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「ーー報告は以上です」





「はー、分かった。酒呑童子の転生が早かったのは御上の神が関わってたからか」





「願ったら叶っちゃったって言ってましたからねぇ。志那様の所に嵬鬼様と謝罪に行かれたと聞きましたが」





「来た来た。あの嵬鬼が来るから何事かと思ったら、息子と娘が悪いことをしたって頭を下げたんだ。あの顔で息子と娘って。全く似てねぇし、息子と娘の顔めっちゃ可愛かったしで、笑いが止まらなくなってな」






思い出してしまったのかケラケラ笑い始めた志那様を横目に、終宵さんは溜め息をついた。立場上、元老院と会わなければならないらしく、予想外の出来事に憂い帯びていた。恐怖に陥れた酒呑童子だもんね、また転生したってなったら元老院のことだから殺せって言いかねない。






「全ては天上の神様の御意思ですよ、終宵さん」





「それで納得するなら、こんなにも悩まないさ」





「頑固者揃いだと聞きました。御先の三男坊も酒呑童子の件で口煩く言われたとか」





「元老院なんて、ただの老いぼれの集まりだ。あのクソジジイが居なけりゃ、って何度思ったことか。なあ、環妃。このケーキおかわりあるか?」





「ありますよ。終宵さんもどうですか?」





「もらう」





2つホールで作ってて良かったー。お茶も注ぎ直したところで、終宵さんはまた溜め息を吐いた。大変なんだなあ、元老院の相手も。





「環妃、あと用事が3つある。時間はあるから、ゆっくり進めるが良いか?」





「どうぞ?」





「まず1つ目。お前にお見合いの話が来ている」





「…お見合い?」





この方何百年生きてきて、初めて耳にする言葉だ。いや、お見合い自体は知っているし分かるんだけど、お見合いの対象に私が含まれているのは初めてのことだ。誰だ?こんな私とお見合いしたいとか物好きだな。






「小野篁を知っているな?」





「えぇ、まぁ、有名な方ですし」





「その子孫に当たる小野家の長男坊、(かがり)がお前と会いたいと。年は25歳。小野家の次期当主だから、将来は有望だぞ」





「いや、遠慮しておきます」





「考える間もない即決だな」





「結婚する気ないんで!」






そもそも神殺しの巫女が人間に嫁ぐなんて話何処にあるんだ。年上っぽく言ってるけど、私の方がかなり年上だしな!!






「お前がその気ならそれで良い。断っとこう」





「お願いします。でも、なんで私とお見合いしたいんでしょう?」





「大方、お前を飼い慣らしたいんじゃね?俺らにゃ敵わねぇけど、お前の実力なら中座から下座の神ぐらいなら殺れるだろうし」





「ーーそれ言われるとゾッとするね」





「土御門もお前と接触しようとしているからな、気を付けとけ」





「環妃がそんな奴等と結婚するってなっても、ワタツミと俺が許さねえから。神様権限フルに使ってでも、止めてやるよ」





「それはありがたいです」





「俺の子に嫁ぐのもありだぜ?」





「…真弓様より年上ですよ、私」





「俺の子だし、気にしねえって」






いや、私が気にするって。志那様の御子様、男の子だったんだー。真弓様との御子だし、きっと可愛いだろうなあ。でも、一応、神殺しの巫女って言われてるから、神様に嫁ぐのもちょっとね。この方たちは気にしないんだろうけど。






「で、2つ目の話なんだが」





「はい、どうぞ。もう何が来ても驚かない!」





「譲羽に子が出来たんだが」





「ベビーラッシュ!!おめでとうございます!!めっちゃ驚いた!!終宵さん、おめでとう!!」





「ありがとう。でな、譲羽がお前に会いたいと泣くんだ。俺では駄目だと、環妃が良いと」





「…はぁ」





おめでたいことだわ、とお茶を啜る。いい話聞いたなあ。きっと可愛いんだろうなあ。今からベビー用品買いに行きたいぐらいだ。





「なんつーんだっけ、マタニティブルー?情緒不安定で、とにかく泣いたり笑ったりでさ。真弓も結構手こずってる」





「志那様のお口からマタニティブルーだなんて。へぇ、勉強なさってるようで安心しました」





「そら勉強ぐらいはするさ。でも、どうも俺たちじゃ駄目なんだ。真弓も環妃が良いって。なに、お前、なんか持ってんの?」





「真弓様は、一応、私と年代が近いと思われてますし…」





真弓様は、私が長生きだって知らない。志那様と真弓様がお付き合いを始めて3ヶ月ぐらいの時に、顔を合わせたのが交友の始まりだ。その時は、終宵さんの巫女ってことでご挨拶したんだよなあ。確か、肉体年齢が10歳前後の頃だったかな?『妹が出来たみたい』だと抱き締めてくれた記憶がある。






「無事に子を産んだら、お前の歳バラすか?」





「バラしませんけどね。年齢不詳でお願いしまーす。で、終宵さんは、譲羽様が私に会いたいと泣く、原因の私がムカつくと?」





「そうだ。お前マジ何なの。俺の嫁さんなのに、なんでお前を頼るんだよ」





「終宵さーん、壊れてきてるよ。そりゃ、刷り込みみたいなものなんじゃないですか?譲羽様がお嫁さんに来てくれた時、終宵さんってば仕事で行ったり来たりしてたじゃないですかぁ。譲羽様に、巫女業やら神様授業やら、面倒を見たの私ですよ」





「だが、仕事が落ち着いてからずっと居ただろ」





「根本的に頼るのは私でしたけどね。終宵さん、そこに居るってだけなんですもん」





「言うようになったな、お前」





「まあ」






譲羽様が私を頼るのはそういうことだ。私に出来ることは私がしてきたし、終宵さんじゃなきゃ無理だって時は、譲羽様から終宵さんにお願いしに行っていただいてた。私が普通の学生になるって決まってからは、私じゃなくて終宵さんに頼るようにそれとなく誘導して、私から終宵さんに乗り換えさせたのだけれど。






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