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6.瀬奈の悶々。







「うぅ……言っちゃった。ずっと、隠してたのに」



 一方その頃、瀬奈は自室でベッドに仰向けになって転がっていた。

 膝に負担をかけないために、患部は固定した上で安静に。それでも彼女はいま、のたうち回りたいほどに悶々としていた。クッションやら枕やらを抱きしめては離し、また抱きしめては顔を埋める。それの繰り返しをしているが、一向に頬の火照りは冷めてくれなかった。

 それもそのはず。

 瀬奈にとってはいままで、ずっと内緒にしていた事実を打ち明けたのだ。



「ほとんど、告白じゃん。あんなの……!」



 拓哉と同じ高校に行きたかったから、強豪校からのスカウトを断った。

 それはすなわち、自分にとっては彼が最優先だ、と。そのように宣言しているに違いなかった。少なくとも瀬奈はそう考えていたし、鈍感な幼馴染みもさすがに察したと思っている。

 だからこそ、先ほどから胸の鼓動が鳴りやまなかった。

 トクン、トクンと早鐘のように脈打ちながら、スマホを確認しては仕舞う。いま彼に連絡したら、どのような反応が返ってくるだろうか。


 そんなことを考えているうちに、時間は過ぎて行ってしまった。

 いつの間にか時計の針は夜九時を示しており、いまからというのは幼馴染みながらに気が引けてしまう。そう考えて、ようやく瀬奈は一つ深呼吸をして――。



「き、切り替えよう! アタシらしくないぞ! うん!!」



 そのように、自分に言い聞かせた。

 そしてスマホを仕舞って、シャワーを浴びようと身を起こし――。



「――ぴゃあ!?」



 まさに、その時だった。

 彼女のスマホに着信があり、そこに『たっくん』と名前が表示されたのは。



「え、う……うわ、あわ……これ、出た方が良いよね?」



 それに狼狽えた瀬奈は、誰にともなくそう訊ねていた。

 しかし、何もしなければ機会が失われるかもしれないのだ。彼女は意を決してその通話に対し、応答する、の表示をタップする。

 するとスマホ越しに、彼の声が聞こえた。



『あ、瀬奈? 今日はありがとな!』

「う……ううん! そんな、たいしたこと言ってないよ!」

『そんなことないだろ。おかげで、色々と切り替えられたからさ』

「そ、そうかな。え、えへへ……」



 さて、ここからどうしよう。

 そう考えていると、先にあの件について話題を出したのは拓哉だった。



『それにしても、瀬奈が高校選びであんな決め方してたなんてな。少しびっくりした』

「う…………うん、そ……そうかな?」

『そりゃ、ビックリするだろ。でも――』

「……でも?」



 息を呑む瀬奈。

 彼は、いったい何を言うのか。

 それを待ち構えて、数秒ほどの間があった後に――。



『そのおかげで、絵麻も楽しそうだからな! 嬉しいよ!!』

「……………………」




 瀬奈は、沈黙せざるを得なかった。

 そして『アレ』で緊張していたのは、自分だけと悟る。



「……もちろん、絵麻ちゃんも大切な友達だもん!」

『あぁ、絶対に三人で柊大学、行こうな!』

「うん……!」

「それじゃ! おやすみ!」



 ――プツ、ツーツー。

 通話が切れた。


 瀬奈はゆっくりと息を吐き出し、近所迷惑を考えずに叫ぶのだった。





「たっくんの、馬鹿ああああああああああああああああああああ!!」――と。





 


拓哉、良い奴なのに、どうして……_(:3 」∠)_



面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




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