高校③
高校3年生=受験生というのが通っていた高校です。
400人程度いる中で就職したのは1人。専門学校への進学は10人もいませんでした。
私も一応受験生になってみようとは思ったのですが、2年間なんの努力もしなかった人が急にうまくいくほど受験は甘くありません。
どこの模試を受けても結果は最悪でした。
あっという間に冬がきて、そんな最悪な状況でセンター試験も、私立も受けてはみましたが、当然結果は全て不合格。
その結果が来た日に父が言いました。
「おまえはどうしようもないやつだ。もうなにも期待しないからハローワークに行け」と。
どこにも合格できなかったのは全て私のせいでしょう。
でも私がそこまでどうにもならなくなったのは、全て私のせいなのでしょうか?
頑張ってこなかったとはいえ、私は何も辛くないと思っているのでしょうか?
1番辛いのは誰でしょうか?
どんな時になっても微塵も私のことは考えてくれないんだと改めて感じました。
そんな時一階から「なっちゃーん、なっちゃーん」
と声が聞こえました。
当時私の家族は二階に、祖母が一階に住んでいました。生活空間が別れており、足が悪いこともあったため二階にはほとんど来ない祖母が、階段をゆっくりゆっくり這うように登りながら私を呼んでいたのです。
両親が共働きだったため、小さい頃は祖母に育ててもらったようなものでしたが、私が荒れてしまってから自然と祖母とも関わらなくなっていました。
そんな祖母が急に私になんの用かと思いましたが、とりあえず自分の部屋に入ってもらいました。
「なっちゃん。お父さんはあんなこと言ってるけどね、本当はもう一回頑張ってほしいんだよ。もしね、がんばる気持ちがあるなら、おばあちゃんが予備校のお金出してあげるから。お父さんにも頑張りたいなら頑張りたいと説明しなさい。おばあちゃんはなっちゃんのこと信じてるよ。」
と祖母は言いました。
私は高校に入ってからずっとこんな言葉が欲しかったのだと、今までの気持ちが波のように押し寄せて、いつの間にか涙を流していました。
私はそのまま父の所まで行き、「浪人させてください。」と伝えました。