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11話 発明家と鑑定制度

少々、遅れてしまってすみません;;

三ヶ月が経った。

長かったのか短かったのか正直よく分からない。ただあの授業の量は大変だった。地獄絵図と言ってもいいかもしれないくらい勉強したし寝ない日の方が多かったような気がする。


『たっだいまー!』

「おう、どうだったか?結構長い間そっちに行ってたよな。」

『もう最高だったよ。溜まってたゲームちゃんたちをフルコンプしてきたわ。』


でもそのお陰で論文も少しなら読めるようになった。自分で書くのはまだ難しいかな?


『そうそう、君もカヤちゃんも大分遅れてたよ。太陽と月の後にもう一作品、剣と盾が発売されてたよ。それに来年になると金剛石と真珠のリメイクが出るんだって。』

「マジか!?」

『マジマジ、でもリメイクの質が良くないとかでSNSが荒れてたってよ』


論文を書くのも、内容も叡智の勲章を顕彰される程のレベルに達しないと意味がない。


『超話題になってた映画も見たんだけど、その前のアニメを見てなかったから内容よく分からなかったし、すんごいネタバレ食らったよ。まあ、それでも10回くらい泣いたんだけどね。知ってる?鬼狩りの話?』

「うーん、何年も帰ってないから聞いたことないな。」

『確かに、君が此処に来た後に連載されてたからね。凄いよ、漫画一気読みして170回くらい泣いたよ私。』


今まで顕彰されてきた人たちの書いてきた論文は本当に難しい事ばかりだった。


『そう言えば『彼』は?』

「ん?あー、なんかずっと考え事してるぜ。」


さっきからうるさいな...集中したいのに。


『あーごめんごめん、でもその歳で論文を書こうとしてるの凄いね。授業の難易度も随分と高そうだったし。』

「おう、もう高等部の基礎科目は終わってるぜ」

『いやいやいや、いくらなんでも早すぎない?私がこの歳だった頃は九九が全然覚えられなくて泣いてたよ?あんた私がいない間に何言ったのよ』

「いや、俺はただ提案しただけだ。それとお前も泣きすぎだ。」

『いいじゃん別に泣いたって!私の涙腺は脆いの!』


あー...もう、静かにして...


*****


「今日の夢は鬼狩りの剣士が真珠と金剛石で出来た盾を持って鬼と一緒に九九の段を歌って泣いてた...」


やっぱり良くわからないな、


「何か言いました?」

「いえ、何でもないです」


エドワード先生の授業も全て終わって、書斎の引きこもり人が二人になった。午後の時間が空いたから僕たち二人はずっと書物を読み漁るのがもう日課だ。


「論文の内容、何がいいんだ?」


そこで既に息詰まってる。折角一生懸命勉強したのに何も成果が無いと気落ちするな...


「コンラート様、別に論文を書かなくても叡智の勲章を手に入れられますよ?顕彰者は国王陛下が最終的に決めることですので陛下に気に入れれることが出来たらそれでいいのですよ。必要なのは功績だけです、功績。」

「...それを先に言ってくださいよ」


一体あの地獄の三ヶ月は何だったんだ?時間は有限なのに早速無駄にしたのか僕は?


「いやいや、でもこれで私は研究に集中できますから感謝してるんですよ?」


それは先生の利益で僕は何も出来てないんだよ?


「論文を書かないで勇王の証を...どんな人が顕彰されたんですか?」

「そうですね、何人かいますけど馴染み深い人と言えばコンラート様が大好きなジドウシャを発明したお方...シン・ランディー様ですかね。彼は幾度もなく誰も考えつくことが出来なかった作品を数多く発明した人です。正に人智を超えた唯一無二の逸材でしたね。」


あの全てを下に見る先生が褒めるなんて、


「先生が人を褒め称えるなんて珍しいですね。」

「それはそうですよ。彼は多くの名作を残しただけではなく鑑定制度も徹底的に潰したお方です。私の研究も彼の唯一完成に至らなかった作品を復元しる事ですし」


そう言えば先生は何を研究してるのか一度も聞いた事がないな。先生に何の研究か聞くと「そういえば、言ってませんでしたね」と思い出すように言って、手に持ってた本を見せた。


戦闘魔導人形(ゴーレム)の作成です」


*****


先生との会話が気になって部屋に戻っても、もう少し調べてみた。


鑑定制度:


現国王から3代前の時期にその制度は廃止された。その主な理由は、人の才能を伸ばすことが出来ず、上下の亀裂が増してしまったことだ。


才能は鑑定制度があった時代ではスキルと呼ばれる。鑑定され、役に立つスキルを持つか持たないかで、扱い、ましては人生が変わる。


鑑定結果で人生の全てが決まってしまう、心証が悪い制度だ。


スキルは自分を磨けば増やす事ができるのにその前に鑑定され、人生の道が決まる人が多いから増やしても意味がないと考える者が多かった。結果的にスキルを生み出すことも伸ばすことも出来なかった者が続出し、その制度を廃止するに至った。


しかし鑑定制度を密かに実行してた貴族は多くいた。それを徹底的に潰す引き金になったのが発明家、シン・ランディーだ。


シン・ランディー:


彼は優秀な魔術師を排出する名門貴族の子息として産まれたが鑑定された時、魔法の才能が無いと結果が出て14の時、家を追い出された。


しかし彼は彼の境遇を受け止めきれずにいて、家族とよりを取り戻す為、数多くの発明品を作れば民の為に役立て、経済を裏で回してた。ジドウシャを発明した年に叡智の勲章を顕彰されたが実家が鑑定制度を実行されてたのが明るみに出て、家は没落。それを恐れた他の貴族たちも鑑定制度を本格的に廃止した。


シンは名前をランバックからランディーに変え、多くの者から支持されたと。


「ん?ランバック?」


ランバックって確かエドワード先生の家名だったはず。先生も何か関係してるとは意外だ。もっと調べる為図書室へ行こうとしたらケレンがドアの前に立ち塞いでた。


「駄目です。」

「え、どうして?」

「忘れてたのですか?もうすぐですよ」


そうだった、僕はお兄ちゃんになるんだ。


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