好意
年の差ラブストーリー
第一話
いらっしゃいませ
おはようございます
私はいつもの様に
このコンビニエンスストアで
仕事をしている。
娘が結婚して孫が生まれる
少し前ぐらいだからもう3年ぐらいに
なるかしら
年齢はアラフィフの48歳
今日も朝から頑張っています
「おはようございます」
この子は毎朝来てくれるお客様です
挨拶には、ペコっと頭を下げて挨拶する
少し朴訥な感じが主人に似ていた 。
主人は娘が1歳の時に亡くなった
すい臓がんを患い、あっという間だった
24歳の若さで1歳の娘と22歳の私を残して
旅立ってしまった …
それから私は女手一つで娘を育て上げ
今は可愛い孫もでき
何も不満は無かった 。
そんな時に突然の出来事
あの子がお会計の時に
小さな紙切れを渡してきた
何でしょうかゴミですか?
捨ててよろしいでしょうか?
「後で読んで下さい」
初めて聞く彼の声だった
もう2・3年ほど利用してもらって
いるが初めて聞いた
ほとんどのお客様は当然
聞くことはないが
この子にはいつもこちらからは
「おはようございます」と
一方通行ですが声をかけていたので
実際に声を聞くと不思議な感じがした 。
後でと言われ何の事かわからなかったが
なぜか渡されたものをすっとポケットに
しまっていた。
「ありがとうございます」と
普段通り、レジを済ませた
朝の忙しい時間が続き
昼過ぎに勤務シフトも終了して
着替えて帰ろうとした時
そうだわ、読んでくれってメモか
何かくれたわよね
どこだっけとポケットを探し
取り出した…
なんだろうと開けてみたら
『好きです』
と書かれていた …
何これ?裏も表も横も
探すように回して確認したけど
その一言だけ 書かれていた。
気味が悪い・・
そんな感じには見えない子なのに
嫌だわ •••
少し、変な気分で帰宅した 。
数日後
そんな事があった事も忘れていた
けど、ふと
そういえば、あれからあの子来てないわね
と思った朝に、久しぶりにお店に来た
いつものパンと缶コーヒーと
昼のお弁当
レジ打ちしていると
また何かを黙って渡してきた
この前より少し厚く
小さな封筒に入っているのが分ったが
他のお客様に見られないように
そっと隠して
カメラからも見られないように
ポケットにしまった
このあいだの事があるので
拒否しようかと迷ったけれど
あの子の顔がマスク越しでも
悲壮感たっぷりだったので言えなかった 。
それは手紙でした
こんにちは
先日は突然の手紙で失礼しました
緊張して失礼な書き方だっと思います
反省しています 、ごめんなさい。
今日も仕事中に失礼しました 。
僕は金沢宏樹
といいます 年齢は24歳です
学校を卒業して現在は社会人です
本当に失礼だと思っておりますが
水原さんの事を学生の頃から
お店で見て ずっと好きでした
この気持をどうにかして伝えたくて
こんな形をとりました 、許して下さい 。
もし、良かったらお食事でもして
頂けると嬉しいです 。
こんな内容でした
丁寧だけどまだ子供ぽい文章
それより、何か悪ふざけだと思って
もしかしておばさんをからかって
SNSで動画投稿でもしようと
しているんじゃないかと
周りをキョロキョロ見回した
24歳てわたしより
ふた回りも下なのよ
わかっているのかしら
マスクで顔が見えてないんじゃないの
どう考えてもあり得ないでしょう
娘より年下の男の子よ
•••当然色々と考えてしまう
結論は
「あり得ない」「からかわれている」
でした
今度あったら叱ってあげよう
ただ、冗談でもなぜか悪い印象では
なかった
手紙の雰囲気、あの子の感じが
昔の主人に似ていたのが影響していたのかも
知れない …
主人は24歳で亡くなったから
ずっと私の中では若いままだから
そんな彼とあの子をダブらせていた …
--------
街はたくさんの人が行き交いして
そんな人の中からわたしを探して
手を繋いでくれたのはあなたですか?
たったひとりぼっちのわたしを
あなたの心で包んでくれますか?
--------