表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/42

28話 夢という記憶

気が付いたら白い空間に戻ってた。

身体もあの女の人じゃなく、(コンラート)だ。


そして空間では青年のカクさんだけ...

妖精のスケさんは居ないね?またあの二ホンって所に帰ったの?

今度はいつ帰って来るのかな?


「いや、アイツはもう帰って来ない。」


え?それって...


「死んだとか、そう言う訳ではないが、もうこの空間やお前に会えない。予想外の事にアイツが驚愕して、お前と変われる一度だけの権限を使ってしまったんだ。」


上位悪魔と遭遇した時、身体が勝手に動いたの...あれはスケさんだったんだ...

それに色んな事を知っているスケさんやカクさんでも予想外の事があるんだね...

それにその権限って?


「うーむ...話せば長くなるし、面倒だからな...ま、細けー事は気にすんな。俺たちはただのモブと考えとけば良い。」


そういえばこの人、結構気楽な人だったな。


「それにしても...よくあの状態で上位悪魔に勝てたな。たまたま拾った鞄にたまたま上位悪魔を倒せるぐらいの付与魔石が入ってて、重症だった身体もたまったま全回復出来た。やっぱ決まった未来の運命力は強えな...今回も奴らの方が一歩先手か...」


決まった未来...僕にも決まった未来があるの?

それって何?


「それはお前の決まった未来が来た時に伝える。心配はするな。」


そう言ってカクさんはいつもの様に歯をむき出して片方の口端を上げて笑った。

でも、どこか少し寂しそうにも見えた。


*****


「朝だ。」


随分と長い夢を見た気がする。

夢は確か...


「あれ?覚えてる?」


あやふやな夢と、はっきり覚えてる夢と二つに別れてる。

そのはっきりした夢は夢というより実感した記憶みたいだ。

女神像の上に立ってた記憶だけじゃない、他にも段々情報が入ってくるのを感じた。


「コンラート坊ちゃんお目覚めになられましたか?」


ネイトが書物を沢山持って寝室入ってきた。


「うん、ネイトおはよう。」

「おはようございます。お身体は大丈夫ですか?帰って来た際、血まみれの服を見た時は寿命が縮みましたんだからね。」

「あはは...驚かせてごめん。でも身体は全然平気だよ。」

「なら良いんですが...それとキョーコ様に関する書物はどうしますか?」


ネイトが持ってきた書物、

全て読んだ事がないはずなのに、何故か内容が分かってしまった。

分かるどころか、自分がこの書物を書いたみたいな感覚だ。


あの夢は君...いや、キョーコ様の記憶だったのか?

じゃあ、もう一つの記憶があやふや夢...妖精がキョーコ様...

駄目だ...もう思い出せなくなった...


「坊ちゃん?大丈夫ですか?」

「うん、ごめんちょっと考え事をしてた。」


ネイト、折角書物を集めたのに悪いけど必要なくなったかもしれない。


*****


書類、論文、報告書。

今朝の夢の後、全てが簡単に読めるようになった。

キョーコ様の記憶が僕に知識として頭の中に入ってきて読める幅がかなり広がったのだろう。


父様が読んでた難しい書類の内容も理解出来るし、どう対応すれば良いのかもなんとなく掴めてきて、もっと手伝えそうだ。


ユージンさんが正式に宰相に昇格された時、

防衛総司令官、騎士団本部の最高責任者代理、それに侯爵領の管理に第七騎士団の事務。

全部父様に負担がかかってしまう。その負担を少しでも減らせられるならこの上ない喜びだ。


ちゃんと読めるし理解出来る...読めるけど、その書類が...


長くて、多すぎて、書き方がくどい!くどすぎる!


どうしてこの魔物の出現報告で「目撃者の父親がお腹を下した」ところから始めるんだ?

最初の5ページはただ目撃者の家族が仲良く晩御飯を食べた事を長らく書かれていて肝心な内容が中々出てこない。


この報告書だけじゃなく他もどれだけ長く書けるか大会でも開いてるのかと言えるくらい長い。そのせいで父様たちの仕事が長引いてると言っても過言ではない。


「そう言えば僕も警備事務所で書いた報告書...かなりページ数使った気が...」


何処から書けばいいか、どれくらい書けばいいのか分からないのかな?

そのせいなら、僕も反省しなくてばいけない。


「ラート、お前は昼休憩を取ってこい」


気付けばもう、お昼を回ってた。


「はい、では父様達もお仕事頑張ってくださいね。」

「ああ。」


僕はユージンさんの事務室を出て、すぐにあの場所まで走った。


*****


一度目は失敗して、二度目は遅れた。

だから三度目は今度こそ、


「来た!」


三階から飛び出すあの子。

落ちてくる彼女を風魔法で少し浮かせゆっくり僕の両腕まで降ろした。


「怪我は無いですか、王女殿下?」


驚いた表情を出す王女殿下。

その表情もやっぱり美しい。


「また会いましたね!」


貴方にまた会うのを楽しみにしてました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