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第3話 出勤二日目と健診予約

今日 出勤二日目。10時開店なので 出勤前に ひととおり 朝の家事ができる。ありがたい。

今日は可燃ごみの日。いつもの時間にごみ集積所へ持って行く。

そしていつもの顔ぶれに入れ代わり立ち代わり出合い おはようございますと挨拶する。だいたい同じ顔ぶれ。2~3回に1度くらいしか合わない人もいる。

ごみ集積所への往復が終わると 家の中に入る前に 日課の 花壇や鉢植えに水やり。夏の花もそろそろ終わり。あと1ヶ月もすれば秋冬の花達が店頭に並ぶ。花大好き。お隣の朝顔も花が落ちて種がたくさんできてる。こぼれ種が また来年 朝顔の花を咲かすんだろうなぁ。

この水やり中 仲良しのママが出勤のため車でウチの前を通る。

小泉さん、通称いずみん。

ごみ出し日のいつもの日常。

「おはよう」元気な明るい声。

いずみんとは家を気軽に行き来する。家を購入するまで同じ賃貸マンションのお隣さんだった。もう十数年の付き合い。この一家が家を買うことになって じゃウチも って感じで同じ新興住宅地で家を購入。もともと家が欲しかった。転勤族なので迷いはあったけど パンフレット見せてもらったり その建築会社の建てた家を見て回ったりしてるうちに いつのまにか 迷いは吹っ切れていた。

「昨日から仕事行ってるの~?」と聞かれ

「うん 今日も行く」と こたえた。

「がんばってね~」

「ありがとう」

「あっ 今日夕方 家に居る?健診の予約時期じゃない?」

そうだった。毎年この時期 人間ドックの予約をする。

「夕方 また話そ。気をつけてね」

「ありがとう じゃあね~」と 言うや否や 車を発車、行ってしまった。いつも元気だ。


花の水やりも終えて ちょうど 今朝の洗濯 第3段が終わる合図のメロディーが家の中から聴こえてきた。

これを干して仕事行く準備しなくちゃ。


10時 15分ほど前 クリーニング店に到着。岬さんもほぼ同時に着いた。挨拶する。

岬さんとは 顔見知り。 前の賃貸マンションに住んでた頃 お向かいのマンションに岬さんが住んでた。水樹さんも含め生協仲間。今はもう転勤や家を建てたりで 生協仲間は散らばってしまってウチも引っ越しを機にやめました。

とはいえ 岬さんはワタシより何歳か歳上、子どもさんも ウチの子より いくつも上で もう大人。お友だち とは いえない。

開店準備始め。

岬さんが「わたし 掃除するし 昨日教えてもらった仕事 やってみて」とやさしく言ってくれた。

「ん?」 仕事の流れを わかってなかった。

戸惑うワタシを見て 一連の流れを教えてくれた。

ひととおり 終わって メモ。

まずは 荷物出し。お店が狭いので配送車に渡す大きな荷物を先に出しておく。バタバタが軽減される。昨日の売上の書類をディスカウントスーパーの事務所へ持って行く。金庫からレジに移すお釣り銭を出し 数える。金額合ってる。カウンターを整える。忘れがちなのは固定電話の留守電解除。固定電話、不便なところに置いてある。デスクの下。お客さまからは めったに かかってこないらしいが 本社から かかってくるそう。留守電に切り替わってしまうと怒られるらしい。小さなことだが これはかなり気をつけないと。

メモしながら 留守電解除に赤丸をつける。

本社に電話するとき けっこうしゃがまないといけない。これ なんとかならないのかな。お店が狭いから しかたないのもしれない。

あっ ディスカウントスーパーとの境にかかってる白い網と長細いシルバーのSフック これが一番最初だ。メモ書き直した。

岬さんが「今が閑散期でよかったね。繁忙期に入ってたら大変だったよ。仕事覚えるにはちょうどいい時期」と話かけてくれた。

「それとこの仕事 きれいな仕事に見えるかもしれないけど けっこう汚いことあるよ」と教えてくれた。

薄々感じてたけど 確かにそうかもしれない。

水樹さんと岬さん 仲がいいけどタイプが全然違う。

配送車が来た。昨日木曜は本社や工場が休みで今日は荷物が少ない。ホッとした

今日は 金曜日 ブラウス 100円引きの日。1週間 日ごとに 値引き割り引きが違う。

ブラウスの安い日だけれども 出勤二日目 二人目のお客さま スーツ上下を持ってこられた。今日は定価だ。

会員カードを受け取り レジにスライドして通し すぐお返し。レジにフルネームが出てくるので お客さまに確認する。ディスカウントスーパーのポイントカードもお預かり…と思いきやポイントカードとiDがひとつになってるカード。スライドする機械とiDカード用とまた違う。カウンターのところにある機械にお客さまがもう乗せてる。iD支払い。岬さんがフォローしてくれる。表示も見てくれた。レジも操作が変わってくる。焦る。レジ終わって 預かり票の控えとレシートを渡す。

