被虐のアドラメルク
焼き尽くされた街は遂に全て灰になってしまった。
「俺は必ず、あいつを殺す…」
俺イグゼル=ヴァルトベルクは10年前、魔王グーゼンベルクによって里を壊滅された。
(裏切り者…)
(お前さ居なければ……)
……いや俺は、自分の手でこの街を火の海にしたのだ。
必ずグーゼンベルクを探し出して、この手で殺してやる。
しかし…俺の手持ちはおんぼろの剣と多少の金しかない。
そのため俺は今、西のエンシャル王国にいる。
「はぁ……はぁ……」
王国に着くなり、白髪の女がこっちに走って来ている。
「そこの方!この人達から私を逃がして!」
王国に着くなりこの始末だ、ついてない。
俺が助ける義務は無い。
「追い詰めたぞ!捕らえ……」
イグゼルは無意識におんぼろの剣を抜き、兵士の元に飛び込んだ。
「炎の精霊よ……我が真なる力を宿せ」
剣に炎をまとい、髪が赤くなる。
「炎剣術、#蓮炎__レンエン__# 」
兵士に向けて炎の剣で風の如く凪ばらう。
「ぐはっ……お…お前は西端の国をたった1人で炎の海にした」
「鬼神のアドラメルク」
アドラメルク?何か分からないが、さっきの技で剣が折れてしまった。
「立ち去れ。この女に用がある」
「く…くそ。とりあえず王に報告を!」
兵士達は去っていった。ところで……
「あ…ありがとうございます!」
「お前、名前は?」
「私はここの王妃、エレナ=エンシャルと申します」
王妃がなぜ王国から逃げ出さないと行けなかったのかは分からないが…
「俺はもう行く。早く逃げろよ」
イグゼルが立ち去ろうとした時、エレナが声をかけた。
「まって!私も連れて行って!」
「はあ!?」
意味が分からないがこうして、謎の王妃が仲間になった。
第2話 「魔女の子」