無限レベルアップ 世界最強の力で日本を救います~  作者: ひだまりのねこ


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第五十八話 魔王女ルシフィーナ

 ルシフィーナが店の外へ出ると、そこには魔族の男たちが待ち構えていた。



「ほほう、まさかと思って来てみれば……ルシフィーナさまではないですか」

「バルデス……貴方たちこそなぜここにいるのです?」


 自分の事は棚に上げて問いただすルシフィーナ。


「そうですね……本音を言ってしまえば、この私が魔王になるため……ですかね」


 バルデスの答えは予想外……いや、ある意味予想出来ていたことではあるのだが、言い訳をすることなくそれをあっさり認めたことが予想外であった。


 最悪だ。自分を連れ戻すために来たのであればと一縷の望みをかけていたルシフィーナであったが、バルデスの答えに絶望する。


 バルデスといえば魔族でもトップクラスの力を持つ魔王候補の一人。結果的にタッチの差で魔王覚醒はルシフィーナの兄であるザイオンが早かったものの、その程度は誤差の範囲で下剋上を期待している魔族も多い。


 こちらの世界に転移して来たことによるどさくさで魔王となったザイオンは、実は正式な手続きを踏んで即位したわけではない。つまり他の魔族にもチャンスはまだ残っていると言えなくもない状態なのだ。もちろん、力という大前提があってこその話だが。



「ザイオンの野郎は、人間の女にかまけている体たらく。あんなのが魔王だなんて到底認められませんよ」


 やはりそこか……ルシフィーナは内心ため息をつく。


 バルデスの言う通り、ザイオンが運命を手に入れることに固執しすぎているというのは公然の事実。そのことを面白くないと思っているライバルたちの言い分もわからないではない。


「バルデスの考えはわかります。しかし勇者サダメはこの世界の最高戦力。いかに魔族と言えども対応を誤れば滅びかねない力を持っているのです。兄とて深い考えがあってのこと、今はこの世界で魔族が生き残り繁栄できるかの大事なタイミング。仲間割れしている場合ではないと思いますが? どうしても我慢ならないというのならば、私も協力しますからあとたった一週間、勇者の結論が出てからでも遅くはないでしょう?」


 バルデスとザイオンは元々相性が悪く考え方も違い過ぎる。ルシフィーナは、時間をかせぐ方向へ切り替える。


「……ルシフィーナさまは誤解をしておられるようですね。はっきり申し上げましょう。私はルシフィーナさま、貴女を手に入れたいだけなのです。そのために私はある方法で力を蓄えてきたのですよ、ククク……」


「私を……ですか? バルデス、ある方法とやらについては聞いても?」


「ええ、他でもないルシフィーナさまにはお話しますが、いわゆる紋章持ちを喰らうのです。アレは良い、一人喰えば帝国民百万人に匹敵する。まあ他の間抜けな奴らは、まだそのことにまだ気づいていないようですがね」


 ゾッとするような残忍な笑みに、思わず後ずさりするルシフィーナ。


 この世界へやってきた最初の段階で偶然そのことに気付いたバルデスは、帝国内にいる紋章持ちを配下を使って集めさせ密かに仲間内で独占していたのだ。



「ま、まさか……バルデス……貴方がこの国へやってきたのは……」

「その通り、帝国内にはもう紋章持ちがいなくなってしまったので、ザイオンの奴に忍とやらを取られる前に喰いまくってやろうと思っていたのですよ。そしてそれを実行に移すには、ザイオンが動けない今しかないのです!!」


 忍が魔族にとって極上の糧だと知られてしまえば、魔族は我先にと奪い合いを始めるだろう。そうなってしまったらもはや歯止めは効かなくなる。ルシフィーナは絶望的な状況に軽いめまいを覚えながらも、それでも説得を諦めない。


「わかりました。貴方の望み通り魔王となった暁には伴侶となりましょう。その代わり今は引いてください。このことが他の魔族にバレるのは、貴方にとっても本意ではないでしょう?」


 認めているいないに関わらず、魔王の命令を無視して抜け駆けしているのは事実。少なからず魔王争いに影響が出ることは避けられない。


「ハハハ、ルシフィーナさまは相変わらずですね。本音を言えばね、今更魔王の座などどうでも良いのですよ。ここは私たちが居た世界ではない。つまり古い因習に縛られる必要などないのです。私はこの世界を支配する新たな支配者、絶対的な存在になります。そうですね……魔帝とでも名乗りましょうか。そして目の前には欲しかった貴女がいる。この国を拠点にさらなる力を手に入れてザイオンを返り討ちにすれば全てが手に入るのです。配下に下るなら良し、そうでなければ消えてもらうだけのこと。ここで引く理由など一つもないのですよ」


