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29話 魔法を習おう!

「怪我はありませんか?」


前は両手を触れるだけだったけど、今回は王女殿下をお姫様抱っこ。


王女殿下は現状に理解が追い付かなくただぽつんと僕を見つめる。

翡翠色の瞳に透き通るように輝く金髪。


「王女殿下はやっぱり美しいですね」


ついつい口に出てしまう本音に理解が追いついたのか、王女殿下の頬がみるみるうち赤くなる。

言うのも三度目だけどやっぱり恥ずかしい。


王女殿下が飛び降りた窓から使用人たちの喚きを聞こえたから直ぐに下りて来るだろう。


「では、行きましょうか。」


王女殿下を連れて、二度目に会った茂みの裏まで走った。


「じ...自分でっ...歩ける...!」

「そうですか?でももう着きましたけど...」

「あ...うぅ...」


恥ずかしがってる王女殿下を降ろして僕は両手を手に取った。

とても可愛らしいお方だ。でもその可愛らしく美しい王女殿下の両腕...


「傷が増えてますね...」


以前治癒魔法をかけた場所から傷が更に上乗せされてる。


「痛くはないんですか?」

「うん...でも泣かないって決めた...から...大丈夫。」

「泣かないと?」

「泣いても、誰も来ないし笑われるだけ...」


苦しんでも、辛くても、誰も助けてくれない。


初めて王宮へ行った時、ジェイルス公爵や、他の者に笑われた時、罵られた時。

何もできないでいて、苦しくて、辛かった。

あの時オスカー叔父様の言葉や騎士団本部の人達のお陰で立ち直る事は出来たけど、ずっと孤独のまま、一人で保つことは出来ないと思う。

それと似た状況を王女殿下はずっと、毎日耐え続けてるのだ


「王女殿下はお強いですね」


僕は治癒魔法を唱えて王女殿下の傷を治した。

辛かっただろう、痛かっただろう...

他にも僕にできることはないのだろうか...


「そ...それ...!どうやったの...!?」

「これ、魔法の事ですか?」


王女殿下は勢いよく前に出て目を輝かせていた。

そして頭を上下にぶんぶん振る。


「魔法...!その魔法...教えて...!それとさっき...風が出た...やつ!」

「魔法...魔法をですか...」


魔法、もし王女殿下が治癒魔法を使える様になったら僕がいない時でも治療が出来る。

三階から安全に下りることも、使用人から受ける暴行から守れる。

良い事しかない。でも、でも...


「分かりました。ですがどうかその魔法を人に向けないと僕と約束してください。」

「どうして...?」

「危ないからです。」


自分は怪我をしてるのに、自分は相手を怪我をさせてはいけない。

理不尽かもしれないけど、相手は上位貴族。

王女殿下に更に酷い環境へ落とすことも簡単なはず。

それに、使用人を怪我させたと王女殿下の評判を下げさせたくない。


「…分かった」

「すみません、ですが、貴方まであの使用人たちと同じになって欲しくないんです。」

「うん...」


こうやって僕は王女殿下に魔法を教える事になった。


*****



それは生命の源で体内で尽きることなく燃え続けるもの。

その魂から溢れ出たエネルギーが魔力になって身体に蓄積する。

魔力を炎や風と自由に変化させ、操る事を魔法と言う。

そして魂には色があって、色によって得意な魔法が変わる。


「翡翠の瞳は聖国出身の証、だから王女殿下の魂の色は白。聖・光魔法が得意と思います」


聖国は聖・光魔法

公国は水魔法

帝国は炎魔法

勇王国は多種多様だから家系によって得意な魔法が変わる。


「貴方は?」

「僕は風魔法が一番得意なので緑だと思います。」


鑑定制度が続いてた時代では使える魔法だけじゃなく魂の色まで調べられるらしい。


「今は大魔術師グレイが編み出した無詠唱魔術が主流ですが、先ずは基礎として詠唱を試してみましょう」


基礎魔法にに分岐魔法、他にも色んな種類があるけどまずは普通に、王女殿下が得意とする一番基本な初級光魔法を教えてみよう。


「では王女殿下、身体に巡る魔力を手に...そうですね光を出すようイメージしてみてください。」

「...」

「王女殿下?」


王女殿下は僕を見るだけで何も言ってこない。


「僕、王女殿下に何か変な事しましたか?」


それか、王女殿下には今の説明は難しすぎたのか

でも左右に顔を振るだけで、少し沈黙が続いた。


「...フリーダ」

「え?」

「フリーダでいい...王女殿下は...嫌」


つまり王女殿下をフリーダと呼んでもいいと?


「良いんですか?」

「すこし遠くにいる感じがするの...嫌だ」


よそよそしいのが嫌だった...いやそんなことより僕に心を開いてくれたと考えていいんだよね?


「分かりました!フリーダ様!」

「っ!」


王女殿下、いやフリーダ様の頬が赤くなって膝で顔を隠した。

嬉しさのあまり、勢いよく名前を呼んだ自分まで恥ずかしいじゃないか。


少し気まずくなったけど僕はの残りの休憩時間をフリーダ様と一緒に過ごした。


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