表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/42

14話 変わった日常と二つの課題

ヴィンスの母は厳しくてどこか近寄りがたい雰囲気を出す人だ。


でも人を見限ったりはしなかった。

親がどうとか関係なくその人自身を見る。

だから親が罪を犯してもその子を軽蔑しない。


僕も無粋な父様と比べられる事はなかった。


だから姉妹の王妃様もきっとそうだと思った。


そして理不尽に虐められる王女殿下を少しでも助けて貰えるかと、


僕は第二王妃様にそう簡単に会うことは出来ないから、よくお茶会に誘われるヴィンスに意図的に伝えてみた。最近ずっと勉強ばかりで鍛錬後に遊ぶ事も減ってしまったから不機嫌になるのは目に見える。ヴィンスにあまり構わないで違うことに熱中、例えば王女殿下の事をずっと話し続けば、必ず一番最初に会う人に愚痴る。第二王妃様のお茶会へ行く途中だったから本当に丁度いいところに来た。


それにある意味あの地獄の猛勉強も無駄にはならなかった。


結果はヴィンスに会わないとまだ分からないけど。

訓練場に居るし、朝食を終えたら直ぐにでも聞いてみよう...と心がけてたらセビーが部屋に入ってきた


「セビーどうしたの?部屋に来るの珍しいね。」

「はい、旦那様が時間が出来た時に来いとの言伝です。」


父様の呼び出し...珍しい。

王宮へ初めて行った時以来だ。


「分かった。直ぐ行くよ」

「いえ、それほど急がなくてもよろしいのですよ?」

「忙し父様の邪魔をあまりしたくないんだ」

「旦那様は邪魔なんて思うわけありません...せめて、朝食後に...」

「そう?」


セビーも困った表情をしてる。僕、それ程困ることを言ったっけ?


「じゃあ、分かった。」


セビーも忙しいから困らせたくなかったのに。

それに申し出を断らなかったのに、

どうして申し訳なさそうな顔をするんだろう?


「...坊ちゃまはとてもご立派です。」

「...?ありがとう?」


セビーが退室して随分待ってもケレンは来なかった。


「寝坊かな?きっと双子の育児で大変なんだろうな。」


二人は元気に育ってる。だからケレンも僕じゃなくて幼い二人の面倒をもっと見たほうがいいと思う。


僕は練習も兼ねて、自分で身支度を始めた。

よし、今日はちゃんとシャツのボタンを留められた。


「今日は全部一人で出来たな。」


小さな達成感と共に食堂まで歩いた。

いつもならケレンと喋りながら歩いて行った廊下だけど今回は一人だから静かで少し心細い感じがする。


朝食、やっぱり今日も一人か...

母様も同じように育児で疲れてるんだろうな。


広い部屋に僕一人。

いつも一人で食べてるから慣れてはいるけど...

やっぱり何処か寂しい。


昼食はヴィンスや叔父様たちと取るから楽しいけど、朝食、そしてたまに晩御飯は...

ううん...考えすぎるのは良くない、早く済ませよう。

ご飯を食べたら父様にも会えるし。


朝食を食べ終わったころ、扉付近で荒い足音が鳴り響いた。

そして勢いよく開いた扉の先で寝巻のまま現れた乳母の姿だった。

ケレン...そんなに焦らなくても良かったのに...


「ケレン大丈夫?息が上がってるよ?」

「も、もう、申し訳、ございま、せん。ね、、寝坊し、しました。」

「僕なら大丈夫だよ。ほら、一人で身支度できるようになったし」


近くで見ると目の下にクマが見える。

あまり眠れてないんだろうな。

その辛さ、分かるよ、ウン


「ケレンは今度からもっとカーネリアとカーティスの面倒を見なよ。」

「でも...」

「ほらほら、もうちょっと休んで。」


僕はケレンの背中を押して休むように催促し、僕は父様の事務室へ踵を返した。


*****


「父様、コンラートです。」


僕は扉をノックするとセビー開けてくれた。

ちゃんと朝食取ったよと報告すると苦笑してた。

何かおかしいこと言ったのかな?


「ラートか、丁度いい。聞きたいことがある。」

「はい、何でしょう?」

「叡智の勲章を目指しているのは本当か?」


双子が産まれた時皆に言ったこと、覚えててくれたんだ。


「はい、叡智と勇気、両方目指します!」


父様は「そうか」と一言溢すと、大きく束になった書類を二つ暮れた。


「領主になるお前も、そろそろ領主経営の手伝いをしてもらう。これはお前の課題だ。」


父様が暮れた二つの課題。


治安改善と疫病対策 


「国王陛下は民を人一倍慕うお方だ。もし叡智の勲章を狙うなら民に関する功績を残せば良い。ラート、お前にこの課題を任せる。出来るか?」

「っ!!はいっ!!」



*****



父様が暮れた二つの課題。


何か必要な物があればセビーか執事見習いのネイトに聞けばいいって言ってくれた。


治安改善と疫病対策、

両方とも民と大きく影響がある、これなら国王陛下の目にも止まりやすいだろう。


流石父様、コミュ力は全くないが仕事は出来る漢だ!


「...ん?この言葉何処で覚えたんだ?」


どうせ夢と関係するんだろう、これは考え過ぎない方が良い。

考えてもどうにもならないことだからなぁ。


と、この課題も午前の訓練後に図書室でじっくり読もう。今は王女殿下と第二王妃様の方がきになるから。


今はヴィンスだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