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24話 上位悪魔との戦い ②

すみません、また遅れました...

レンガの壁を簡単に壊せる爪の強度、そして鞭のように強く、そして速く振りかざす長い腕


当たればただ事ではないが右、左、と交互に振りかざす攻撃方だから簡単に見切れる。

大丈夫、ちゃんと避けられるし、受け流せる。


何度かの勝負でヴィンスが鉤爪の武器を使いに来た時はいつも両手左右、交互に攻撃を入れてた。それの方が効率が良いからだろう。


それに速さと言えばドルガーの方がよっぽど速い。

クルックスなんか相手にならないだろう。


一番厄介な呪魔法も、上位悪魔から目を逸らさなけば良いこと。


「よし、行ける」


悪魔は更に顔を歪め地面に手を付けた

今度は魔法。


地面を触れたときは結界...いや少し早く手を離した。違う魔法が来る。


地面を使う闇魔法...


「影術か!」


地面を蹴り飛ぶと同時に槍みたいな黒い影が下から抜き出る。

でも黒い影の槍は出た瞬間塵となった。


光の根源である太陽の下に居る今、闇魔法の効果は半減する。


相手は不利の状態、動きも大分読めてきた。


勝てる。


僕は身体強化と風魔法を使って一気距離を詰めた。

長い手足は間近に居る相手には爪も当てづらい。

闇魔法を発動させる前に剣を胸の核まで近づける。




「ゴホッ」


後ろから低い咳声と共に水が零れ落ちる音が聞こえた。

突然な事に一瞬意識が逸れて剣で核を貫けられなかった。


「おい!しっかりしろ」

「嘘だろ...目をそらしてねぇのに」


悪魔をまだ視界に入れられる程度に大回りして三人の現状を見た。


「どうして...」


三人の中の一人、吐血を繰り返してた。

あの記憶と同じだ...


そして視線を感じた。


3キロ範囲に緊急事態警告を放ったから人は居ないはず。

その範囲の外だと僕だって分からない。


誰なんだ...?どうして此処に...

だけど振り返ることは出来ない。

悪魔を逸らすと...いや、でもあの人は目をそらしてないのに呪いが...

他にも敵が居たのか?


混乱してる途中に一人もう一人と、呪いが進行し吐血を始めた。


駄目だ、早く治療しないと間に合わなくなる

早く悪魔を倒して、治療を...


もう一度悪魔に近付こうと地面を蹴ったら


「っ!」


身体の中から鈍い音が聞こえた。

その反動と共に血の味が口の中にした。

理解が追いついた時にはもう立てなくなってた。


*****


ぼやける視界、意識を保とうと堪えても座るのがやっとの状態。


頭上には悪魔が僕を見下してるだろう。

立場が逆になってしまった。


此処までの痛み、()の記憶から想定してたが耐えらるわけが無い。


痛みと苦闘してる間に上位悪魔はもう一度、闇の結界を張った。

今度は当然張り切るまでに逃げきれなかった。


そして僕の髪を掴んで悪魔と視線が遭うまで持ち上がった。

嘲る様に笑い声が結界中に響き渡る。





あっ、これは...積んだな






「僕は...まだ...何も...」


何も出来ないで終わっちゃうのか。


勇王の証の顕彰、家名の改善どころか

父様が暮れた課題も、何一つ終わってない...


そして何よりも...



王女様をまだ助けてない




嫌だ...こんな場所で終わりたくない

こんなで言い訳がない

諦めるな...前へ進め


コウシンしろ...!


そう内心で叫んだ時、自分でも驚くほど速く手を悪魔の目の前に向けられた。


光線(ライト)...」


無詠唱するの余裕が無くて威力は怠るけど振り払うことは出来た。

吐血はまだ止まらない...

ガタつく足も叩いて気合で立ち上がらせる。


握ってた剣を向けたが怒り狂った悪魔が握ってた方の腕を爪で貫いた。

良いのか悪いのか貫かれた痛みの感覚はもう無かった。


風刃(ウィンド)


もう片方の手で風魔法、悪魔の刺された腕ごと切る。

また振り払われたけど諦めない。


どうやって勝てるかはもう分からない。

だけど幾らでも、最後まで抗って見せる...


もう一度振り払われた際、肩に下げてた鞄が開いた。

警備事務所に届けようとずっと身に着けてた鞄の落とし物。


その中から光が差した

首飾りみたいなもの、それに付いてる宝石は


「...!」


人工的に魔力を付与した石

付与魔石...しかも黄色い、光属性だ!


もう考えるな、動ける間に行動に起こせ


腕にぶらがった悪魔の腕。

今は余裕が無い。そのままにする、

後ろに下がるわけにはいかない


悪魔が再度僕に向い、僕の腹部を残ったもう片方の腕で刺した。


でもそんな事も関係ない。


片方しか無い腕は今僕の腹部に刺さってる。

これは丸腰当然。


付与魔石を手に、丸腰の核へと、力をこめて、残った魔力全てを使って強化して



殴った



その反動で付与魔石は太陽より眩しい光は悪魔だけではなく僕まで包み込んだ。


そして悪魔は塵となり核しか残らなかった


「...勝った...」


*****


「いち、にー、さん...今回は四人ですかね...クフッ」



コンラートが上位悪魔を倒す、数刻前。緊急事態宣言が出され殆どの者が避難の為移動してる中、奇怪に微笑むフードを深く被った人間が一人、魔物の出現により入場禁止となった区域の屋上で悠長に観察していた。



「中年男性三人に少年が一人...クフフッ、では次のターゲットは......おや?おやおやおや?」


次の策略を練ってる最中、上位悪魔に立ち向かう少年の姿に物珍しそうに注意を移した。

その後ろに立ってる中年男性三人ではなく少年が戦ってる現状に。


「少年に戦わせるなんて大の大人としてどうなんでしょうね...クフフ」


それもそのはず。上位悪魔は一般の成人男性が相手をしても歯が立つ訳もない。

冒険者業界の魔物登録書に依よると奴らの戦闘力、だけでもBランク、知能と策略を加えるとAランクに相当する。


そんな脅威を相手にする少年の方が異常だ。


「おやや?随分と持ちこたえてますね...」


少年が相手に出来るなんて誰が思っただろうか。

これは奴だけでなく、同じく巻き込まれた三人の男性も驚きを隠せないでいる。


もしかしたら助かるかもしれない。

『黒扇の帳』の無慚からも逃れるかもしれないと。


「ふむ、このままだと警備隊...だけでなく、冒険者まで来ますね...いけませんね、これじゃあ計画が台無しになりかねません。」


だがそれも計画内の話。

幾らでも対処できる。


「舞台は完璧であらんといけません」


最後は物理で勝たせるつもり書いてなかったけど何故こうなった

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