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2話 呼び出し

夢から覚めると、いつもの見慣れた高すぎる天井が目に入った。


「乙女ゲームって何だ?ラノベ...?」


ゲームってチェスとかでよく使う単語だったはず。

うーむ、

でもその前に乙女とか言ってたしどういうことなんだ?乙女は女子...

その後にゲーム。

女の子が遊ぶチェスかな?


そしてラノベ。

これは全く分からない。

聞いたこともない。

どこかの異国の食べ物か何かかな?


「ラート坊ちゃま、お目覚めになられましたか?」


考え事をしてたら扉がノックした後、ゆっくりと開いた。

執事のセバスチャンだ。

いつもなら父様と事務室で資料と睨めっこしてるのに、珍しい。

セビーは「おはようございます」と深々とお辞儀をした後部屋の中へ入ってきた


「あぁ、セビーおはよう。この時間にここに居るなんて珍しいね。ケレンは?」

「ケレンは只今坊っちゃまの身支度の準備を整えております。後ほど来るでしょう。旦那様からの言伝で事務室へ赴くように申しております。そして奥様も今朝は朝食をご一緒されると」


口数少ない父様からの呼び出し、これもまた珍しい


「分かった、支度が終わったら直ぐに行くと父様に伝えといて。そして母様には無理はしないようにと」


今が1番大切な時期だってケレンも言ってたし、母様には無理だけはしないで欲しい。


「かしこまりました坊っちゃま、では私はこれで。」


セビーはお辞儀をすると僕の寝室から出て、それと入れ替わるようにケレンが入って来た。


「さてラート坊ちゃん、今日もかっこよくしましょうかね。」

「ふふっ、分かったよケレン。」


僕はベッドから降りて身支度を始めた。

ボタンが上手く留められないからいつもの様にケレンに頼んだら

「ラート坊ちゃんはまだまだ愛らしいお子様ですね」と笑う

失礼な、僕はもう8歳になるのに...


「今日もまた変な夢を見たんだ。」

「まあ、今回はどんな夢でございましょうか?」

「えーと、女の子たちがチェスで遊んでた夢なんだ、それで変わった異国の食べ物を...あれっ?なんだっけ?」


思い出せないな...ついさっきまではっきり覚えてたと思ったのに


「前日は野菜の王様が金髪になって水晶を集めたら願いが叶ったなどと言ってましたね。」

「あれっ?昨日はそんな感じの夢だったけ?」


もっと違う夢の気がしたけど。

確か緑の魔物が龍を召喚して...違うな...?


「夢と言うものは曖昧な物です。全て覚えてる方が稀なもんですよ。」

「そういうもんかな?」

「そういうもんなんです。」


*****


使用人たちに挨拶しながらケレンと一緒に父様の居る事務室へと向かった


「父様、今日は何の呼び出しだろう?」

「旦那様が直接来れば良いですのにもうっ」


父はぶっきらぼうだとよくケレンが言う。

中々感情を表に出さないというか、

口数が少なく、口に出るものは全て短く、用件しか言わない。

仕事をこなせるけど、他人に教えるのは下手で、

表情が変ることは滅多にないから何を考えてるのか読むのもかなり難しい。

それが父だ。


「カトリーヌ奥様くらいしか旦那様の思考を理解できません。」

「そう言うケレンも大体の事は合ってたよ?前の時みたいに」

「奥様には敵いませんよ。二十年以上ここで働かせていただいてますが未だに旦那様の事をはっきり理解出来ません。今回のご用件はそうですね...坊っちゃまはもうすぐ8歳になりますのでお仕事の関係ですかね?そろそろ何方を選ぶか聞かれると思いますよ。」

「あぁ、爵位か騎士団の事か。」

「ラート坊ちゃんは何方も才能があります。何方を選んでもきっと成功して直ぐに『勇王の証』を受け取れますよ!このケレンが保証します!」

「そんな、大げさだよ『勇王の証』なんて滅多にお目にかかれない者だよ。」


『勇王の証』は年に一度、その期間で最も功績を残した者に与えられるとても永栄ある勲章 


軍事功績が主な『勇気の勲章』

経済功績が主な『叡智の勲章』を其々1人づつに渡される。


この勲章は貴族だけじゃなく平民など、誰にでも手に入れらるチャンスがあるから競争が激しい

平民には爵位か莫大な報酬を、

貴族には絶大な権力を、

このルフィール聖王国を建国した始祖様たちが国の発展の為創案した歴史深い由緒正しき行事。

現在の第二王妃様も叡智の勲章を手に入れて、子爵家令嬢から王妃まで上り詰めたのだ。

実家は伯爵に位上がり、絶大な支援を持っている


「王妃様みたいに率先して成し遂げたい事があるわけでもないからなぁ〜」


憧れはあるけどあまり目立つのは好きじゃない。

僕は普通に過ごせばいいかなと思う


*****


「父様、コンラートです。」

「あぁ、入れ。」

「失礼します。」


父様の机の上にある紙の山を筆記用具で書類を流暢に

書いては置き、書いては置きを何度も続けてる。

やっぱり忙しそうにだからあまり邪魔にならない様部屋の端で待ってようかな?

移動しようとしたら父様は書類から目を離さず話を始めた


「お前も明日王宮に来てもらう。」

「王宮にですか?」

「そうだ」


王宮には一度だけ正妃様のお茶会で行ったことあるけどそれだけだ。

それは王太子様が友達を作る為に開いたお茶会で招待客は沢山居た

でも明日はなんの特別の日でもないのに何で行くんだろう?


「どうして王宮へ?」

「仕事がある」

「仕事ですか。」


王宮には父様専用の執務室があるらしいけど行ったことはまだない

仕事に何故僕も?


「僕も何か手伝うのですか?」

「いや、何もしなくていい。」

「???」

「それだけだ。」

「はぁ、それでは失礼します。お仕事頑張って下さい。」

「あぁ」


何もしなくていい、記念日とかでもない。

仕事だから父様は王宮に行くとしてどうして僕も?

父様、もっと説明を...でも今は忙しそうだからまた今度時間が空いた時聞いてみよう。


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