22話 上位悪魔と君の記憶
残酷な描写が含まれています。
上位悪魔
魔王軍最高幹部、序列三位:「迷宮姫」の直属の配下。
奴らは戦闘力だけではなく知能も高く、策略に優れている。
魔物を率行く習性を持ちその指揮力は、魔物の集団の中に有無次第で戦略が大きく変わる。
だが一番の脅威はその策略の知能ではなく、
その目に組み込まれてる闇魔法の分岐魔法、呪魔法だ。
その呪魔法は目が合うと発動する仕組みで、上位の光魔法でしか解けない。
「上位悪魔と遭遇したら絶対に目を合すな」
これはオスカー叔父様が稽古をつけてくれる前、一番最初に教えてくれたことだった。
*****
上位悪魔の呪魔法に掛かったらどうなるか、それは僕ではなく僕がよく知っていた。
蘇る記憶、これは僕の記憶だった。
目の前にいる上位悪魔に恐怖し、腰を抜かした僕が血の様に真っ赤な瞳に目を合わせたしまった瞬間色が黒と変わる。
呪魔法が発動した証拠。そして発動の確認した悪魔の笑みは恐ろしかった。
僕は悪魔から逃げようと目を離すと体内が壊された痛みに吐血を繰り返す。
普通はありえない程の量で、一般人が耐えられる量ではなかった。
痛みと吐血で動けなくなった身体は少しづつ深い闇の結界に囲まれ、結界が僕を覆いかぶさった時、
悪魔は僕を弄んだ。
腕を契り、足を契り、苦痛で叫ぶ僕を覆いかぶさる高音の笑い声が鳴り響き続けた。
痛みに痛んで、苦しんで終わった僕の最期の記憶を...
*****
「ごめん...ね...目を合わせちゃった...」
震えで歯をカタカタ鳴らしながらも伝える僕
上位悪魔と目を合わせてしまった為、目の色が真っ黒に変わったと同時に、胸にに突き刺された感覚があった。
呪魔法の発動だ。
「また...また同じ目に...」
止まらない涙、青ざめて震える身体。僕は何度も同じ記憶を繰り返してた。
大丈夫、大丈夫だよ。
僕があの広間に行って何らかの理由で悪魔を召喚させることになってしまった。
これは僕のせいで君のせいじゃないよ。
怯える必要はない。僕の為に此処まで逃げてくれて、教えてくれて、
情報を共通してくれてありがとう。
「...」
...怖かったよね。一人で大変だったよね。
また同じ目に遭いたくないよね。
だから、後は僕に任せて。
僕なら大丈夫だよ。
「...分かった...負けないでね、コンラート君」
それも大丈夫、まだやらないといけない事が沢山あるし、負けるつもりは無いから。
「...やっぱり、偉いね。」
それを最後に身体の自由が戻った。
自分で呼吸を出来て、動くことができる。
今の状況、戦うことしか選択肢は無い。
僕は呼吸を整えた。
「ケレンが来なくて本当に良かった。」
魔物、上位種との初めての戦いだ。
やっぱり短くてキリが悪いので、活動報告通り明日もう一話投稿します。




