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26話 警備事務所にて

「ガハハハッ!ラートお前何捕まってんだよ!!」


警備事務所に来た途端声上げて笑うヴィンス。


「うるさいなぁ...」


僕は色々やる事があったから事務所に居る訳で、捕まったなんて大きな誤解だ。


「そっちこそ僕をほったらかしにしてまで行った冒険者ギルドは楽しかったの?」


後から駆けつけて来た冒険者達がヴィンスと知り合いだったらしく、警備事務所に居ると言伝を頼んでおいた。やっぱりヴィンスは冒険者ギルドに居たんだ。


「あぁ!次はヌンチャクを使うから覚悟しろよ!」


そして、どうしてヴィンスはいつも試合前にばらすのだろうか。


ヴィンスは毎日ギルドに行って熟練冒険者達から戦法を教わってたらしい。

冒険者登録は十二歳になるまで出来ないから見学として付いて回ってるとか。


「そんで、お前は何やってんだ?」

「報告書を書いてるんだよ。事務員の人達が忙しそうだから自分でやるって」


本当はルフォードさんが書こうとしたんだけど自分で書けると言ったら

何者だお前?と返された


そんなこと言われても僕は僕だ。


それで書くのは、魔物の戦いに落とし物の提出、

それと鞄を落とした人に手紙も残そう。


落とし物は、何処で、何時拾ったかを書けばいいだけ。

そして手紙には持ち主に命を救われた感謝と、侯爵家からの補助の提供を。

魔物と遭遇した要塞はもっと、細かく書いた方がいいよね?

先ずは、ヴィンスと都市まで下りた所から...


少し時間が掛かりそうだけどヴィンス、ちゃんと待てるのかな


「そっちはやることはもう終わったの?」

「何だそれ!?でっかい核だな!」


報告書の束の隣に置いといた核に興味津々で僕の話が耳を通ってない。


「これは事務所に来る前に倒した上位悪魔の核だよ。」

「魔物と戦ったのか!?羨ましいー!」


羨ましいって何だよ、こっちは死にそうになったと言うのに。


「欲しいならあげるよ。僕には使い道が分からないからね。」


ヴィンスはもう既に核を持って、夢中になってた。

話を聞いてよもう...


「しかし、どっかで見覚えあると思ったらヴィンスの親戚だったのか」

「ルフォードさん」

「悪いな報告書を書かせてしまって。人手がどうしても足りなくてな。」

「いえ、これ程度なら簡単に書けます。」

「もう、坊主には驚き慣れたな...」


「あっ!ルフォード!!お前の戦術、あともう少し...痛っ!何で殴るんだよ!?」

「大人相手に失礼だよ。ルフォードさんすみません、ヴィンスの口が悪くて。」

「ハハッ、子供はそれぐらい元気なのが丁度いいんだ、気にするな。」


ヴィンスが殴り返そうとしたからそれを避けると、座ってた椅子をおもいっきり蹴られて転び落ちた。


「...痛っいな」

「ルフォード!見たか!?ラートに一撃入れたぞ!」


こんなの卑怯だ...


「この暴れん坊め...」


ヴィンス、まさかとは思うけど警備隊の人達にも迷惑かけてないよね?


「それを言うならお前は頭でっかちの迷子野郎だからな!」


頭でっかちって...

あーもう、僕は怒ったぞ。


「まさか、お前の勝ちたい相手が坊主だったのは意外だな。」

「そうだよ!悪いか!?あーっ!クルックスが居たら伝えられたのに!」

「こんなの勝った内には入らないよ!こんな事でしか勝てないなんてクルックスも呆れるよ!」

「はぁ!?」


ヴィンスが怒って剣を抜いたから、こっちもやる気で起き上がった。

するとルフォードさんから「待て」と手を伸ばし、僕たちの喧嘩を中断した。

凄い深刻な表情で。


「今クルックスって...騎士団本部、最年少で騎士に昇格し、第七騎士団副団長になったあの『紅騎士』のクルックスか?」

「そうですよ、そのクルックスで合ってます。」

「坊主が騎士の家系だって分かってたが、ヴィンスも騎士の家系だったとは...いや、今はそんな事...こんな親しく『紅騎士』の名前を...」


ルフォードさんが更に深刻な顔で考え始めた。

そしてヴィンスを凝視する。

その後、何かに気付いたのか目を見開き「お前ウォーレン伯爵家の『ヴィンス』なのか!!?」と叫んだ。


「ヴィンス、言わなかったの?」

「ん?必要あったか?」

「ルフォードさん知りませんでしたか?ヴィンスは『伯爵家の暴れん坊』で有名ですよ?」


この暴れようとヴィンスと言う名前。

クリーム色の髪に褐色の肌。

これほど一致してると間違えないと思うけど。


「ずっと一人で居たし、名前が同じな他人の空似かと...」


確かに普通貴族は下町に一人で行かないし、ヴィンスは貴族らしくなからね。


「それじゃあ坊主...いや貴方様はもしかして...」


ルフォードさんの口調が変わって青ざめてしまった。

別にそんなに驚かなくても良いのに。

と、その前に早く報告書を書かないと。


「あの...急ぎじゃないから、明日書いても良い...のですよ?」

「いえ、明日は予定があって行けませんし。僕も手伝いたいんです。」



明日は大事な予定がある。


僕も王宮に行ける日だ。

 

ヴィンスは公国のクオーターなので、肌は褐色ですが髪はコンラートと同じです。

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