 己の壮大な計画に自己陶酔するバルデス。しかも厄介なことに、彼にはそれを実現できるだけの力があるのだ。


 ここまでか……ルシフィーナは説得は無理と判断し覚悟を決める。


「どうやらこれ以上お話しても無駄なようですね……」



 人間の姿のままでは全力は出せない。


 背に広がる漆黒の双翼は魔力を増幅し、天を衝く双角はその強大な魔力の根源なのだ。



「暴力に訴えるのはあまり好まないのですが……やむを得ませんね……『魔力開放』」


挿絵(By みてみん)


 普段はあえて封印している膨大な魔力が一気に放出され、その圧倒的な密度に耐えきれなくなった周囲の空間が歪む。


 通常一度に行使できる魔力の量は上限が決まっており、上限がそのまま魔族のレベルに相当するのだが、天賦の才を持つルシフィーナは無理やり魔力を圧縮して詰め込むことで爆発的なまでの魔力量を行使することが出来る。


 ルシフィーナは争いを好まず戦うこともないため知られていないが、実は本気を出せば子どもの頃から兄よりも強い。その気になれば魔王の座も本来なら彼女が引き継ぐことも可能だったのだ。



「こ、これは……何という……」


 バルデスの配下たちも紋章ドーピングしており決して弱いわけではないのだが、空間の歪に飲み込まれないように耐えるので精いっぱいの状況。


「馬鹿な……貴女はこの世界で人間を喰っていないはずではなかったのか? なぜこんな……」


 バルデスは驚愕する。魔族にとって力を上げるには人間の生命力を喰うしかないはず。それを忌避し続けた魔王女がここまで強い意味がわからないのだ。


「はあ……言っておきますけど、人間を喰ったりはしていませんよ? 自己修練の賜物です」


 魔族には自分を鍛えるという発想がそもそもない。強くなりたければ人間を喰えば済む話であって、ルシフィーナのように苦労を重ねて強くなろうとする魔族はまずいない。  



「いや……それだけじゃありませんね? ルシフィーナさま、もしや寿命を……?」


 バルデスの言う通り、ルシフィーナは寿命を消費して重ね掛けすることでさらに力を増幅している。いくら天才的な強さを持つルシフィーナであっても、何億人もの人間を喰い続けた者たちを圧倒するためにはそれなりの代償を払う必要があったのだ。



「その通りよ。私も同胞相手に戦いたくはないのです。私を大事に思うならここで引いてくれると助かるのですが?」


 そう言い放つルシフィーナに迷いは一切見られない。つまり本気だということ。



「ククク……アハハハハ、やはり貴女は最高です!! ますます欲しくなりましたよ。お前たち、ルシフィーナさまを捕えよ!!」


「「「「はっ! 」」」」


 バルデスの命を受け一斉に襲い掛かる配下たち。


「……愚かな。力量差もわかりませんか」


 屈強な精鋭魔族五人相手だが、ルシフィーナは苦も無く攻撃をかわし確実に一人ずつ戦闘不能に追い込んでゆく。



「マズいっ!?」


 ルシフィーナの動きが止まる。


 バルデスが特大級の魔力弾を放ったのだ。避けるのは容易いが、背後にはモフパラがある。


「くっ、その程度問題ありません!! ヘルズゲート!!」


 避けても跳ね飛ばしても甚大な被害が出てしまう。ルシフィーナが展開したヘルズゲートによって、魔力弾は吸い込まれて消える。


「かはっ!?」


 だが魔力弾を受け止める際に出来た一瞬の隙をバルデスは逃さなかった。すばやく背後に回り込んだバルデスは禍々しい首輪をルシフィーナの首に付けることに成功する。


「ハハハ、やはり貴女なら避けずに受け止めると思いましたよ。本気で止めるなら最初に五人を瞬殺していれば良かったものを……その甘さが貴女の欠点であり弱さなのですよ」


「くっ……これは封魔の首輪……力が……入らない」


 

 いかなルシフィーナといえども、魔力を封じられては普通の人間と変わらず、意識を保つことすら困難になる。



 ああ……ごめんなさいサダメ……ごめんねユカリ……貴女たちの国を守れなくて……



 薄れゆく意識の中で、ルシフィーナは思い出していた。



『ルシフィーナ、日本にはね、私よりもずっと強い人が居るんだよ』 


 なぜ今そのことを思い出したのかわからない。


 だが、意識を手放す直前、彼女はたしかに見たのだ。




 ――――バルデスが無様に吹き飛ばされる瞬間を。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんというヤベェ魔族(;゜Д゜) でも日本にはそんな彼よりもヤベェ忍びがいる!! いてまえ創くん!!!!
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