どうなってるの⁉️
「頭を強打した影響による記憶の混濁でしょうが、一時的な物と思われます。少し休ませれば善くなるでしょう。」
医者が残した言葉に父が頷きお礼を言って見送った後、
「お前も少し休みなさい。一昨日から付きっきりじゃないか。お前まで倒れたはいけない。」
侍女に声を掛けるが、
「ありがとうございます。ですが、私はもう少しお嬢様のお側におります。」
断りをいれられると、頭を緩く振り、
「此処は私が付いているから休みなさい。また朝になったら交代しようじゃないか。」
有無を言わせず部屋から追い出した。
「メグ?大丈夫か?お父様が側にいるから安心して眠りなさい。」
髪を鋤くように撫でて寝かしつける父に、
「お父様…私はどうしたの?」
泣きすぎて掠れた声で尋ねる。
「一昨日の公爵家でのお茶会は覚えているかな?」
少し考え頷く。
「…はい。お母様と一緒にお伺いしました。」
父はゆっくりと息を吐き出し、
「帰りの馬車で事故に遭い、頭を強くぶつけてしまったんだよ。」
父の方が泣きそうな顔で応えた。
それで頭がぐわんぐわんと痛かったんだ…と納得しかけて、
ん?
鏡では包帯のような物は巻かれて居なかったし顔にも目立つ傷はなかったような?
「でも、傷はありません。」
私が不思議そうにするので、
「お母様がお前を守ってくださったのだよ。」
父が泣くのを堪えるように眉間に皺を寄せた。
「お母様が‼️」
びっくりして起き上がろとする私を制してベッドに戻し、
「お母様は大丈夫だ。全身打撲で横になって休んでいるが問題ないよ。」
私の手を握った。
「メグ…今はゆっくり休むんだ。出してだよ心配要らない。何があってもお父様がお前を守るからな。」
前の私も小さい頃はよく父親に言われていたなあ…
ぼんやり思い出しながら手のひらの暖かな温もりを意識すると穏やかな眠りが誘ってくる。