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37話 カクさんの秘密

「お前ってビビりなんだな」


キョーコ様(スケさん)が居なくなってから暇なのか寂しいのか僕にもっと頻繁に話しかけるようになっていた。今回も大の字に寝っ転がって果てのない白い空を見上げてる。僕も真似して横になった


ビビりと言うのは帳と対面した時の事を言ってるのだろう。ずっと夢を通して僕を見ているカクさんだから隠せるわけでもないし正直に答えよう


そうだよ、上位悪魔の時は大丈夫だったのに帳が殺気のある視線を放った途端身体が動かなくなったんだ。身体の中の魔力回路も滅茶苦茶になって上手く魔法が使えなくて...でもヴィンスやルフォードさんは平気で動けてたのも不思議だな...


「ありゃ金縛りだな。威圧して相手の行動を縛る闇魔法の一種だ。精神を鍛えれば効き目は薄れるがお前はビビりだもんな。」


そうなんだ、じゃあ何も言い返せないや。それでもルフォードさんが傷つきそうになった時は怖さが全部吹き飛んで動けるようになったんだ。その前だってヴィンスを探すまでは身体が軽かったし...


「他人の為にしか力を発揮することが出来ない...本当に苦労する性格だな。もっと自分の意思を持ったらどうなんだ?」


自分の意思?


ケレンやセビーも似たような事を言っていた気がする。でもちゃんと健康管理はしてるよ?

訓練も毎日欠かさずやって、ご飯も残さずに食べてるし、ブロッコリーはまだちょっと難しいけど...


「そういう意味じゃねーんだけどな...」


ずっと空間を見上げ続けるカクさん。真っ白い空間のはずなのに僕とカクさんでは見えてる景色が違う気がする。カクさんは何が見えているんだろう?


「いや、そういうことか」


暫く一人で考え込み結論を見つけたのかうんうんと自分で頷き納得していた。

どういう事?


「深い意味はねーよ、ただ思い出に浸ってただけだ。それより転生者でもあるまいのに年相応の対応しねーのはお前らしいな。あの雷炎を引き寄せる奴だって普通に全部計算しながら四重の魔法を放てるか?数学が苦手な京子(スケさん)じゃなくても泣いてたぞ。」


カクさんが言ってる事はあまり理解できないことが多い。今回も転生者とか...どういう意味なんだろう?


「あー...それより...ヴィンスも無事で良かったな」


目が明後日の方向に行き、話題を変えた。少し気になるけどこれ以上質問したらカクさんも困るのだろう。この話題は終わりにしよう


「そうだそうだ、ヴィンスの話しをしようぜ、ヴィンスの」


ヴィンスのことも知ってるんだ。口調的に僕を通して見てたのとはちょっと違って本当の知り合いみたいだね


「まあな、アイツには役目があるしな」


役目、白い空間でよく聞く主人公やモブ...それに関係があるってこと?


「よく覚えてるな、この空間に入る度記憶操作の魔法がかかってるってんのによ」


空間の中では覚えてられるんだけど夢から覚めたらからっきしだよ。これも何かカクさん達と関係があるの?


「あー...そんなもんだ...」


また気まずそうに目を逸らすカクさん。最初は気楽で適当な人だと思ってたけどカクさんはカクさんなりに隠し事が多くてあまり教えてくれないよね。


「悪いな、それが会社のルールなんだ」


会社?


「...」


また黙り込んでしまった

もしかしてカクさんは隠し事が苦手なのかな?


「だから京子(スケさん)が居たんだが...まー!お前にならいっか!!」


本当に大丈夫なのか逆に不安になってきたけど気楽なカクさんは今も変わりない様子だ


「それにしてもお前、本当に危なっかしいな。決まった未来が来るまで入れ替わらないって決めたのによ、また危うく入れ替わるところだったぜ...いや、お前は決まった未来を持つモブだから帳には影響はされないのか?」


帳の事も知ってるの?ヴィンスみたいに知り合いか何かなの?


「帳は敵だ。一生敵に回しても足りねーくらいにずっと敵だ。」


不機嫌になるカクさん。何か因縁でもある様な感じだ。それに色々知ってるカクさんの敵ならもっと警戒しないと...一度は失敗したけど今度は捕まえて見せたい


「帳は俺たちの敵だが、決まった未来のあるお前の敵にならなくて良いんだぜ?その物語に関与しなくていい権限はお前にはあるんだ。」


権限がなんなのかよく分からないけどそれは何もしない理由にはならないよ。帳の悪行を無視して良いものじゃない...それに毎日怯えて暮らす民を見てられないんだ


「そうか...やっぱり変わんねぇな」


変わる?


「聞こえてたのかよ...まあいいや、気をつけろよ相棒。」


相棒、いつもは「お前」とかだったのに今回は相棒呼び。いつもの様に歯を剥き出し口の片端を異常に上がる笑い方をするカクさん


夢に出てくる不思議な人だ


色々とアドバイスをくれたり、情報を提供してくれたり、僕をこんなに手伝ってくれるのはどうしてなんだろう?


ずっと思ってた、どうしてこんなに僕を助けてくれるのか。カクさんは僕の知り合いなの?何処かで会ったことある?


「いや相棒は知らない、知る事もない。でもそれで良いんだよ。まあ、とにかく秘密って事だ!」


やっぱり分からない事だらけだ


「負けるなよ、相棒」


何に負けるのだろう?帳の事なら「捕まえる」の方が合ってる気がする


秘密の多いカクさんによく分からない夢の中の白い空間。皆どこか距離感がある中、数少ない対等に接してくれる(カクさん)。夢から覚めると何も思い出せなくなるのがどこか悲しくて、寂しい


忘れたくないな


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