「ありがとうございました。」無事終わって安堵。

と思いきや あーーっっ iDカード 返すの忘れてるっ。

すぐさま 追いかけた。追いつけた。すみませんでしたと一礼した。

お店に戻ると 息があがってた。岬さんにも謝る。ヘコむ~。

頭を切り替えよう…。

岬さんが タグつけにとりかかってくれていた。

「すみませーん」と言いながら 外に行ける入り口ドアから入る。

あれ?今頃だけど違和感がわいた。ディスカウントスーパーとの境にあるカウンター これ固定されてる。まさか ディスカウントスーパー側に行く時は こっちの 外に行く側のドアから出て スーパー正面の自動ドアから入るの?今みたいにお客さま追いかけるときや スーパー側に物を落としたときは めちゃくちゃ遠回り。ここの固定電話にしてもカウンターにしても不便。

あっ 心の声が出てなくてよかった。

「スーツのタグつけ昨日やった?」と岬さんに聞かれた。

「昨日はYシャツとズボンのタグつけをしました。」と話した。

「ズボンにつけるタグは逆さまなんですね。」とつけ加えたら 「逆さま?」と岬さんが首をかしげた。

岬さんが カウンターにズボンの正面を上にして置き 足のつけ根あたりから折り返し ベルト通しが上に出て手前にくる。

「こうしたら逆さまじゃないよ」と岬さん。

しまった。考え方教え方が違う。自分の頭の悪さを恨む。ズボンにつけるタグつけ 逆さまでインプットされてしまってる。普段なかなかインプットされず物覚え悪いのに今回なぜか1度でこれはインプットさせれしまった。ごめんなさい岬さん。意外と覚えること多くて せっかく教えてくれた この最初のことが 頭に入ってこない。ヘコむ。

岬さん いっぱいいっぱいのワタシ どう見えただろう。


2時間経ち 帰る時間。タイムカードを押し 雑談しながら帰る準備する。お疲れさまでしたと挨拶してお店を出ようとドアを開けたら いずみんが お店の前を 車で通りかかった。あれ?今日仕事のはず。いつも3時までなのに。

お互い ほぼ同時に 気づいた。「お疲れ~ 今日お昼で終わっちゃった。今から帰るの?」いつもの元気のいい いずみんの声。小さな お菓子の個包装する工場に勤めてて社長の都合や仕事の量の具合で 仕事時間が 短くなったり長くなったり急に休みになったりするらしい。

「ランチこのまま行かない?ついでに健診の日にちも決めようよ」と提案された。

「いいね」と即答する。

でも自転車なので いったん家に戻る。

行きの下り坂は自転車でスイスイだけど 帰り道は同じ道のりなのに遠くに感じる。登り坂は運動不足がたたる。

いずみんが家の前で車をとめて 待っててくれた。

自転車置き場に自転車を置いて いずみんの車に乗り込み 「新しくできたパスタ屋さん行ってみない?」と聞かれ「行ったことないから行きたい」と また即答。

2時間ほど 食べてしゃべってウチに帰る。いつもウチでお茶してるので いつもと同じように自然にウチでティータイム。パスタ屋さんでもお茶してるんだけどね。

いずみんは珈琲 大好き。でもたくさんは飲まない。市販のペットボトルのアイス珈琲を二人分 コップにそそいで いずみんの分は氷多め 少し薄める。いずみんは薄い珈琲が好み。

ワタシの珈琲はミルクと砂糖たっぷり。


健診の話になる。毎年いつも同じ所で健診している。指定された所しかできないので限られている。いつものように電話する。名前だけというわけにはいかない。

予約状況を聞く。乳がんと子宮がんの検査もするので婦人科のある日を確認し2ヶ月分メモする。いったん電話を切る。

「去年マンモしたし今年はエコーでいいか」二人とも毎年交互にマンモとエコーを申し込むことにしている。

そして二人の生理の予測を話す。これがややこしい。

尿検査と大腸がん検査も 生理と重なると引っかかる。

だいたいの予測をして二人の予定を話し合って いくつかの目星をつけて また電話する。

さっき電話したときと同じスタッフが出てくれた。よかった話が早い。

「婦人科の検査はエコーと子宮がんの検査お願いします」と言うと

「マンモはよろしいですか?」と聞き返してくれた。

「今年マンモはしないです」と断った。

10月半ばに決まった。でも 前回まではワタシが電話したら終わりだったのに 今回から いずみんも電話口に出て保険証の確認をしないといけなくなった。


けっこう めんどくさい。

でも 二人だから 健診 毎年通えてる。一人だと きっとずるずる行かない方向で過ごしてる。

もう何回目かな。34歳から行ってるから9回目?

まだ大きなものには ひっかからない。

高血圧は 持病。お薬飲んでる。


いずみんは 保険証持ってなかったので家に帰ってから あらためて電話をかけなおすことになった。


とりあえず 人間ドックの予約が終わってホッとした。

あとは 近くなったら 届く書類に記入して送り返さないといけない。

人間ドックについてるランチが楽しみ。

和食にするか 郷土料理にするか イタリアンにするか。

話が盛り上がる。

でも毎年少し変わったりするので今日は決められない。

たあいない話が夕方まで続く。


これから 病と介護の嵐が吹き荒れることも知らずに…










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